為替相場まとめ9月9日から9月13日の週
9日からの週は、ややドル安が優勢も神経質に上下動し、方向感がはっきりしなかった。ドル相場はややドル高推移となったあと、ドル売りが優勢に転じている。来週の米FOMCの利下げ幅に焦点が当てられるなか、先週末の米雇用統計や今週前半の米消費者物価指数。生産者物価指数などの結果を受けて、市場では25bp利下げ観測が高まり、ドル買いの動きを下支えした。しかし、週後半には有力なFEDウォッチャーから25bpと50bpで決めかねている、と発信され、前NY連銀総裁も50bpを主張、ドル売り圧力が広がった。円相場は円高の推移。ドル円は週明けに144円付近で上値を抑えられると週末にかけては140円台に軟化、年初来安値を更新した。この週は日銀審議委員の発言が相次いだ。ハト派と目される中川委員、最もタカ派とみられている田村委員らはニュアンスの差はありながらも、いずれも見通し通り進展すれば金融緩和の度合いを調整するとした。次のアクションは利上げの線で一致している。ECB理事会では市場予想通り25bp利下げが発表された。インフレ見通しが据え置かれる一方で、成長見通しは引き下げられ、利下げが正当化された。声明やラガルド総裁会見では、従来からのデータ次第、会合ごとの決定、事前に金利パスについてコミットせずとの姿勢が貫かれた。ユーロ相場は波乱なく推移した。
(9日)
東京市場では、ドル円が堅調。先週末の米雇用統計では失業率が改善も、雇用者数の伸びは予想を下回った。相場は上下動の末に株安とともに円高に傾いて引けた経緯があった。週明け東京朝方には142円台割れの場面があったが、その後は堅調に推移。午後には143.09近辺に高値を伸ばした。午前に発表された第2四半期の日本国内総生産(GDP)2次速報値が下方修正されたことや、一時1100円超の下げとなった日経平均が午後に下げ幅を縮小したことが円売りにつながった。米10年債利回りの上昇を受けたドル買いもドル円の支えとなった。クロス円は高止まり。ユーロ円は、午後に158.48近辺とこの日の高値を小幅に更新。ポンド円は187円台半ばを挟んでこの日の高値圏で推移。ユーロドルは午後にドル高傾向となり一時1.1068付近まで弱含んだ。
ロンドン市場では、ドル円が振幅。序盤はドル高・円安の動きに143.80付近まで上昇。東京市場からのリスク選好の動きを引き継いでスタートした。その後は一転して調整売りが入った。144円手前の売りに上値を抑えられると、利益確定売りが誘発された。ユーロ円もドル円の上昇を受けて158.70台まで買われたあとは、158.10付近へとに押し戻されている。ユーロドルは1.1080前後での推移からじりじりと下げた。ポンドドルが東京市場の1.3130前後での推移から1.3070台へ下げるなどドル相場は堅調だった。
NY市場では、ドル買い戻しが優勢。ドル円は143円台を回復している。先週の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回るなど米労働市場の冷え込みを示したものの、市場が警戒していた今月のFOMCでの大幅利下げまではないとの見方が優勢となっている。 今週の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)の発表次第ではあるが、通常の25bpの利下げ期待で来週のFOMCを待つことになりそうなムード。ユーロドルは戻り売りが続き、1.1035近辺まで下落した。今週はECB理事会が12日木曜日に開催されるが、25bpの利下げが確実視されている。ポンドドルは1.30ドル台に下落し、本日1.3070ドル付近に来ている21日線に顔合わせしている。東京時間の早朝に英求人雇用連盟(REC)が8月の雇用情勢を公表していたが、継続雇用が44.6と急速に低下していた。判断の目安である50も下回り続けている。
(10日)
東京市場で、ドル円は方向感に欠ける振幅。朝方に142.80台まで下落も、日経平均の上昇がリスク選好の円売りにつながると143.55近辺まで買われた。しかし、買い一巡となると143.00台まで反落。日経平均は結局、マイナスに転じて引けた。日本時間明日午前10時の米大統領選候補者討論会を前に警戒感が見られ、一方向の動きにならず。ユーロ円もドル円と同様に上下動、総じて一方向に動きにはならなかった。ユーロドルは1.10台で落ち着いた動き、朝からのレンジは1.1028-1.1043の15ポイント。
ロンドン市場は、全般的に方向性が希薄。そのなかではポンドがやや買われた。ロンドン早朝に発表された英ILO雇用統計では、失業率が低下する一方で、賃金上昇率が鈍化した。市場では9月の英MPCで政策金利が据え置かれるとの見方が優勢になっている。9月理事会での利下げが見込まれるECBとは対照的としてユーロ売り・ポンド買いが優勢に。ポンドドルは1.30台後半から1.31付近での上下動、ポンド円は一時188円台乗せも、その後は187円台前半まで押し戻されている。ユーロドルは1.1050近辺に高値を伸ばしたが、買いは続かず1.10台前半で推移。ユーロ円も158.60台まで買われるも、その後は158円付近に押し戻されている。8月独消費者物価指数確報値は前年比+1.9%と速報値から変わらずだった。ドル円は米債利回りや米株先物動向をにらみつつも、143円付近から143円台後半での振幅に終始。明日の日本時間午前の米大統領候補のテレビ討論会、その後のNY時間の米消費者物価指数の発表などを控えて模様眺めムードが広がっている。
NY市場は、リスク回避ムードが広がり、ドル買いとともに円買いも優勢。ドル円は142円台前半に下落と、上値重く推移している。本日は原油相場が急落、WTIが一時65ドル台まで下落する中、米国債利回りの下げがドル円を圧迫した。この日の中国の貿易統計で輸入が予想を大きく下回っており、原油需要の先行きへの不透明感を高めたようだ。米株式市場はIT・ハイテク株は堅調に推移したものの、今年に入って堅調に推移していた大手銀株が売りに押されたほか、エネルギー、産業も下落し、経済への不透明感が出ている。そのような中、為替市場はドル高・円高の動きが見られた。ユーロドルは売りが優勢となり、1.10台前半に下落。ポンドドルも売りが優勢となり、1.3050付近まで一時下落。
(11日)
東京市場では、ドル円が年初来安値を更新した。注目された米大統領選候補者討論会は、直後の大手メディアによる緊急世論調査で63%がハリス氏が優勢と答えるなど、ややハリス氏が押していた。この結果を受けてドル安・円高・株安・債券高(利回り低下)が進んだ。リスク警戒の動きが一気に強まっている。ドル円は142円付近から売りが強まり、討論会中には8月5日安値141.70レベルを下回った。その後も売られ続け、討論会終了後には141円割れから140.71レベルと年初来安値を更新した。ダウ平均先物時間外が200ドルの下げになるなど、株安の動きが進行。ユーロ円は157円台から155.50付近へ、ポンド円は186.30台から184.48近辺まで下落。ユーロドルは1.1017から1.1051まで買われ、ドルは軟調。米10年債利回りは3.65%台から3.60%台に低下した。
ロンドン市場は、円高が一服している。東京市場ではトランプVSハリスの米大統領候補の討論会、中川日銀審議委員の発言などを受けて株安、米債利回り低下とともに円高・ドル安の動きが広がった。しかし、NY午前の米消費者物価指数の発表を控えて、ロンドン時間には円高の動きは一巡している。欧州株が底堅く推移、米債利回りの低下一服なども相場の落ち着きにつながっている。ドル円は140円台後半と年初来安値を更新したあとは、141円台後半まで反発。ユーロ円は155円台半ばから156円台半ばへ、ポンド円は184円台半ばから185円台前半へと下げ渋り。また、この時間帯にはポンド売り圧力も見られている。英月次GDPが予想を下回り、前月比横ばいと停滞したことに反応。ポンドドルは1.30台後半から1.31台に乗せていたが、発表を受けて再び1.30台後半に押し戻されている。一方、ユーロドルは1.10台前半から半ばへ買われて高止まり。ユーロ買い・ポンド売りの動きとなっている。
NY市場では、ドル円が激しく振幅。8月の米消費者物価指数(CPI)でコア指数の前月比が0.3%上昇と予想を上回ったことから、米国債利回りの上昇と伴にドルの買いが強まり、ドル円も141円台から142円台半ばに上昇した。ただ、動きが一巡すると米株式にらみの展開となり、序盤のダウ平均が700ドル超急落するとドル円も141円台に下落。しかし、今度は米株式市場が買いもどされ、ダウ平均がプラスに転じたことでドル円も142円台半ばに買い戻される展開となった。米CPIについて市場では、来週のFOMCでの大幅利下げ期待が完全に後退しているほか、年内の利下げ期待も計1.00%ポイントは維持しているものの、前日からは後退している状況。ユーロドルは売りに押され、1.10台割れを試す動き。ただ、大台割れには至らず。ポンドドルは1.30割れを試す動きも見られていたが、1.30台は堅持。
(12日)
東京市場では、円売りが優勢。ドル円は午前に日経平均の大幅高とともに一時142.95付近まで上昇した。その後は、田村日銀審議委員が追加利上げに前向きな発言をしたことから円が買われ、午前の上げを帳消しにする場面があったが、午後には再び142.90台まで一時上昇した。寄り付きから買いが目立った日経平均は、後場に入り一時1280円超の上げとなり、リスク選好の円売りにつながった。ユーロ円は午前に157.30台まで上昇したあと、いったん156円台後半に押し戻されたが、午後は再び上値を試し、157.47付近まで上昇した。ポンド円は午後に186.53付近まで、豪ドル円は95.67付近まで上昇して、この日の高値を更新した。ユーロドルは午前にいったん1.1006付近まで弱含んだあと、午後は1.1022付近まで強含んだ。
ロンドン市場は、落ち着いた展開。前日の米株高を受けて欧州株も堅調に推移、米株先物もプラス圏を維持、原油先物は上昇。リスク動向の落ち着きを受けて、為替市場ではやや円売りが優勢。ドル円は一時143円台乗せ。ユーロ円は一時157円台半ば、ポンド円は186円台後半をうかがった。ただ、一段の手掛かり材料に欠けるなかで売買が交錯しており、円売りの動きも続かず。米10年債利回りは3.66%台から3.67%台へと小幅に上昇も、リスク選好的な動きでドルストレートはややドル安の動き。ユーロドルは1.10台前半での揉み合い。ポンドドルは振幅も、1.30台前半から後半へと小高く推移。この後はECB理事会、米生産者物価指数と新規失業保険申請件数が発表される。ロンドン午前はイベント待ちのムードが広がっている。
NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は141円台に再び下落した。途中で142円台半ばまで戻す場面が見られたものの、終盤に失速した。下げ渋ってはいるものの依然として上値は重いようだ。本日は8月の米生産者物価指数(PPI)が発表になっていたが、反応は限定的だった。来週のFOMCでは25bpの通常利下げに留まるとの見方で市場のコンセンサスは固まったようだ。FRBの今後の利下げペースに関しても緩やかなものになるのではとの見方も出ている。FRBのスタンス変更をきっかけにドル円は7月中旬以降下向きの流れが形成されているが、そのトレンドに変化はなさそうだ。ユーロドルはNY時間に入って買い戻しが優勢になり、1.10台後半まで上昇。本日はECB理事会が開催され、予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施し、今後の金利についても特定の道筋にコミットすることなかった。こちらも予想通り。今回はECBスタッフ見通しも公表され、成長見通しを下方修正していた。ラガルド総裁もユーロ圏経済の下振れリスクを指摘し、特にドイツ経済の減速に言及していた。ただ、市場からは今回のECB理事会は決してハト派な印象はないとの指摘も出ていた。ポンドドルも1.31台に戻した。
(13日)
東京市場では、ドル円が下落。朝方の141.80付近から一時140.65近辺と1月に付けた年初来安値を割り込む動きを見せた。その後141円台を回復もやや上値が重い。下落の背景としては、米大幅利下げ期待が再燃したことが指摘されている。日本時間午前1時ごろFEDウォッチャーとして知られる米WSJ紙のニック・ティムラス記者がFRBが0.25%、0.50%を決めかねていると、0.50%の大幅利下げとなる可能性に言及した。事前に0.25%利下げ観測が市場に浸透していたが、0.50%観測が4割程度まで高まっている。ユーロ円は157円ちょうど付近から156円だ割れまで一時下落。ユーロドルは1.1070-1.1090レンジにとどまっている。
ロンドン市場では、ドル円が一時140円台前半に下落。昨日のNY午後に有力FEDウォッチャーが9月の米利下げ幅について「25bpか、もしくは50bpかで決めかねている」と発信したことが背景。市場ではほぼ25bp利下げでコンセンサスが形成されつつあったが、この報道を受けて再び50bp観測が高まっている。現時点では3割れ程度の確度で50bpが織り込まれている状況。来週は週末に日銀決定会合も控えており、ドル円は短期的な変動期待が高まっている。日米金利差縮小観測によりドル円は下げ圧力を受けやすくなっている。きょうは141円台割れから140.37近辺まで安値を広げており、年初来安値を再び更新。ユーロドルは1.11ちょうど付近、ポンドドルは1.31台半ばへと上昇する場面があったが、ドル円と比較すると値幅は限定的。クロス円が全面安となっており、円買い主導の展開になっている。ユーロ円は一時156円割れ、ポンド円は184円台前半まで下押しされている。米大幅利下げ観測の再燃を受けて、欧州株や米株先物・時間外取引などは堅調に推移している。ユーロ対ポンド相場では、ユーロ買いが優勢。ECB理事会を終えて多くの当局者が一斉に発言しているが、10月の追加利下げに否定的な意見が多かった。データがそろう12月が有力視されている状況。
NY市場
執筆者 : MINKABU PRESS
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