為替相場まとめ3月23日から3月27日の週
23日からの週は、地政学リスクに振り回された。トランプ米大統領とイランの応酬が激化し、軍事攻撃の警告から協議示唆、延期、そして再び強硬姿勢へとヘッドラインが目まぐるしく変化した。原油価格が101ドル台から84ドル台へ急落し、その後90ドル前後へ反発するなど、関連市場も大きく揺れ動いた。ドル円は158から160円手前で大きく振幅し、有事のドル買いが優勢となる一方、停戦期待が出るたび急落する不安定な値動きが続いた。週末を前にしたドル高局面ではついに160円台に乗せ、160.41円までと2024年7月以来のドル高円安となった。ユーロドルやポンドドルもドル主導で上下動し、欧州指標や要人発言の影響は限定的だった。クロス円も株価や原油、金利の変動に連動して短期的な揺れが中心となり、方向感を欠いた。市場の主導権は完全に中東情勢のヘッドラインに握られ、停戦期待と軍事リスクが交互に現れることで、リスクのオン・オフが短時間で切り替わる極めて神経質な地合いとなった。さらに四半期末要因やオプションカットが値動きを抑制する局面も見られた。結果として、地政学リスクが為替・原油・株式を同時に揺らす複合ショック型の週となり、PMIやCPIといったファンダメンタルズは二次的な存在にとどまった。
(23日)
東京市場は、有事のドル買いが優勢。先週半ばに159.90円を付けたドル円は、週末にかけてのドル買いの流れを引き継ぎ、週明けの東京市場でも159円台前半でスタートした。週末にトランプ米大統領がイランに対し、48時間以内のホルムズ海峡完全開放を要求し、応じない場合は発電施設などへの攻撃を強めると警告。イラン側が強く反発して事態深刻化が懸念される中、有事のドル買いが優勢となった。ドル円は午後にもう一段上昇して159.60円台を付けた。ユーロドルも午後に入ってドル高が強まり1.1523ドルまで下落、ポンドドルも1.33ドルを割り込み1.3280ドル台を付けた。クロス円は、ユーロ円が午前の上昇後、午後はユーロ安ドル高に押されて183.80円台へ反落し、ポンド円も午前の212.75円から212.00円近くまで下落するなど、午後にかけて全般的にドル高が進行した。
ロンドン市場は、流れが反転した。序盤はイラン情勢をにらんだ有事のドル買いが優勢となり、ドル円は東京市場の高値を超え159.66円まで上昇。ユーロドルは1.15ドル割れの1.1485ドル、ポンドドルは1.3257ドルまで下落し、豪ドルも急落するなどドル高が加速した。しかし、トランプ米大統領が「イランと建設的な協議を行った」として軍事攻撃の5日間延期を指示したと発言すると、相場は一気に反転した。有事のドル買いムードは急速に後退し、ドル円は158.20円台まで急落。ユーロドルは1.1618ドル前後、豪ドルは0.7040ドル台へ急反発した。また、NY原油先物も101ドル台から一時84ドル台まで暴落するなど市場は大きく揺さぶられた。クロス円もドル主導の動きの中で荒っぽい上下動を見せる不安定な展開となった。
NY市場では、ドルの戻り売りが優勢だった。ドル円は一時158円割れを試す展開に。日中は再び160円をうかがう動きもあったが上値を拒まれた。中東情勢が混迷する中、トランプ大統領がイランへの軍事攻撃を5日間延期すると投稿したことで市場の雰囲気は急変。ただ状況は流動的で、ヘッドラインに左右されやすい神経質な相場が続いている。ユーロドルは買い戻しが進み一時1.16ドル台半ばへ上昇し21日線を上抜けた。ユーロは紛争前の大規模な買い越しポジション解消リスクも指摘されているが、エネルギー価格が落ち着けばシナリオは変わる。ポンドドルも一時1.34ドル台後半へ上昇し200日線を突破。英中銀の利上げ期待は、中東情勢の安定化期待から年4回利上げの織り込みが後退し、現在は年3回の確率を50%程度で織り込んでいる。
(24日)
東京市場では、ドルが振幅。前日の米大統領によるイラン軍事攻撃の5日間延期発表を受けたドル売りが先行し、ドル円は158.02円まで下落して始まった。その後、イラン側が交渉を否定したことで買い戻しが入り、午後には158.79円まで上昇した。ただし、日経平均株価が600円超上昇して終えるなどリスク警戒感の後退が上値を抑え、値幅は限定的だった。日本の2月消費者物価指数の弱さは相場への影響が軽微だった。ユーロドルは朝方に1.16ドルを割り込むも1.1576ドルで下げ渋り、底堅く推移。ポンドドルは午前に1.34ドルを割り込み1.3386ドルまで下落した。クロス円は、ユーロ円が184円近辺から183.60円台へ小幅下落し、ポンド円は212.50円前後で推移するなど、ドル主導の展開の中で明確な方向感を欠く動きとなった。
ロンドン市場は、方向性が希薄。前日の急激なドル売りのトラウマと米大統領の新たな発信への警戒から、全体的に様子見ムードが広がり方向感に欠ける展開となった。中東の停戦期待とホルムズ海峡閉鎖リスクが交錯し、積極的な売買は手控えられた。ドル円は東京午後からの買い戻しで158.80円付近まで上昇するも抜けきれず、158円台半ばから後半で振幅。ユーロドルは1.15台後半から1.16台、ユーロ円は183円台後半から184円付近での揉み合いに終始した。ポンドドルは1.34付近、ポンド円は212.70台と前日終値付近での推移。発表された英欧の3月PMI速報値は有事によるエネルギー高を背景に予想を下回ったが、相場への影響は限られた。NY原油先物も前日の急落から92ドル台へ反発後、90ドル前後に落ち着く推移となった。
NY市場は、中東情勢の報道に翻弄された。前半はイラン側が表向き協議を否定したことなどを受け、ドル円が一時159円台まで回復。しかし終盤、米国がイランとの1カ月停戦を模索し紛争終結の計画を送付したとの報道が出ると、原油安と連動して急速にドル売りが進んだ。紛争の早期終結は難しくエネルギー価格の高止まりが警戒される中、ユーロドルは終盤に1.16ドル台、ユーロ円は184円台を回復したが上値の重さが指摘される。ポンドドルは1.33ドル台半ばまで下落後、1.34ドル台に戻したものの200日線に上値を抑えられた。なお、ポンドに関しては、英地方選挙に伴う財政リスクやエネルギーショックを背景に、第2四半期に財政リスクプレミアムが再拡大し下落する可能性があるとの見方も浮上している。
(25日)
東京市場はドル高が優勢。ドル円は、前日のNY午後からの流れを引き継ぎ158.70円前後で朝を迎えた。午前中は158.60から158.80円を中心とする揉み合いとなったが、午後に入るとイスラム革命防衛隊(IRGC)が米国に提示した厳しい条件を米側が非難したことでリスク警戒感が強まり、ドル全般が買われる展開へ変化。ドル円はじりじりと上昇し一時159円台を回復した。ユーロドルは午前のドル安局面で1.1630ドルまで上昇したものの、午後のドル買い戻しにより1.1587ドルまで下落。ポンドドルも同様に1.3436ドルまで上昇後、1.3372ドルへと下落した。クロス円では、ユーロ円が午前中の株高・ユーロ買いを背景に184.56円まで上昇し、午後は184.20から184.40円のレンジで推移。ポンド円も午前に213.20円まで上昇後、212.60円台へ下落した。
ロンドン市場は、中東情勢の報道に一喜一憂し、ドル買いが一服する展開。朝方はイランの強硬姿勢による地政学リスクから有事のドル買いが強まり、ドル円は一時159.20付近まで上昇した。しかし、AP通信が「イランが停戦提案を受け取った」と報じると緊張緩和への期待からドル売りが加速。欧州株高や米長期金利の低下も重なり、ドル円は158.70付近まで反落し、足元では158円台後半で下げ渋った。ユーロドルも1.15台後半へ軟化後に1.16台を回復し、ポンドドルは1.33台後半から一時1.34台へ反発した。この日発表された2月英CPIサービス部門の上振れや、3月独Ifo景況感指数の大幅低下、ラガルドECB総裁の慎重な発言などがあったが、市場の反応は限定的で、依然として停戦交渉の行方が相場の主導権を握る状況が続いている。
NY市場では、ドル高が優勢。ドル円は159円台半ばまで上昇した。米国が紛争終結に向けた15項目の計画を策定し早期解決への動きを見せる一方、イランは提案を拒否し攻撃継続を表明するなど、状況打開は見えず不透明感が続いている。しかし水面下での協議への期待もあり、週末の攻撃延期期限に向けた進展が注視される中、為替相場はドル高の流れを維持した。ユーロドルは軟調に推移し、21日線に上値を抑えられ1.15ドル台へ再び下落。ラガルドECB総裁は早期の政策変更を否定したが、エネルギー高止まり次第では年内利上げの可能性も指摘されている。ポンドドルも1.33ドル台へ下落し、上値の重い展開が継続。インフレ再上昇のリスクから、英中銀の利下げ観測が後退し、逆に利上げリスクが意識され始めている。
(26日)
東京市場は、ドル高圏でのもみ合い。ドル円は、イラン情勢への警戒感から前日海外市場で進んだドル高を引き継ぎ、高値圏でのもみ合いに終始した。昼前後に159.54円まで小幅に高値を更新したものの、節目の160円手前でのドル売り圧力や情勢の不透明感から上値追いは慎重となったが、下値も159.33円にとどまる落ち着いた値動き。日経平均がマイナスに転じ、香港や韓国などアジア主要株価指数も軒並み下落するなど、全体的にリスク警戒の姿勢が見られた。ユーロドルは前日のドル買いの流れを受け1.1553から1.1572ドルでの推移となり、ユーロ安ドル高圏でのもみ合いが続いた。ポンドドルも1.3349から1.3371ドルの狭いレンジにとどまった。クロス円も目立った動意を欠き、ユーロ円は184.22から184.48円、ポンド円は212.92から213.17円のレンジ推移だった。
ロンドン市場は、もみ合いが続いた。中東情勢の不透明感を背景に原油高・株安・債券安となり、全体的にリスク警戒感が広がる中、為替相場は方向感を欠く展開となった。ドル買いが先行したものの持続性はなく、主要通貨ペアは前日のNY終値付近での推移に終始した。この背景には、同日のNYカットオプションでユーロドルやポンドドルの現行水準付近に大規模な設定があり、マグネット効果で値動きが抑制されたことや、四半期末を控えて市場参加者が積極的な売買を手控えたことが挙げられる。ドル円は159.29から159.55付近の狭いレンジで振幅し、ユーロドルは一時1.1548付近まで軟化後1.15台半ばで揉み合った。ポンドドルは一時1.3337付近まで下落後下げ渋り。ユーロ円は184円台前半、ポンド円は213円を挟んだ振幅と、全般に新たな情報待ちの状態となった。
NY市場は、ドル買い先行も押し戻された。ドル円は、前半に米国防総省のイランに対する軍事オプション検討報道やトランプ大統領のSNSでの警告を受け警戒感が強まり、160円台をうかがう159円台後半で推移した。しかし、終了間際にトランプ大統領がイランのエネルギー施設への攻撃期限を4月6日午後8時へ延長すると発表したことで、ドルは159.40円近辺まで急速に下落した。ホルムズ海峡の状況打開は見えず不透明感は継続する見通し。ユーロドルも終盤に急反発したものの1.15ドル台前半で引けた。欧州では中東紛争や貿易紛争の影響で信用環境見通しや高利回り債のデフォルト率悪化が懸念されている。ポンドドルは上値が重いものの下押しも限定的で1.33ドル台で上下動。英インフレは今後加速見通しだが、経済の弱さから英中銀の利上げハードルは高いとされ、エネルギー動向次第の状況が続く。
(27日)
東京市場ではドル円が160円の大台を意識し、159円台後半から半ばへと軟化した。片山財務相が「断固とした措置含めしっかり対応する」 と強めの語調で円安をけん制しており、市場に介入警戒感が再認識されたようだ。ユーロドルやポンドドルはドル売り優勢に推移している。一方、ユーロ円やポンド円などのクロス円は午前中の円高の動きを午後には戻している。今週を通してみられる神経質かつ一方向の動きが続きにくい地合いが継続している。中東情勢が依然として不透明ななかで、原油高が継続。インフレ警戒で円債利回りは上昇。日本株は午前に大幅安となるも、引けにかけては下げ幅を縮小した。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。NY原油先物が再び97ドル台へと上昇している。米国・イスラエルとイランとの報復攻撃が継続するなかで、双方から提示された停戦条件について歩み寄りの兆候はまだ見られていない。市場では中東紛争の長期化が警戒されている。欧州株、米株先物・時間外取引はいずれも軟調に推移。主要国の長期債利回りは上昇。有事発生以降の最初のインフレデータとして注目されたスペインの3月CPIは前月比+1.0%(前回+0.4%)、前年比+3.3%(前回+2.3%)と、予想をやや下回ったものの水準自体は大きく跳ね上がった。原油高を背景としたインフレ上昇が示された。ドル円は一時159.98レベルと160円に迫ったが、その後は159円台後半にとどまっている。ユーロドルは1.15台半ば付近から前半へと軟化、ポンドドルも1.33台半ば付近から1.33ちょうど付近へと下押しされている。
NY市場でドル円は節目の160.00円を超えて上昇した。午前中は160円手前の売りが上値を抑える展開となったが、押し目は159.70円台までにとどまった。オプションの行使時間を過ぎたあたりでいったんドル売りが強まり159.70円を付けたが、イランの重水炉施設への攻撃が行われたとの報道などが有事のドル買いを誘い、すぐに反発。節目の160円を超え、ストップロスを巻き込んで160.30円を付けた。その後は160.00円がしっかりとなり、もう一段ドル買いが入って160.41円を付けている。2024年7月以来のドル高円安となる。ユーロドルは朝方1.1502を付けた後、ドル高一服に1.1548まで上昇。1.1550前後がしっかりで、1.1500台へ落とす展開となった。ユーロ円は朝のユーロドルの下げ局面で183.87円を付けたが、その後ドル円で円売りが進んだこともあり184.66円まで上昇。
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。