経済再開期待が根強くリスク選好のドル売り ドル円は狭い範囲ながらもやや軟化=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は軟調な推移が見られた。きょうの市場はリスク選好の雰囲気が強まり、ドル売り圧力がドル円の上値を圧迫している。ただ、同時に円売りの動きも見られており、下押す動きまでは見られていない。ボラティリティの低い相場展開が相変わらず続いているようだ。
市場は引き続き経済再開に期待感を強めている模様。オハイオ州はきのう、外出規制を解除することを表明し、代わりに住民に可能な限り自宅に留まり、社会的距離を保つよう奨励すると述べていた。米中対立のほか、回復の程度やスピード、そして、感染第2波への警戒も根強い。行方を見守りたい雰囲気ではあるものの、市場のセンチメントは強いようだ。
午後にFOMC議事録が発表された。マイナス金利に関する言及は何もなく、結果ベースまたは日付ベースのフォワードガイダンスを検討していたことが明らかになった。特に為替市場の反応はない。
一方、ユーロに資金が集まっており、ユーロドルは買い戻しが目立った。強い上値抵抗として意識されている1.10ドルを試す動きも見られたが、きょうは上値を拒まれている。目先は1.10ドル台を完全回復できるかどうかが最注目だが、さらにその上には200日線が1.1015ドル付近に控えており意識される。
市場はEUの5000億ユーロ規模の復興基金創設への期待感を高めている模様。それに対してドイツとフランスが、資金調達も含めて支持しており、ユーロに対するネガティブな雰囲気に変化をもたらしている模様。融資よりも助成金に重点を置いている点も評価されており、市場の期待感を高めている。
今回の復興基金創設の動きで、米国や英国よりも回復が早いのではとの見方も一部から出だしており、EUは英国や米国に先駆けて、今回の新型ウイルス感染危機に陥っており、それゆえに最初に脱出する可能性もあるという。ドイツがウイルス感染拡大を管理できおり、他の先進国よりもかなり優れているという。
ポンドドルは一時1.22ドル台後半まで上昇したが、1.23ドルを回復することなく戻り売りに押された。きょうの英国債入札で、初めて落札利回りがマイナスとなった。マイナス金利を巡る英中銀の議論を後押しする動きも見られる中、ベイリー英中銀総裁の議会証言に注目が集まっていた。総裁は「英中銀は何事も排除せず、マイナス金利を否定しない」と述べ、含みは残した格好。
また、きょうはロンドン時間に英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、前年比0.8%に鈍化していた。発表後にポンドは売りが強まっていたが、エコノミストからは「失業率が上昇しているため、インフレ圧力がすぐに戻るとは考えにくい。夏季にかけてゼロに近づく可能性がある」との見方も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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