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今週のまとめ6月3日から6月7日の週

為替 

 3日からの週は、ドル安圧力が継続したが、上下動の激しい展開だった。前週から引き続き米利下げ観測が高く、米債利回りは低下傾向を示した。米中貿易戦争について解決を示す状況にないことに加えて、米国とメキシコと協議が続くもなかなか合意には至らない。一部の米金融当局者からは利下げの可能性が言及された。注目のパウエルFRB議長講演では「景気拡大の維持で当局は適切に行動、貿易動向による影響を米金融当局は注意深く観察」と述べたことが利下げ観測を高める場面もあった。ECB理事会では金利ガイダンスの期間を従来から半年程度延長した。一部ECBメンバーから利下げ検討の提案があったとしたが、経済指標は悪くはない、としており、事前の市場のムードほどハト派には傾かなかった。イタリアとEUに財政問題での対立が再燃しており、英国の合意なきEU離脱の可能性とともに不透明感が根強かった。週末の米雇用統計は雇用者数の伸びが予想を大きく下回り、賃金の伸びも鈍化。市場での年内利下げ確率が上昇した。ドル円は107円台、ユーロドルは1.13台、ポンドドルは1.27台など前週から一段とドル安が進行した。


(3日)
 東京市場は、円高の動きが優勢。前週末からのドル安・円高の流れが継続するなかで、午後にはドル円は108.07レベルまで安値を広げた。108円割れは回避されているが、戻りは108.20近辺までと限定的。ユーロ円は121円台を割り込むと120.78レベルに安値を更新。クロス円も軒並みの軟調地合いとなった。米中通商摩擦問題への警戒感が継続。中国側が週末に米国を非難する動きを見せるなど、両国関係に改善の余地が見えず、ドル売り円買いの流れに。メキシコからの輸入品に関税をかけるという先週末に報じられたトランプ政権の姿勢も、依然として警戒材料。

 ロンドン市場は、円高の動きが一服。欧州株は売りが先行、米株先物とともにマイナス圏で推移している。トランプ米大統領は訪問先の英国でツイートしており、自身の関税政策で多くの企業が中国から脱出している、米国ではコストやインフレの上昇はみられていない、などと述べており、中国と妥協する雰囲気は感じられない。ただ、取引中盤にかけては株式市場の下げ幅は縮小し、リスク回避の円買いには巻き戻しの動きが入った。政局不安が再燃しているイタリアではコンテ首相が現地時間夕刻に記者会見を開くとしており、事前のポジション調整の面も。ドル円は108円台前半、ユーロ円は121円台乗せ、ポンド円は137円近辺、豪ドル円は75円台前半でやや円安方向へと調整されている。

 NY市場では、ドル売りが強まった。米中対立がエスカレートする中、市場ではFRBの年内利下げ期待を高めている。きょうはブラード・セントルイス連銀総裁が、近く利下げが適切になる可能性に言及、市場はドル売りを加速させた。ドル円はストップを巻き込んで107.90近辺まで一時下落。ユーロドルは買い戻しが強まって1.1260近辺まで一時上昇。ただ、ECB理事会を6日伊控えて買い進む動きには躊躇も。ポンドドルも買いが先行したが、英政治不透明感が上値を抑えた。英製造業PMIが2016年以来の50割れとなったことも買いを抑制したようだ。

(4日)
 東京市場で、ドル円は軟調に推移した。朝方は108円台に戻して取引を開始したが、108.10レベルをつけきれず再び売りに押された。安値を107.86レベルと前日からわずかに広げた。日経平均は反発で取引を開始したが、すぐにマイナスに転じた。豪中銀金融政策理事会では予想通り0.25%の利下げを決定した。声明では、労働市場を注視する姿勢をあたらめて示した。市場では年内複数回の利下げを見込んでおり、予想ほど緩和的な声明ではなかったとしてやや豪ドル買いの反応がみられた。

 ロンドン市場は、ドル円が反発も次第に勢いを失っている。ロンドン朝方に107.85レベルまで安値を広げたあとは欧州株や米株先物の持ち直しとともに買戻しが入った。米10年債利回りが2.11%台へと上昇する動きで108.18レベルまで上昇。しかし、その後は再び107円台後半へと下落しており、上値の重さが確認された。米10年債利回りは2.09%に伸び悩んでいる。ドル相場はドル買いが先行したが、再びドル安方向に。ポンドドルは1.26台前半に下押し後、1.27手前へと高値を伸ばした。ポンド円は136円台後半から137円近辺へ上昇と比較的底堅い動き。一方、ユーロドルは序盤に買われた後は、上値が重い。ユーロドル1.12台後半から半ば、ユーロ円121円台後半から半ばでの取引。豪ドルは振幅。ロウ豪中銀総裁が追加緩和の可能性を示唆したことで一時下落したが、労働市場の状況を見極めてからとしたことですぐに買い戻しが入った。
 
 NY市場では、全体的に方向感に欠ける展開。パウエルFRB議長の講演が伝わり、議長は「景気拡大の維持で当局は適切に行動。貿易動向による影響を米金融当局は注意深く観察」と述べていた。貿易問題の動向次第では利下げの可能性を示唆しているとの見方も。クラリダFRB副議長は「成長の減速が確認できれば、適切な行動を取る」と述べた。ドル円はパウエル発言後に108円割れも、その後は108円台前半に戻した。ユーロドルは序盤に1.12台前半まで売り先行も、米利下げ期待から取引後半には買い戻し優勢に。ただ、物価の伸びが鈍るなかでECB理事会を6日に控えており、積極的に買い進む動きも弱かった。ポンドドルも買い戻しが続いた。しばらく、具体的な離脱関連、貿易関連の報道がなく、リスク回避の後退で買戻しが入った面があった。

(5日)
 東京市場は、トランプ発言でドル円が売られた。前日NY市場でドル円が買い戻された流れを受けて、朝方は108.20台で推移した。しかし、トランプ米大統領がメキシコからの輸入品への関税賦課方針について脅し・ハッタリではないとツイートしたことで、108.03レベルまで一時下落した。日経平均は大幅高となったが、ドル円は上値重く推移した。ユーロドルは1.1260付近での狭いレンジ取引。NZ中銀高官が政策金利は当面現在の水準近辺と述べたことで、NZドルが買われた。市場では追加利下げを期待するムードがあったようだ。

 ロンドン市場は、円売りが優勢。前日のパウエルFRB議長発言が市場には利下げ示唆を受け止められ、米株が大幅高となったセンチメントが継続している。今日も欧州株が買われており、リスク警戒の動きは一服。序盤は米債利回りが一段と低下する場面があり、ドル売りの動きが優勢だったが、ドル円が108円台割れからは買いが優勢となり、クロス円とともに円売りの流れに転じている。ただ、リスクの火種は残っている。EUがイタリア財政赤字に対する制裁措置を進めると報じられたことで、イタリア株や債券が下落、ユーロが反落している。ドル円108円台前半、ポンド円137円台後半、豪ドル円75円台後半などで値を保っているが、ユーロ円は122円台前半から再び大台割れ水準へと反落している。

 NY市場では、ドル買いが優勢だった。朝方発表されたADP雇用統計が弱かったことで序盤はドル売りが広がった。ドル円は107円台に再び下落。一方、米ISM非製造業景気指数が強い結果となり、米共和党上院議員がメキシコへの関税発動はないだろうと発言すると108円台半ばまで買い戻された。ユーロドルは1.13台に上昇したが、その後は1.1220付近まで下落。EUが発表した報告書で、イタリアが巨額債務をEU規則に従って十分圧縮しておらず、懲戒処分が妥当だとの判断を示した。一方、サルビーニ副首相はEU規則を変える決意を示しており、対立が再燃している。ポンドドルはユーロの動きとともに1.26台に再び下落。
 
(6日)
 東京市場で、ドル円は108円台前半での揉み合い。朝方は108.40近辺と前日からの高値付近でで取引を開始。しかし、米国とメキシコとの不法移民問題での協議が物別れに終わったとの報道を受けて108.18レベルまで下落した。その後は、日経平均がプラス圏推移となり、6日も米国とメキシコとの協議が継続するとしたことで108.40近辺へと下げ渋った。午後には日経平均が上昇を消す動きとなりじり安に。米債利回りの低下も売り圧力。ユーロドルは1.12台前半で小動き。ECB理事会待ちのムードが続いた。 

 ロンドン市場は、小動き。ECB理事会の結果発表を控えて様子見ムードが広がっている。欧州株や米株先物は上昇。一方で、米債利回りは再び低下。米国と中国およびメキシコをめぐる摩擦が続くなかでリスク動向には不透明感が残っている。また、世界的な成長・インフレ鈍化への警戒感が米国をはじめとした中銀の利下げ観測を広げている。為替市場にとっては円相場とドル相場の動きが交錯する状況。ECB理事会では直近のインフレ鈍化を踏まえて、よりハト派色の強い内容が期待されているもよう。ドル円は108円台前半、ユーロドルは1.12台前半、ユーロ円は121円台半ばなどでの揉み合いに終始している。序盤はややユーロ売りの動きがみられたが、すぐに買い戻されている。

 NY市場では、ドル相場が振幅した。序盤はドル売りが優勢。ECB理事会の内容を受けてユーロドルが上昇したことが波及した。利上げガイダンスは前回の「2019年末までは据え置き」から「少なくとも2020年上期まで据え置き」に延長された。ドラギ総裁は、理事の一部から追加利下げや追加緩和協議が提起されたことを明らかにした一方、「景気支援を後退させることはないが、経済指標は悪くはない」と述べた。緩和姿勢を強めてはいたものの、利下げや量的緩和拡大の可能性を期待していた向きにとっては失望感が出たようだ。ユーロドルは1.13ドル台を一時付けた。ドル円は108円割れ目前に。ただ、取引終盤に米政府がメキシコへの関税賦課を先送りする方向で検討との報道が伝わり、期待感が高まった。米株上昇とともにドル円は108.50近辺まで買い戻された。ユーロ円は122円台前半に高止まりも、ユーロドルは1.12台後半で上値が重くなった。

(7日)
 東京市場は、小動き。NY市場での米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが広がった。ドル円は108円台半ばでの推移が続いた。米政府がメキシコとの関税実施の先送りを検討との報道でNY市場でドル高が進んだ後、ペンス副大統領が協議は継続中で現状のままだと月曜日に関税を実施と発言したこともあり、朝方は若干のドル売り円買いも値幅は20銭程度にとどまった。ユーロドルは1.12台後半、ポンドドルは1.27台を挟んでの小動き。トルコリラが下落。アルバヤク経済相が9月にはインフレが一桁に、と発言したことに反応した。

 ロンドン市場は、ドル円が小幅上昇。米雇用統計の発表を控えて積極的な売買は手控えられたが、欧州株や米株先物がジリジリと上げ幅を拡大する動きとともに、ドル円は108.62レベルまで高値を更新した。クロス円はまちまち。ポンド円が138円台乗せへと堅調だが、ユーロ円は122円台前半で小動き。豪ドル円も75円台後半での揉み合い。米債利回りがやや上昇しているが、ドル買いの動きは限定的。この日はメイ英首相が保守党党首を辞任するが、次期リーダーが決まるまでの期間は首相として国内の課題に専念するとしていた。発表された4月独鉱工業生産は予想を大きく下回った。次期ECB総裁候補のバイトマン独連銀総裁は、ECB理事会でのフォワードガイダンス延長は適切だったと発言した。

 NY市場は、ドル売りが強まった。朝方発表になった米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が7.5万人増と予想を大きく下回ったほか、平均時給も前年比3.1%と前回から鈍化した。NFPが極端に低い数字であることから、特殊要因の可能性もあるが、明らかに弱い内容ではあった。今回の米雇用統計を受けて市場では、0.5%の大幅利下げのほか、6月利下げの可能性までも指摘されている。米雇用統計発表後にドル円は売りが強まり107.90近辺に下落する場面が見られた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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