FX/為替「ドル/円、大ぶりなレンジで上下しながら落ち着きどころを探る展開」 外為どっとコム トゥデイ 2024年8月8日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年8月8日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(水)の為替相場
(1):内田日銀副総裁発言で円全面安
(2):中国貿易黒字は予想を下回る
(3):独経済指標は強弱まちまち
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:荒っぽく上下に振れる展開に警戒/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(水)の為替相場
期間:7日(水)午前6時10分~8日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):内田日銀副総裁発言で円全面安
日銀の内田副総裁は函館で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」「株価の変動は経済・物価見通しに影響し、政策運営上重要な要素」などとする見解も示した。株安と円高で日銀の利上げスタンスが弱まったとの見方から日本株が大幅に反発。円は全面的に下落した。内田副総裁は午後の記者会見でも、追加利上げについて「慎重に考えるべき状況」と発言した。
(2):中国貿易黒字は予想を下回る
中国7月貿易収支は846.5億ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(900億ドル)を下回った。輸入が前年比+7.2%と予想以上に伸びた一方、輸出は+7.0%と予想ほど伸びなかった。
(3):独経済指標は強弱まちまち
独6月鉱工業生産は前月比+1.4%と市場予想(+1.0%)を上回り、5月の落ち込み(-3.1%)から持ち直した。同時に発表された独6月貿易収支は204億ユーロの黒字となり、輸出の不調を背景に黒字額は市場予想(215億ユーロ)を下回った。
7日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:荒っぽく上下に振れる展開に警戒
昨日のドル/円は一時3円あまり上昇。値動きの荒い展開が継続した。日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」などと発言したことを受けて144円台から急伸。日本株も大幅に反発する中で一時は147.91円前後まで上値を伸ばした。その後の海外市場ではいくぶん落ち着き、147円台では戻り売りに押されて伸び悩んだ一方、146円台では買い戻しで下げ渋るなど、一進一退の動きとなった。終値は前日比2.3円前後ドル高・円安の146.75円付近。市場は徐々に落ち着きを取り戻しつつあるものの、ドル/円は依然として荒っぽく上下に振れる展開に警戒が必要だろう。引き続き、乱高下の展開が続く日本株の動きに注目だ。そのほか、日銀は追加利上げを決めた7月30-31日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表する。昨日の内田副総裁の発言で新鮮味を欠く内容になりそうではあるが、市場の関心が日銀の動向に向かっているだけに注目したい。また、米国景気の先行きに不透明感が広がる中、NY市場で発表される前週分の米新規失業保険申請件数にも注目が集まりそうだ。ドル/円は本日も大ぶりなレンジの中で上下しながら落ち着きどころを探る展開になるだろう。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:RBA総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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