FX/為替「ドル/円 FOMC受け149円台回復 日銀会合と米PCEに注目」 外為どっとコム トゥデイ 2025年7月31日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年7月31日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 中村勉
目次
▼30日(水)の為替相場
(1):豪CPIトリム平均 減速
(2):独4-6月期GDP 前期から悪化
(3):米4-6月期GDP結果受け米大統領発言
(4):FOMC 予想通りの据え置き
(5):パウエルFRB議長 利下げに慎重な発言
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:150円も視野に/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
30日(水)の為替相場
期間:30日(水)午前6時10分~31日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪CPIトリム平均 減速
豪4-6月期消費者物価指数(CPI)は前年比+2.1%と、市場予想(+2.2%)や前期(+2.4%)を下回った。豪中銀(RBA)が重視するコアCPIにあたるCPIトリム平均は+2.7%と市場予想通り前回(+2.9%)から減速した。同時に発表された豪6月CPIは前年比+1.9%と予想や前月(2.1%)を下回ったほか同CPIトリム平均は+2.1%と前月+2.4%を下回った。
(2):独4-6月期GDP 前期から悪化
独4-6月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比-0.1%と市場予想通りに前期(+0.3%)から悪化。米国の関税発動を前にした駆け込み需要が減少したことが一因。その後発表された、ユーロ圏GDP・速報値は前期比+0.1%と予想(±0.0%)を上回ったものの前期(+0.6%)から悪化した。
(3):米4-6月期GDP結果受け米大統領発言
米7月ADP全国雇用者数は10.4万人増と市場予想(7.6万人増)を上回った。その後発表された米4-6月期GDP・速報値は前期比年率+3.0%と市場予想(+2.6%)以上に前期(-0.5%)から回復した。前期にトランプ関税発動を前にした駆け込み輸入が増えた反動で、4-6月期は輸入が急減し貿易赤字が縮小したことがGDPを押し上げる大きな要因となった。またGDPの7割を占める米4-6月期個人消費は+1.4%で予想(+1.5%)は下回ったものの前期(+0.5%)から加速した。この結果を受けてトランプ米大統領は「第2四半期のGDPが今出た。3%、予想よりもずっと良い!『遅すぎる男(パウエル議長)』は今すぐ金利を引き下げろ」と自身のSNSに投稿した。
(4):FOMC 予想通りの据え置き
米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利を4.25-4.50%に据え置いた。声明では「純輸出の変動が引き続きデータに影響を与えているものの、最近の指標は今年の上半期の経済活動の伸びが緩やかになったことを示している」とし、「失業率は低水準を維持し、労働市場は引き続き堅調」「インフレ率は依然やや高止まりしている」と評価した。また金融政策の決定において、ボウマン副議長とウォラー理事が25bp(0.25%ポイント)の利下げを支持し据え置きに反対したことが分かった。FOMCで2名が決定に反対票を投じるのは1993年以来だった。
(5):パウエルFRB議長 利下げに慎重な発言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の記者会見で「不確実性はあるものの、経済は堅調な状態を維持」とし、声明で示した経済活動の鈍化については「主に個人消費の減速を反映している」と説明した。また「関税によるインフレへの影響はまだ初期段階」として、関税の影響を見極めるために利下げを急ぐべきではないとの姿勢を示した。また「次回会合(9月16-17日)までにデータが明確になるかどうかは、非常に難しい」とも述べた。
30日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:150円も視野に
昨日のドル/円は終値ベースで約0.7%上昇。米7月ADP全国雇用者数や米4-6月期国内総生産(GDP)・速報値が市場予想を上回る強い結果となると約2週間ぶりに149円台に乗せた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通り政策金利を4.25-4.50%に据え置いたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が早期利下げに慎重な姿勢を示したことでドル買いが強まり、4月2日以来となる149.53円前後まで上値を伸ばした。
本日は日銀金融政策決定会合(2日目)が開催され、会合後に金融政策が発表される。政策金利は据え置かれる公算が大きい。日米貿易交渉が合意に至り、先行き不透明感が和らぐ中で、植田日銀総裁が次の利上げに関してどのような見解を示すか注目されている。なお、市場は日銀が年内に25bp(0.25%ポイント)の追加利上げを行う可能性を約7割とみている。植田総裁の発言が想定よりもハト派的と捉えられた場合は、日米金利差が拡大し、ドル/円は約4カ月ぶりに150円台に乗せる可能性もありそうだ。そのほか、NY時間には米6月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が発表される。市場予想は前年比+2.5%となっている(前回+2.3%)。FRBが重視するインフレ指標なだけに、市場予想を上回った場合にはドルの一段高につながることも考えられる。
注目の経済指標:米PCEデフレーター
注目のイベント:日銀総裁記者会見
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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