【これからの見通し】底なしの円高・株安は一服も、ボラタイルな相場展開しばらく続くか
【これからの見通し】底なしの円高・株安は一服も、ボラタイルな相場展開しばらく続くか
市場の緊張感は続く。昨日の円高や株安のパニック相場から一変して、きょうは円安と株高の動きが急速に入っている。ただ、相場状況が大きく変質したあと、しばらくはボラタイルな相場展開が続きそうだ。
落ち着きどころを探る段階にはまだ早いのかもしれない。しかし、今日行われる三者会合(三村新財務官、井藤金融庁長官、加藤日銀理事、清水日銀理事などが参加)など市場心理を落ち着かせようとする動きがみられている。ただ、日銀の追加利上げ観測が円高の直接のきっかけとなる面があっただけに、植田日銀総裁からの説得力のある説明が今後のカギとなりそうだ。
また、米半導体企業の株価が急落したことも世界同時株安を招いた。米国発の明るい材料も待たれるところだ。昨日は米ISM非製造業景気指数が改善し、景気判断分岐点50を上回ったことが好材料だった。今後の一連の米指標で米経済の底堅さが示されるのかどうかも、ポイントとなろう。不安定な経済統計がしばらく続くようだと、米金融当局の大幅利下げ観測はなかなか収束しないだろう。
市場の不安の度合いを示すものとしてVIX指数(恐怖指数)がある。昨日に65%付近まで急上昇、その後足元では38%程度まで水準を下げている。ドル円1週間ボラティリティーは昨日に22.9%まで上昇したあと、足元では21.3%程度と上昇一服。ただ、いずれも通常よりも相当な高水準で推移しており、まだ市場の不安心理は拭えない状況だ。各市場とも「シートベルト着用」が点灯し続けている。
この後の海外市場で発表される経済指標は、ユーロ圏小売売上高(6月)、カナダ国際商品貿易(6月)、米貿易収支(6月)など。いずれも市場の不安心理を落ち着かせる材料としてのインパクトは弱いものとみられる。今週は主要な米経済指標発表は少なく、木曜日の新規失業保険申請件数で雇用の強弱を確認する程度となりそうだ。
発言イベント関連では、目立った講演予定はない。ただ、市場が不安定になるなかで、インタビュー、X、ブログなどの報道には注意しておきたい。米3年債入札(580億ドル)、ウーバー、エアビーアンドビー、キャタピラーなどの米企業決算が注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。