ドル円は150.70円近辺まで上げ加速 米PMIがインフレ示唆=NY為替概況
ドル円は150.70円近辺まで上げ加速 米PMIがインフレ示唆=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル高が優勢となり、ドル円は150.70円付近まで上げ幅を拡大した。NY時間に入って再び150円台を回復し、ストップを巻き込んで上げを加速させている。150円台前半での上値抵抗もあったが、突破した。きょうの上げで21日線を上放れしており、200日線が控える151円台後半を試しに行くか注目される。
きっかけはこの日の3月調査の米PMI速報値。製造業は基準の50を下回ったが、関税関連の原材料費上昇に悩まされ再び縮小圏に陥った格好。発表元のS&Pグローバルは声明で「関税を巡る主な懸念はインフレへの影響で、3月調査はサプライヤーが関税関連の値上げを米国企業に転嫁することでコストがさらに急上昇することを示唆している」と述べた。企業コストは過去2年間で最も急上昇しており、工場ではコスト上昇分を顧客に転嫁する動きが強まっているという。
日本では年度末にあたる、3月期末が接近していることもあり、ポジション調整の動きも観測されている。3月以降売りが強まっていたドルも買い戻されているほか、円ロングの解消も続いている模様。トランプ大統領が今後の関税発動は的を絞ったものになると伝わり、米株式市場が大幅高となっていることもドル円をサポート。
相互関税を4月2日に発表する予定だが、一部の国・地域については除外する見込み。ただ、自動車関税については、別の機会に公表する可能性を排除していない。
ユーロドルは1.07ドル台に一時下落。目先は1.0730ドル付近に200日線が来ており、その水準を試しそうな気配も見られている。
アナリストからは、ユーロは短期的な下落に直面するとの指摘が出ている。ドイツの財政方針変更のユーロ高が一巡したことを理由に挙げている。ドイツの財政拡大策が成長を押し上げるには時間がかかり、ユーロは短期的にさらに下落の可能性があるという。26年以降のドイツの成長は上方修正されているが、25年は停滞が続く可能性があるとしている。また、トランプ大統領が4月2日に相互関税を導入する予定であることや、ドイツ債の利回り上昇が他の欧州債にも波及しており、ユーロ圏経済を圧迫するという。今後1-3カ月でさらに下落し、1年後には1.12ドルまで下落するとの見方も示している。
ポンドドルは一時1.08ドル台に下落。先週は1.30ドル台に上昇する場面も見られていたが、上値を抑えられている。1.08ドルちょうど付近に200日線が来ており、目先の下値メドとして意識される。
ポンドにとっては今週26日が重要な日になりそうだ。2月の英消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、リーブズ財務相が春季予算案を公表し、公的支出の削減案を予算責任局(OBR)に提出すると見られている。福祉関連や政府機関の予算縮小などが含まれていると見られる。英CPIは前回よりも若干低めの数字が予想されてはいるが、サービスインフレ中心に高水準のインフレ持続が見込まれている状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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