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とれんど捕物帳 米利下げ局面入りの中、今回の米企業決算はいつも以上に要注目

為替 

 今週のドル円は週前半こそ、先週末の米雇用統計後の流れを引き継いでリバウンド相場が加速し109円台をうかがう展開も見られていたが、パウエルFRB議長の議会証言を受けて失速し、21日線付近まで伸び悩む展開となった。来週以降、リバウンド相場を継続できるか微妙な情勢となっている。

 そのパウエルFRB議長の議会証言だが、「6月FOMC以降、貿易問題を巡る不確実性と、世界経済に対する懸念が引き続き米経済の見通しを圧迫している。インフレ圧力も抑制されたまま」と表現していた。これを受けて市場では、今月末に予定されているFOMCでの利下げ期待を追認する内容と受け止めたようで、ドル売りの反応を見せている。ただ、7月FOMCでの利下げ自体は市場もかなり織り込んでいる面もあり、利下げ幅が0.25%なのかそれとも0.5%なのかまでは判断できなかったようだ。

 米地区連銀総裁の発言を見ると、現時点で利下げが本当に必要なのか疑問視する声も出ている。6月FOMCで公表されたFOMCメンバーの金利見通しでは、現状維持と年内2回の利下げで意見が真っ二つに分かれている状況が示されていた。議会証言の日に公表されたFOMC議事録を見ると利下げの必要性が高まりつつあることに関しては多くが一致しているようだが、もう少しデータを確認すべきであろうとの意見もあるのかもしれない。その状況下を鑑みれば、7月FOMCで利下げを実施したとしても、精々0.25%が限界とも推測される。ただし、トランプ大統領のFRBに対する前代未聞の圧力が強まる中で、市場も期待値を高めており、どうなるかは未知数だ。

 パウエルFRB議長はまた、「賃金上昇の伸びの緩さがインフレ上昇に結びついていない」と述べていた。現行のPCEコアデフレータの低さに苛立ちを覚えているのかもしれない。以前はPCEコアデフレータの低さは一時的要因との見解を示していたが、このところはそうではない可能性にも言及し始めている。

 このところの米雇用統計の平均時給の伸びを見ると、前年比で3%を上回っており、米賃金の伸びに関しては過去と比べてもそれほど悪くはないように思われる。物価がなかなか上昇しないのは別の面もあろう。eコマースの発達で商品の価格競争が激化しており、業者もそれにグローバル化で対応せざるを得ない状況にあるものと思われる。

 ネットで検索すれば、ターゲットの商品に対する流通業者ごとの値付けランキングがあり、消費者は送料を考慮して最も安い業者から買うという行動が多いのではとも思われる。所得があがってもその行動は変わらないと思われる。所得の多い人でも、そうでない人でも同じ商品であれば安いほうがよいと思うであろう。eコマースは、商品の販売量及び販売の機会を格段に進歩させたと思われるが、価格という点だけから見れば、なかなか上がりにくい状況を作っている面もある。

 ともかく、FRBの利下げの行方が注目されるところだが、それのみならずECBを始め、各国中銀も出口戦略の旗を素早く降ろしつつある中、中銀による追加緩和への回帰姿勢が消費者や企業のセンチメントにどう影響するも注目したいところではある。

 さて来週だが、米小売売上高や鉱工業生産、そして、企業及び消費者のセンチメント指標など重要な指標の発表が相次ぐが、そのほかに、いよいよ4-6月期の米企業決算が始まる。来週は大手銀やIT大手の決算が予定されており、足元の数字や見通しに株式市場がどう反応するか注目したい。

 「FRBプット」もしくは議長の名前をとって、いまなら「パウエル・プット」なとといった言い方が市場にはある。FRBの利下げによる株価下支えを意味する言葉だが、一部からは、過去のデータによると、利下げ期待による相場押し上げ効果は企業の増益率見通しがゼロ%を下回ると、効果がなくなるとの指摘も出ている。今週の米株式市場は最高値を更新して来ているが、一部の情報会社の集計見通しによると、今回の決算はS&P500採用銘柄ベースで0.4%の減益が見込まれるという。ただ、企業が発表する7ー9月期や通期の見通し次第のところもあり何とも言えないところもある。

 もともと現状の景気は、トランプ減税などで拡大局面を延命させただけの面もあり、個人的に今回は、FRBプットをもってしても、株式市場は以前のような適温相場には戻せないと見ている。いずれにしろ、今回の米企業決算はいつも以上に要注目の決算かもしれない。

 さてドル円だが、6月下旬からのリバウンド相場がどうなるのか踊り場に来ている。今週のパウエルFRB議長の議会証言からは、少なくともFRBは利下げ姿勢を強め出している。この局面でドル円の上値は追いづらい。また、米企業決算に対する株式市場の反応がネガティブな可能性も考慮すれば、上値は重いリスクも見ざるを得ない。レンジとしては106.50~109.00円を想定。スタンスは「やや弱気」を維持する。

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minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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