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為替相場まとめ6月8日から6月12日の週

為替 

 8日からの週は、方向感の定まりにくい相場展開となった。中東情勢を巡る米国とイランの軍事的緊張、主要中銀イベント、そして米CPI・PPIの結果とトランプ大統領のSNS発言が複雑に絡み合い、市場の判断軸が日々切り替わった。週前半は、前週末の強い米雇用統計を受けてFRBの年内利上げ観測が完全に織り込まれ、ドルは底堅く推移した。一方で、米軍の対イラン報復攻撃や一時停止を巡る報道が入り乱れ、原油相場の振幅と「有事のドル買い」が交錯する神経質な地合いが続いた。金融政策では、カナダ中銀は政策金利を据え置くも市場の利下げ観測は継続、ECBは想定通りに利上げを実施するなど、主要中銀の政策スタンスが分岐し通貨間の強弱も分かれた。米CPI・PPIはともに市場予想と大きな乖離はなく、インフレ鈍化の流れを確認する内容となった。しかし、すでに高まっていた利上げ織り込みを修正するほどのインパクトはなく、発表直後のドルは小幅な上下にとどまった。市場の視線は地政学リスクとトランプ大統領の発言に向かい、指標の影響は限定的だった。ドル円は160円ちょうどに控える巨額オプションと日本の為替介入警戒に挟まれ、160円台前半から半ばで膠着した。しかし11日NY終盤、トランプ大統領が「イランが核兵器を持たないことで合意した」とSNSで突然発表すると、地政学リスク後退を背景にドル全面安が進行。ドル円は固かった160円の大台を割り込んだ。ユーロドルは米金利高を受けて1.15ドル台前半で上値の重い推移が続いたが、ECB利上げとドル売りを受けて1.15ドル台後半へ反発。クロス円も地政学リスク後退局面で「リスク選好の円売り」が優勢となり、ユーロ円は185円台、ポンド円は215円台へと大幅に買い戻された。


(8日) 
 東京市場は、ドル高推移。週明けのドル円は先週末の力強い米雇用統計を受けたドル全面高の流れを引き継ぎ、朝方に先週末高値を更新する160.35円を付けると、午後には160.39円まで上値を伸ばした。その後は調整売りに押され160.20円台へ小幅に反落。ユーロドルは朝方に1.1508ドルまで下げ幅を拡大したものの、1.1500ドルの大台割れには慎重で、午後には1.1540ドルまで反発した。一方、クロス円は介入警戒感からドル円の上値が抑えられたことや対ドルでの他通貨安が響き、全般に軟調なスタートとなった。ユーロ円は一時184.41円、ポンド円は213.46円とそれぞれ安値を更新した後に少し買い戻されたが、午後には再び売りが優勢となるなど、上値の重い展開が続いた。

 ロンドン市場は、先週末の米雇用統計を受けたドル高圏での揉み合いとなった。ドル円は160円台の介入警戒感などで序盤に一時159.86円まで急落する場面があったが、160.00円に控える巨額のオプション期限が観測され160円付近へ引き戻された。トランプ大統領の「イラン・イスラエル即時停戦検討」発言で原油相場が反落し、米金利が低下した局面では一時的にドル売りが混錯したものの、基調としてのドル買い優勢は崩れなかった。ユーロドルは一時1.1500ドル付近へ押し戻されたものの、ECBの利上げ観測が支えとなり1.1520台で下げ渋った。クロス円はドル円の下押しとともに上値が重く、ユーロ円は184.01円、ポンド円は212.94円まで下落するなど、神経質な乱高下を見せつつも全体としては材料待ちの様相であった。

 NY市場では、ドル円は押し目買いが入って160円台を回復、介入警戒から上値に慎重ながらも底堅く推移した。中東でのミサイル応酬後にイランが軍事作戦終了を宣言したことで有事のドル高は一服したが、先週末の米雇用統計を受けたFRBの年内利上げ確率100%織り込みがドルの下値を強く支えた。ヘッジファンドなどの投機筋による円売り越しは高水準に達しており、日銀の6月利上げ確率が90%超となるなかでもドルの上昇基調は維持された。ユーロドルは1.15ドルを維持して1.15ドル台半ばで推移し、ユーロ円も184.00円付近から184円台後半へ買い戻された。ポンドドルは1.33ドル台半ばで推移したが、地方選挙での労働党不振に伴うスターマー首相の政治リスクや、英中銀の利上げ慎重姿勢がポンドの重しとなった。

(9日)
 東京市場は、中東情勢の緊張緩和を背景に、ドル安と円安が交錯するもみ合いの展開となった。イランとイスラエルの攻撃停止発表を受けて原油先物が90ドルを割り込み、アジア株が全般的に上昇するなか、これまでの「有事のドル買い」に対する調整売りと、リスク選好による円売りが交錯した。ドル円は双方の動きに相殺され、160円台前半の狭いレンジでの推移に終始した。一方で、ストレート通貨はドル安の恩恵を受け、ユーロドルは1.1527ドルから1.1554ドルへ上昇、ポンドドルも1.3331ドルから1.3375ドルまで値を上げた。この動きにリスク選好の円売りが加わったことでクロス円は堅調に推移し、ユーロ円は184.99円、ポンド円は214.13円までそれぞれ上昇した。

 ロンドン市場では、翌日に控えた米CPI(消費者物価指数)を前に、短期筋のポジション調整主導によるドル安と円安が併存した。有事のドル買いの巻き戻しや米10年債利回りの低下により、ユーロドルは1.1570付近、ポンドドルは1.3398付近まで高値を伸ばした。これに対してドル円は、介入警戒感も手伝って160.05円から160.28円の狭いレンジで膠着し、前日終値付近での揉み合いに落ち着いた。一方、中東リスク後退に伴う原油安や欧州株高を好感したリスク選好の円売りは一段と活発化し、クロス円は全面高の展開となった。ユーロ円は185.30付近、好調な英既存店売上高が材料視されたポンド円は214.60付近まで大きく上昇した。市場全体は翌日の重要なインフレ指標を前に、次第に様子見ムードへ傾いた。

 NY市場は、主要なインフレ指標の発表を翌日に控え、為替・オプション市場ともに取引量が通常の7ー8割に落ち込む低調な商いとなった。ドル円はNY時間に入ってドルが買い戻されたことから、160円台半ばまで上昇して下値を固める展開が続いた。一方で、ユーロドルはNY時間に伸び悩み、1.15ドル台後半から前半へと値を落とす上値の重い動きとなった。11日のECB理事会では利上げが確実視されているものの、過度な引き締めによるスタグフレーション懸念も浮上した。ポンドドルは一時1.34ドル台を回復した後に伸び悩んだものの、ポンド円は買いが優勢となって一時214円台後半に上昇した。英中銀の政策金利は据え置き公算が大きいものの、インフレ警戒派の委員による利上げ投票の思惑が下値を支えた。

(10日)
 東京市場では、今夜発表される米CPI(消費者物価指数)を前に様子見ムードが広がり、ドル円のレンジはわずか19銭にとどまった。朝方に米中央軍がイランへの報復攻撃を行ったと伝わると、有事のドル買いが先行して160.43円まで上昇した。しかし、その後すぐに米軍が攻撃完了を発表したことで事事態鎮静化への期待から160.24円まで下落するなど、一方向への動きにはならず。その後は160.35円を挟んだ小動きに終始した。他通貨もじり高の展開となり、ユーロドルは朝方の地政学リスクに伴うユーロ売り・ドル買いの1.1533付近から1.1558付近まで上昇。ポンドドルも1.3397付近まで買い戻された。クロス円は午後に入って買いが優勢となり、ユーロ円は185.35円、ポンド円は214.84円まで上値を伸ばした。

 ロンドン市場では、中東情勢への警戒感が再び強まり、欧州株先物や米株先物が大きく下落するなかで「有事のドル買い」が優勢となった。ドル円は東京市場の高値を超えて160.53円まで上値を伸ばし、今年最初の介入が実施されたとみられる4月30日以来の高値・円安水準を記録した。トランプ大統領がSNSでイランに対して「交渉に時間をかけすぎた代償を払うことになる」と言及したことも、強硬姿勢への警戒からドル買いを後押しした。ただし、夜の米CPI発表を控えて値幅自体は限定的。他通貨はドル高に押されて上値が重くなり、ユーロドルは一時1.1536ドルへ下落。ユーロ円は一時185.47円まで買われたものの失速し、ポンドドルも1.3400ドル近辺から1.3370台へ、ポンド円も215.01円タッチ後に214.70円前後へ反落した。

 NY市場では、注目された5月の米CPIは、総合指数がイラン紛争によるエネルギー価格上昇で3年超ぶりの高い伸びとなった。一方、コア指数が前月比で予想を下回った。指標発表直後は若干のドル安反応からドル円が値を落とする場面もあったが、160円の大台は維持され、その後は160.50円近辺まで買い戻された。ガソリン価格の下落からインフレのピークアウト感が意識されたものの、市場への影響は限定的であった。また、日銀の植田総裁が入院により今月の決定会合を欠席すると報じられたが、市場の利上げ見通しに変化はなかった。ユーロドルは1.15ドル台、ユーロ円は185円台半ばで様子見に終始した。ポンドドルは1.33ドル台へ伸び悩み、来週の英MPCでの据え置き予想のなか、タカ派委員の利上げ票の行方に注目が集まった。
 
(11日) 
 東京市場では、ドル円は中東情勢の報道に揺さぶられながらも、狭いレンジでの推移が続いた。朝方は地政学リスクを警戒したドル買いから160.50円前後で始まったが、米中央軍が対イラン攻撃をいったん終了したと報じられるとドル売りが優勢となり、一時160.43円まで軟化。しかし、昼前には再び160.50円台へと値を戻し、午後は膠着状態が継続した。ロンドン勢が本格的に参入する時間帯に入るとドル買いが持ち込まれ、朝方の高値を抜けて160.59円まで上値を伸ばした。ユーロドルは朝方に1.1526ドルまで下落したが、米軍の攻撃終了報道を受けて昼前には1.1556ドルまで反発した。ポンドドルも1.3350ドルから1.3392ドルまで買い戻され、その後は往って来いの膠着相場となった。

 ロンドン市場は、この後にECB理事会の政策発表やラガルド総裁の会見、さらに米PPI(生産者物価指数)などの重要イベントを控えて、市場は完全に発表待ちのムードに包まれた。ややドル買いが優勢な地合いではあったが、主要通貨は前日終値から大きく離れることなく、値幅は非常に限定的なものにとどまった。中東情勢を巡って原油相場が上下に振幅したものの、足元ではNY原油先物が89ドル付近へと反落した。米国の対イラン攻撃停止による安堵感から欧州株や米株先物は堅調に推移し、リスク動向は安定した。ドル円は160円台半ば、ユーロドルは1.15台前半での上下動となり、ユーロ円は一時185.47円まで買われた後に185円ちょうど付近へ軟化、ポンド円も214.60円付近割れへと反落した。

 NY市場では、トランプ大統領のSNS投稿によって市場が激変し、終盤に急激なドル安が進行した。大統領は一時「今夜イランを非常に激しく攻撃する」と投稿して緊張を高めたが、その後攻撃中止を発表した。さらに「イランが核兵器を持たないことで合意がまとまった」と言及したことで有事のドル買いが一気に巻き戻され、ドル円は160円の大台を割り込んだ。米PPIは総合が予想を上回ったもののコアが下回り、年内のFRB利上げ確率は100%が維持された。ユーロドルはトランプ発言を受けて1.15ドル台後半へ急上昇した。ECB理事会では予想通り利上げが実施され、7月以降の引き締め継続を巡り見方が錯綜した。ポンドドルも1.34ドル台へ急伸し、ポンド円も213円台から214円台半ばへ上昇して前半の下げを埋めた。

(12日) 
 東京市場では、円売りが優勢。ドル円は、前日の海外市場にてトランプ大統領のイラン合意発信により159.58円まで急落したが、東京市場に入り反発に転じている。イランメディアが最終合意を否定したことはドル高に、原油安や日経平均株価の6万7000円台回復を受けたリスク選好は円売りに作用し、160.30円台まで値を戻している。市場では米報道による60日間の停戦や週末のジュネーブでの調印への期待が広がっている。この流れの中、欧州通貨は対ドルで高値圏を維持し、ユーロドルは1.15ドル台後半、ポンドドルは1.34ドル前後で下げ渋る推移となった。こうしたストレート通貨の高値推移とリスクオンの円売りが相乗効果を生み、クロス円も上昇基調を継続し、午後にはユーロ円が185.48円、ポンド円が215.00円まで上値を伸ばす堅調な展開となった。

 ロンドン市場は、米国とイランの停戦交渉を巡る報道に翻弄された。序盤は株高によるリスク選好の円売りから「ドル高・円安」が優勢となり、ドル円は160円台前半で底堅く推移した。しかし中盤、イラン通信社が制裁解除を含む覚書草案を報じ、米メディアが早期合意の可能性を伝えると空気は一変。原油安や米債利回り低下とともに短期筋のドル買いが一気に巻き戻され、ドル円は160円割れを試す展開となった。その後、イラン側が「ホルムズ海峡を戦前の状況に戻さない」と牽制したことでドル売りは一服。ドル円は160円前後、ユーロドルは1.15ドル台後半での揉み合いに落ち着いた。全体の動きは東京のドル高を相殺した程度にとどまった。背景には本日NYカットの大型オプションや来週の日米金融政策発表を控えた様子見ムードがある。

 NY市場でドル円は160円台での推移が続いた。米国とイランの紛争終結に向けた合意への期待が高まる中、原油相場がWTIで一時83ドル台まで急落。一部報道では早ければ14日にもスイス・ジュネーブで覚書(MoU)の署名式が行われる可能性があるとも伝わっている。ただ、為替市場の反応は限定的で様子見の雰囲気を続けている。ドル円は一時160円を割り込む場面が見られたものの、160円を割り込むと押し目買い意欲も強く支えられている。「実際の合意成立は市場が考えるほど簡単ではく、来週はFOMCも控えていることから、しばらく方向感に欠ける展開が続く」との見方も出ていた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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