ドル売りが続く中で、ドル円は上値重い展開 再び145円台に=NY為替概況
ドル売りが続く中で、ドル円は上値重い展開 再び145円台に=NY為替概況
きょうのNY為替市場、全体的にドル売りが続く中で、ドル円は上値が重い展開が続いた。一時147円台に上昇していたが、上値を抑えられて145円台前半まで伸び悩む動き。相変わらずボラティリティの高い相場が続いているが、150円から再び遠ざかる展開が出ている。前日も一時145円台前半まで下落していたが、145円に接近するとファンド勢による買いも観測されている模様。
ドル円は、23日金曜日の植田日銀総裁の国会出席とパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演待ちの状況に変化はない。現在は落ち着いているが、日銀の利上げをきっかけに円キャリー取引の急激な巻き戻しと世界同時株安が発生したことから、日銀も行動には慎重になっているものと見られている。ただ、海外勢中心に日銀の利上げ見込む声は根強い。遅れはありそうだが、日銀は利上げ姿勢の頓挫は避けたいはずだと、海外勢は考えているようだ。
一方のFRBだが、9月FOMCでの利下げ期待は温存されているものの、0.50%の大幅利下げについては可能性を大きく後退。市場は今週のジャクソンホールでは金融政策のヒントを期待している。市場では9月以降、年末までに毎FOMCでの利下げを織り込んでいる。場合によってはどこかで大幅利下げの確率も織り込んでいる状況で、一部からは行き過ぎた織り込みとの見方も出ている。
本日のユーロドルは買いが加速し、一気に1.11ドル台まで上げ幅を拡大した。1.11ドル台は昨年12月以来の高値水準。ユーロの材料というよりも、専らドル安がユーロドルを押し上げている。
FRBによる利下げ観測が背景にあるほか、最近のドル安は、米大統領選の世論調査でハリス候補が健闘していることとも関連している可能性があるとの指摘も出ていた。トランプ候補が大統領に選出された場合、インフレにつながる関税や減税を実施し、FRBの利下げ幅を縮小させる可能性があるという。
今週はECBが第2四半期の労使交渉による妥結賃金のデータを公表するが、第1四半期同様に強いデータが出る可能性も指摘されている。市場はFRB同様にECBの9月追加利下げも完全に織り込んでいるが、数字次第では利下げ期待が緩む可能性もありそうだ。
ポンドドルは1.30ドル台に上昇。一時1.3050ドル付近まで上昇し、7月高値を上抜く場面も見られた。力強い値動きをしているポンドドルではあるが、ドル安もさることながら、M&Aに伴う需要もポンド買いの要因になっている可能性があるとの指摘も聞かれる。今年の英国は2000億ドル規模以上のM&A取引の対象地域になっているという。
ただ、M&Aが為替に与える影響は非常に不透明で、国境を越えた取引がどの程度現地で資金調達されるのかが不明なためだが、それがポンドが予想よりも若干強含んでいる理由の1つである可能性は否定できないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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