弱い米雇用統計でドル安強まる ドル円も一時146円台に下落=NY為替概況
弱い米雇用統計でドル安強まる ドル円も一時146円台に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米雇用統計が弱い内容となったことでドル安が強まった。ドル円も急速に売られ146円台まで一時下落。米国債利回りも急低下した。
8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が2.2万人増と予想を下回る内容となり、労働市場の冷え込みを示す内容となった。短期金融市場では今月の利下げ確率を完全に織り込んだほか、9月を含めて年内3回の利下げも確率を70%超まで引き上げている。
一部からは、9月の0.50%ポイントの大幅利下げの可能性も指摘されていた。しかし、FOMC委員は本日から発言を控えるブラックアウト期間に入り、直接的な手掛かり材料はない。
一部からは「これでFRBは利下げに踏み切るゴーサインを得たと言える。0.50%ポイントの大幅利下げの可能性もテーブルに乗るだろう」との声も出ていた。また、今回の弱さは利下げを正当化するほか、リセッション(景気後退)の警戒感も高めているようだ。なお、今回の米雇用統計の改訂で6月分のNFPが、パンデミック以降で初めて減少に転じた。
ドル円は本日の下げで200日線に上値をブロックされた格好となっている。21日線も下回っており、来週以降の動きが注目される。目先は146.75円付近が下値サポートとして意識されるほか、その下は100日線が146円付近に控えている。
ユーロドルは買いが優勢。一時1.1760ドル付近まで上昇し、21日線を上放れる展開が見られていた。1.1830ドル付近が年初来高値だが、来週以降もこの勢いを維持し、その水準を試す展開になるか注目される。一方、ユーロ円はドル円の下落もあって172円台に下落。ただ、下押す動きまではなく、21日線の上はしっかりと維持された。
来週はECB理事会が予定されている。市場では据え置きが確実視されており、影響は限定的と見られているようだ。むしろ、理事会後の経済指標のほうが重要との指摘も出ている。関税が成長の重しとなる一方、ドイツの財政刺激策が浸透するまでに時間がかかることから、今後数カ月は経済指標が弱まる可能性があるという。
インフレは来年も目標を下回って推移し、ECBは今年終盤か来年初めに再び利下げを検討する可能性があるとも付け加えている。
ポンドドルは一時1.35ドル台半ばまで買い戻されていた。きょうの上げで100日線と21日線を一気に回復しており、来週以降に強い上値抵抗となっている1.36ドルの水準を試しに行くか注目される。ただ、ポンドは対ユーロや円に対しては軟調に推移し、ポンド円は21日線を下回り、一時198円台に下落。目標となってた200円から遠ざかる動きが見られていた。
11月のリーブス財務相による秋季予算案の発表を控え、ポンドは再び下落する可能性があるとの指摘がストラテジストから出ている。今週は英財政への懸念から長期ゾーンの英国債が売られ、利回りが急上昇していた。ただ、ポンドは上値が重かった。各国の国債とともに、利回り上昇はいまのところ落ち着いてはいるが、リスクは依然として高水準にあるという。
「英国債の売り(利回り上昇)が最悪期を脱したと考えるのは軽率だろう。英政府が財政の持続可能性を保証する予算案を提示できなければ、市場は政府を罰するだろう」と述べている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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