為替相場まとめ7月20日から7月24日の週
20日からの週は、ドル円の上昇が際立った。ドル円は週を通じて歴史的高値圏での推移が続き、相場の主役は一貫して「有事のドル買い」と「日本の交易条件悪化による円売り」だった。週初はイラン情勢の緩和で原油が反落し、主要通貨はオプションに挟まれ方向感を欠いた。しかし、その後中東情勢は急速に悪化し、原油高と米金利上昇がドルを強力に押し上げた。米軍の連日の対イラン攻撃や強硬姿勢が報じられ、原油は90ドルの節目を上回り、米債利回りも上昇した。これによりドル円は約40年ぶりの高値を更新し、164円に迫る場面もあった。ユーロドルはECB据え置きにもかかわらずエネルギー高が重石となり1.13台へ軟化。ポンドは新政権への期待で底堅さを見せる場面こそあったが、財政不透明感とインフレ懸念が上値を抑えた。全体として、地政学リスクとエネルギー価格が為替の主導要因となり、主要通貨はドル高・円安の圧力に飲み込まれた一週間だった。
(20日)
東京市場は海の日の祝日で休場。
ロンドン市場は、方向感に欠ける展開となった。イラン外務省が外交努力を継続する姿勢を示したことで有事リスクが緩和し、週明けに急伸したNY原油は81ドル台まで反落した。これを受け、ドル円は162円台前半から半ばでの取引にとどまった。また、ドル円には本日NYカットで162円に31億ドルもの巨大なオプション設定が観測され、一方向への値動きが強く抑制されている。ユーロドルも1.14台に大規模なオプション設定があり、1.14台前半での揉み合いが続いている。一方、ポンドは買いが優勢となり、ポンドドルは1.34台後半で推移した。スターマー英首相が辞任し、いよいよバーナム新首相の時代が始まることへの期待感がポンドを支えている。欧州株は売り先行から買い戻しが優勢となり、市場のリスク動向は落ち着きを見せた。
NY市場は、全体的に動意薄の中、ドル円は162円台での推移が続いた。米国とイランに対し仲介国が提案を行ったと伝わる一方で、イエメンのフーシ派がサウジへの海上封鎖を表明するなど、中東情勢は依然として混とんとした状況が続いている。ユーロドルは一時1.14ドル付近で伸び悩む展開となった。原油相場が落ち着かない状況は、週後半に理事会を控えるECBにとって懸念材料となる見通しだが、今回の会合では政策金利の据え置きが確実視されている。ポンドドルはNY時間に入ってドル高が強まったことで伸び悩んだが、バーナム新首相就任へのポジティブな反応から一時1.34ドル台後半まで買い戻された。政権移行が円滑に進み、政治混乱の時代が終わるとの期待が広がる一方、経済と財政再建の難題も懸念されている。
(21日)
東京市場は、小動き。ドル円は前日の海外市場で中東情勢の緊迫化を背景とした有事のドル買いにより162.59円を付けた流れを引き継いで取引されている。朝方に162.50円前後でスタートした後、162.43円から162.54円というわずか11銭の非常に狭いレンジでのもみ合いに終始した。ユーロドルも戻りの鈍さが意識されつつ、1.1409ドルから1.1422ドルの小幅な値動きにとどまった。ユーロ円はアジア全般の株高による円売りの動きがやや優勢となったものの、185円台半ば前後での限定的な推移となっている。一方、ポンドドルはバーナム新政権誕生を受けてやや底堅く推移し、朝方の1.3423ドルから1.3450ドル近辺まで上昇するなど、各通貨の中で相対的な強さを見せた。
ロンドン市場では円売りとポンド売りが混在する中、主要通貨は総じて狭いレンジに収束した。欧米株の堅調さがリスク選好的な円売りを誘う一方、中東情勢緊迫化に伴う原油高が日本の交易条件悪化による悪い円安を連想させ、ドル円は162円台後半まで買われた。週末の世論調査で高市政権の支持率が5割を割り込んだ報道も日本売りの口実となった。ユーロドルは1.14台前半でやや買いが優勢となった。7月の独ZEW景況感指数が予想を上回る大幅改善を示したことが好感されたが、イラン紛争リスクへの懸念も残されている。ポンドドルは東京時間でエネルギー料金の付加価値税撤廃が好感され買われたものの、ロンドン勢の参入とともに上値が重くなり1.3420台へ反落した。英国特有の財源なき減税への警戒感が再び市場で意識されている。
NY市場では、ドル高の動きが優勢。ドル円は163円台へと上昇して1986年以来の高値水準を記録した。中東情勢が混迷を深め、米軍の攻撃が連続して実施される中で原油高と米債利回りが上昇し、ドルを力強く押し上げた。エネルギー供給への懸念からFRBが9月にも利上げを実施するとの観測が高まっており、日本との金利差拡大が円売り圧力を強めている。ユーロドルは1.14ドル割れをうかがう展開となり、4月中旬以降の下げトレンドへの回帰が意識されている。エネルギー価格の高止まりが続けば、ECBの追加利上げ期待を上回る下押し圧力がユーロにかかると指摘された。ポンドドルも1.33ドル台に下落して200日線を下回り、英国内の高水準な社会保障費がインフレを押し上げる懸念が相場の重石となっている。
(22日)
東京市場はドル高水準でのもみ合い。ドル円は、前日の海外市場で上値を抑えていた163円手前の売りをこなし、163.24円まで上昇した流れを引き継いで高値圏でスタートした。片山財務相から必要であれば断固たる措置をとるとの牽制発言があったものの相場の反応は限定的であり、その後は163円台前半でのもみ合いに終始した。中東情勢の不透明感からの有事のドル買いや、原油高を受けた米物価高警戒がドル円の下支えとなった。午後には株安を受けたリスク警戒の円買いが見られたが、値幅は小さく163.05円までの下げにとどまった。ユーロドルは1.1397ドルから1.1414ドルのレンジで推移し、ドル高圏での動きが続いた。ポンドドルは6月の英消費者物価指数の発表を受けて反応が不安定になり、直後に買われた後は1.3369ドルまで反落した。
ロンドン市場では、円高とドル高が激しく交錯した。日銀が利上げペース加速に柔軟な姿勢を示し、円安による物価上振れリスクが増大しているとの関係者発言報道が伝わると、ドル円は163円台から一時162.69円付近へと急落した。しかし、その後は中東情勢の深刻化を受けてNY原油先物が88ドル台まで上伸したことで、有事のドル買い圧力が働き再び163円前後へと上昇している。ユーロドルは前日のドル高に対する調整で一時1.14台前半に上昇したものの、原油高に伴うドル売り圧力に押されて足元では勢いを失った。ポンドドルは1.33台後半で神経質な売買が交錯している。英消費者物価指数のヘッドラインインフレ鈍化が上値を抑える一方で、サービス部門の根強い物価上昇に対する警戒感から、方向感に乏しい上値の重い展開となった。
NY市場では、ドル円は163円台前半での推移が続いた。1986年以来の歴史的な高値水準にある中、中東情勢の悪化を受けた有事のドル買いが相場を押し上げている。トランプ大統領がフーシ派の航路妨害に対して強硬な対応を表明し、米国とイランの対立が深まる中で原油相場が再上昇しており、FRBの利上げ期待が根強くドルを支えている。ユーロドルは1.14台前半で膠着状態となった。翌日のECB理事会では金利据え置きが確実視されているが、インフレ高止まりを背景に9月の利上げに向けたヒントが示されるかが注目されている。ポンドドルは一時200日線が控える1.34ドルを試す展開も見られたが上値を抑えられ、1.33ドル台に留まった。エネルギー価格上昇による秋以降のインフレ再燃リスクが強く懸念されている。
(23日)
東京市場では、ドル高水準でのもみ合い。ドル円は、163.00円から163.15円という非常に狭いレンジ内での膠着した推移となった。好調な豪雇用統計の結果を受けた豪ドル高・ドル安の流れからユーロドルやポンドドルは総じて底堅い動きを見せた。一方でドル円に関しては、豪ドル円の上昇による円安圧力がドル安による下押し圧力と相殺し合う形となり、全体としての値動きが強く抑制された。ユーロドルは1.1400ドル割れを試す動きには慎重であり、午後に高値を付けるなど堅調に推移した。この後に控えるECB理事会では政策金利の据え置きが優勢とみられ、市場の波乱要素は少ないと判断されている。ポンドドルも朝方の1.3368ドルから午後に1.3393ドルまで値を伸ばし、クロス円も欧州通貨買い波及の恩恵を受けて底堅く上昇した。
ロンドン市場では、ドル買いの流れが優勢となった。米国とイラン双方による攻撃の激しい応酬に加え、ルビオ米国務長官の対イラン強硬発言が伝わり、中東情勢の深刻化と長期化への警戒感が一段と強まっている。これを受けてNY原油先物は一時90ドル台へ乗せ、米10年債利回りも4.67%台後半へと急上昇した。金融市場全体でリスク回避の動きが広がる中、有事のドル買いと日本の交易条件悪化を背景とした円安が同時に進行し、ドル円は直近高値を上抜けて163円44銭付近まで上伸し約40年ぶりの高値を更新した。一方、ユーロドルは有事のドル買い圧力に押されて前日のNY終値を下回る水準へ軟化し、ポンドドルも東京市場での上昇分を失って安値を広げた。市場関係者はこの後のECB理事会とラガルド総裁の会見に神経を尖らせている。
NY市場ではドル高がさらに加速している。ドル円は一時164円に迫る動きを見せた。中東情勢が依然として混迷を極め、米国とイランの対立が激化する中で原油高と米債利回りの上昇が続いており、ドルは円に対して容赦なく買われている。日銀の引き締め加速観測や為替介入への警戒感はあるものの、実質的な効果には限界があると見なされている。ユーロドルは1.13ドル台へと下落した。ECB理事会では予想通り金利が据え置かれたが、ラガルド総裁はエネルギーショックによるインフレ上振れリスクへの強い警戒感を示し、今後の原油価格動向次第で9月に利上げを実施する可能性が高いことが示唆された。ポンドドルも戻り売りが強まり一時1.33ドルを割り込み、新政権の財政運営方針の不透明感からポンドの上昇基調が揺らいでいる。
(24日)
東京市場で、ドル円は、前日のドル高水準を維持しつつ163円台後半で値動きの乏しい展開となった。週末を挟んで米国とイランやイエメンのフーシ派による軍事衝突が拡大するとの警戒感に加え、原油高に伴う年内の米利上げ観測がドル円の強力な支援要因となっている。一方、ホルムズ海峡や紅海での航行制限、サウジの海洋封鎖に伴う原油高は、中東産原油への依存度が高い日本の貿易収支や財政の悪化を招くとの懸念から構造的な円安圧力となっており、片山財務相による牽制発言に対する市場の反応は乏しかった。ユーロ円が186.54円付近、ポンド円が218.33円付近、豪ドル円が114.35円付近へやや水準を切り上げたものの、クロス円も明確な方向感を欠いており、全体として中東情勢のさらなる悪化を強く警戒する動きが優勢となった。
ロンドン市場は、原油相場が反落したことでドル売りが先行した。中東情勢に特段の好転はみられていないが、週末調整もあってNY原油先物は92ドル台から一時88ドル台まで反落した。欧州株や米株先物・時間外取引は小反発している。米10年債利回りは4.71%付近から4.68%付近へ低下と、リスク警戒の動きは一服している。ドル円は164円台乗せの誘因を失い、163.60台まで反落。ユーロドルは1.1370台から一時1.1401付近まで上昇。ポンドドルは1.33トビ台から1.3340台まで一時上昇した。ただ、ドル売りの動きも一服してきており、全般に動意薄のマーケットとなっている。週末や来週の日米金融政策イベントなどを控えた調整の面が指摘される相場展開になっている。一部新聞社が「日銀の7月会合、政策金利据え置きへ」と報じ、英欧PMI速報値は改善も、いずれにも目立った反応はみられなかった。
NY市場でドル円は163円台後半推移が続いた。NY朝にかけて買いが広がり、163.87円を付けたが、その後NY原油の上昇一服を受けてドル買いも一服となった。中東情勢が緊迫化する中でも、原油輸送は途切れていないとの見方や、パキスタンとイランが米国との新たな協議に向けた道筋を模索との報道などが原油安を誘い、物価高警戒からのドル買いも後退した。ドル円は163.64円とロンドン朝の安値をわずかに下回った。もっとも下げ一巡後はドル買いに復し163.80円台を回復して週の取引を終えている。ユーロドルは1.13台後半推移。ユーロ円は対ドルでユーロが重くなったこともあって、午後に186.23円まで下げている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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