FX/為替「ドル/円、日銀は金利据え置き公算大 展望リポートに注目」 外為どっとコム トゥデイ 2025年5月1日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年5月1日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼30日(水)の為替相場
(1):豪四半期CPI 予想を上回る
(2):独GDP 予想を上回る
(3):米GDP 予想以上に減速
(4):米PCEは伸びが鈍化
(5):米大統領 責任を転嫁
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:上値は限定的となりそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
30日(水)の為替相場
期間:30日(水)午前6時10分~1日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪四半期CPI 予想を上回る
豪1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%と、市場予想(+2.3%)を上回り、前期から横ばいだった。豪準備銀行(RBA)が重視するコアCPIにあたるCPIトリム平均は+2.9%で前回(+3.2%)から減速したものの予想(+2.8%)は上回った。 同時刻に発表された中国4月製造業PMIは49.0と予想(49.7)以上に前月(50.5)から悪化。同非製造業PMIも50.4と予想(50.6)以上に前月(50.8)から悪化した。その後発表された中国4月財新製造業PMIは50.4と前月(51.2)から悪化したが、予想(49.7)を上回った。
(2):独GDP 予想を上回る
独4月失業率は6.3%と市場予想通り前月(6.2%)から悪化。同失業者数は0.40万人と予想(1.50万人)を下回った。その後発表された独1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は予想通りに前期比年率+0.2%となり、10-12月期(-0.2%)から回復した。ユーロ圏1-3月期GDP・速報値は前期比年率+0.4%と予想(+0.2%)を上回った。また、独4月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+2.1%となり、市場予想(+2.0%)を上回ったが前月(+2.2%)から伸びが鈍化した。またEU基準のCPIは前年比+2.2%で前月から(+2.3%)伸びが鈍化した。
(3):米GDP 予想以上に減速
米4月ADP全国雇用者数は6.2万人増と市場予想(11.5万人増)を下回った。その後発表された米1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率-0.3%と市場予想(-0.2%)を下回った。トランプ関税発動前に駆け込み輸入が増えたことが要因の一つだった。またGDPの約7割を占める米1-3月期個人消費は+1.8%で予想(+1.2%)を上回ったが、これも関税による価格急騰を懸念した駆け込み消費が増えたとの見方が強かった。
(4):米PCEは伸びが鈍化
米3月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.3%と市場予想(+2.2%)を上回ったものの前月(+2.7%)から伸びが鈍化した。また、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+2.6%となり予想通りに前月(+3.0%)から伸びが鈍化した。
(5):米大統領 責任を転嫁
トランプ米大統領は一連の弱い経済指標や株価急落の責任を「バイデンのせいだ、トランプではない」と責任を転嫁。さらに「最初の月は大目に見てくれ。いろいろと少しずつ慣れてきたところだ」と付け加えた。また中国との交易関係について、「いずれは中国とディールを結ぶと期待している」とし、米中間の貿易急減には「不満」を示した。その後、中国メディアは「米国が関税問題をめぐる交渉を目指し、多様なルートを通じて中国側に積極的に接触を図っている」と報じた。
30日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:上値は限定的となりそう
昨日のドル/円は終値ベースでは約0.5%上昇。東京時間こそ次の材料待ちで142円台前半での動きとなったが、欧州時間に入りドイツや英国の株価指数が上昇すると143円台を回復した。NY時間に入り、米4月ADP全国雇用者数や米1-3月期国内総生産(GDP)・速報値などが市場予想を下回る結果だったことで142円台半ばまで押し戻される場面もあったが、「米中貿易摩擦改善に向けて米国側が動いている」と中国メディアが報じたことで143.19円前後まで上値を伸ばした。
日銀は本日の金融政策決定会合で政策金利を0.50%で据え置く公算が大きく、市場も据え置きはすでに織り込み済みだ。同時に公表される展望リポートでは、米国の関税政策の影響から成長率見通しを下方修正する公算が大きい。米関税政策の影響を見極めたいとの思惑から、日銀の利上げペースが従来の予想よりも遅くなるとの見方が強まると円売りで反応することになりそうだ。もっとも、米関税政策はすでに米国経済に悪影響を与えていることが昨日の米1-3月期GDPの結果からも見て取れる。米経済のリセッション(景気後退)懸念がドルの上値を抑える一因となる。米中貿易摩擦緩和に向け、さらなる進展がなければドル/円の上値は限定的となりそうだ。なお、本日は第2回日米関税協議が開催される。
注目の経済指標:日銀金融政策決定会合
注目のイベント:日銀総裁会見
※時間は日本時間での表示になります。
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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