FX/為替「ドル/円、ドル安と円安の綱引きに 米国祝日で動意限定」 外為どっとコム トゥデイ 2024年6月19日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年6月19日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼18日(火)の為替相場
(1):日銀総裁発言受けてやや円買い
(2):RBA インフレ上昇リスクを警戒
(3):独ZEW景気期待指数は11カ月連続改善
(4):米小売売上高 予想を下回る
(5):米早期利下げに慎重な発言が相次ぐ
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感が出にくい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
18日(火)の為替相場
期間:18日(火)午前6時10分~19日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀総裁発言受けてやや円買い
日銀の植田総裁は前週の金融政策決定会合で発表した7月の国債買い入れ減額について「金融政策としての強いメッセージを出すのは控えたい」「国債買い入れ減額と政策金利の引き上げは別物」とした上で「場合によっては、次回会合で政策金利の引き上げは十分あり得る」と述べた。これを受けてやや円買いに傾く場面があった。
(2):RBA インフレ上昇リスクを警戒
豪中銀(RBA)は市場の予想通りに政策金利を4.35%に据え置いた。声明では「経済見通しは依然として不透明で、最近のデータはインフレ率を目標に戻すプロセスがスムーズに進む可能性が低いことを示している」「最近のデータはまちまちだが、インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」などとして再利上げの可能性を排除しない姿勢を示した。ブロック総裁も、その後の会見で「インフレの上振れリスクを警戒している」と強調。「今回の会合で利上げを議論した」とした一方で「利下げは議論しなかった」と明らかにした。その上で「4-6月期の消費者物価指数(CPI)が重要になる」との認識を示した。
(3):独ZEW景気期待指数は11カ月連続改善
独6月ZEW景気期待指数は47.5と前回(47.1)から小幅に上昇し、11カ月連続で改善したものの市場予想(50.0)には届かなかった。
(4):米小売売上高 予想を下回る
米5月小売売上高は前月比+0.1%と市場予想(+0.3%)を下回った。変動の大きい自動車を除いた売上高は前月比-0.1%と予想(+0.2%)に反して減少した。国内総生産(GDP)の推計に用いられるコア売上高(自動車、ガソリン、建材、外食を除く)は前月比+0.4%だった(市場予想+0.5%)。その後に発表された米5月鉱工業生産は前月比+0.9%と市場予想(+0.3%)を上回った。
(5):米早期利下げに慎重な発言が相次ぐ
リッチモンド連銀のバーキン総裁は「今年の第1四半期はインフレに対する確信が得られなかった」と発言。利下げにはより多くのデータが必要になるとの考えを示した。その後、ボストン連銀のコリンズ総裁は「インフレが2%に向けて低下しているかどうかを判断するのは時期尚早だ」と発言。セントルイス連銀のムサレム総裁も「利下げを支持するデータが出るまで数四半期かかる可能性がある」との見解を示すなど、連邦準備制度理事会(FRB)高官から、早期の利下げに対する慎重な発言が相次いだ。なお、利下げについてNY連銀のウィリアムズ総裁は「今後のデータ次第だ」と明言を避けた一方、クーグラーFRB理事は、経済状況が自身の予想通りに展開すれば「年内に利下げを行うのが適切となる」との見解を示した。
18日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感が出にくい
昨日のドル/円は158円台前半で伸び悩んだ。フランスの政局を巡る過度な不安が後退する中、158.23円前後まで上昇したが先週高値(158.26円前後)を前に失速。米5月小売売上高が予想を下回ると157円台へと押し戻された。ただ、東京市場で付けた157.52円前後の安値は割り込まずに157円台後半を維持。終値は前日比10銭あまりドル高・円安の157.83円前後だった。
米5月小売売上高の冴えない結果を受けて米金利先物が示す9月の利下げ確率は7割近くに上昇。年内2回の利下げを織り込む動きとなっている。こうした中、ドルは本日も上値が重い展開が見込まれる。一方で、昨日は利下げ期待を背景に米国株が上昇する中、クロス円で円売りが優勢だった。本日はアジア株の上昇が期待できそうで円の軟調地合いも続くだろう。ドル/円はドル安と円安の綱引きになることで方向感が出にくいと考えられる。また、本日は米国がジューンティーンスの祝日(株式と債券市場は休場)となることもあって、動意は限定的だろう。
注目の経済指標:英消費者物価指数
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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