パウエル会見にドル高の反応 ドル円は144円付近に上昇=NY為替概況
パウエル会見にドル高の反応 ドル円は144円付近に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場、午後のFOMC後のパウエル議長の会見を受けて、ドル高の反応が見られた。ドル円は144円付近まで上昇。ある程度想定通りではあったものの、議長は追加利下げに慎重姿勢を強調していた。
「金利調整を急ぐ必要はない。FRBは明確さが得られるまで待つ立場にある」と述べていた。不確実性が高まっている点も強調し、失業率とインフレの両方の上昇リスクが高まっていることにも言及。ただ、「実際の経済データにはまだ景気減速が示されていない」とも語った。
それでも短期金融市場は見方を変えておらず、年内3回の利下げ、最短で7月の利下げ再開で織り込んでいる。エコノミストからは利下げ期待が行き過ぎとの声も出ていた。
ユーロドルは1.12ドル台に一時下落。本日の21日線が1.1335ドル付近に来ていたが、その水準を下回っている。今年に入ってからの上昇トレンドにまだ黄色信号は点灯していないが、明日以降の動きが注目される。
本日は3月のユーロ圏小売売上高が発表になっていたが、前月比で減少となっていた。一部からは、今年のユーロ圏の消費は低調な推移になる可能性も指摘されている。ユーロ圏の消費者は今年、財布の紐を緩めることに慎重姿勢を続ける可能性があるという。貿易を巡る不透明感や賃金の伸び悩みが消費意欲を抑制すると説明している。
本日のユーロ圏小売売上高の減少は、消費者信頼感の低下を背景としており、トランプ政権の関税政策によって広がった経済の不確実性が原因と見られている。今後を展望すると、ECBの低金利が今年の消費を後押しする可能性があるが、実質所得の伸び鈍化によってその効果は一部相殺されるだろうとも述べていた。
ポンドドルも戻り売りに押され、1.32ドル台に下落。21日線の上での上昇トレンドは堅持しているものの、明日の英金融政策委員会(MPC)を前に、次第にが重くなっている様子もうかがえる。
ポンドの見通しに関する再評価は、オプション市場における主要なテーマとして継続している。短期的にはポンドドルの上昇に備える動きが活発化しているのはもちろんだが、次第に長期でも、これまでの下落リスクに備えた動きが徐々に後退している。1年物のポンドドルのオプション取引では、下落リスクに備えた動きが2014年7月以来の低水準になっているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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