ドル高一服も円安が根強く、ドル円は上値追い続く=NY為替概況
ドル高一服も円安が根強く、ドル円は上値追い続く=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は上値追いが続き158円手前まで一時上昇した。ドル自体は方向感のない値動きとなっているものの、根強い円安がドル円の下値をサポートしている。ただ、以前ほどドル高の勢いもないことから、160円を試しそうな雰囲気まではまだない。
先週のFOMC、日銀、米インフレ指標を通過して、ドル円は底堅く推移している。FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)は3月の年内3回から1回に下方修正され、予想通りのタカ派への変更ではあったものの、市場は年内2回の利下げ期待を織り込んでいる。鈍化期待を示唆した米インフレ指標の方に市場は重点を置いているようだ。
一方、日銀は国債購入減額の方針こそ示したものの、今回は具体策の発表は見送った。7月の決定会合で発表するとしている。追加利上げについても何もヒントを示さなかった。海外勢中心に日銀の正常化期待が高まっているが、今回の決定は予想通りではあったものの、物足りなかった模様。
春闘での賃金引上げ発表以降、中小企業を含めた全体の賃金動向とその持続性、そして個人消費に好影響が出ているのか何も確認できていない。そのような中で、日銀も正常化の方向性は示しているものの、慎重姿勢を堅持しているようだ。
ユーロドルは先週の下げが一服し、1.07ドル台に戻した。欧州議会選挙での右派の勝利、マクロン仏大統領の総選挙実施、フランスでのルペン氏率いる右派政党・国民連合(RN)の支持拡大、そしてフランス国債の急落といった一連の流れで、ユーロドルは売りが強まり、先週末には1.0670ドル近辺まで下落していた。
本日はフランス国債への売り圧力が一服しており、ユーロも下げを一服させている状況。ルペン氏が次期国政選挙で勝利した場合でも、マクロン大統領と協力すると発言したことが安心感に繋がっている。勝利してもマクロン大統領を追い出すつもりはないと述べた。ただ、市場ではなお懐疑的な見方も根強い。この問題が落ち着かない限り、ユーロを買い戻しも躊躇されそうだ。
ポンドドルは先週末の下げを一服させ、1.27ドル台に戻した。先週はフランスの政局不安を材料にしたユーロ安にポンドも連れ安となり、ポンドドルは1.26ドル台半ばまで下落していた。21日線をブレイクした格好となっており、早急に戻させるか注目される。
その意味でも今週のポンド関連のイベントは重要になる。19日に英消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標が公表されるほか、20日には金融政策委員会(MPC)が予定されている。今回は据え置きが有力視されているが、委員の投票は7対2での据え置きになるとの見方が出ている。2名の委員が利下げに投票すると予想しているという。失業率が4.4%に上昇し、英CPIは19日に目標の2%達成が予想されるなど、最近のデータは利下げ開始を支持している。しかし一方で、今後の賃金データとサービスインフレに対する懸念も根強い状態。
英中銀は8月に利下げを実施する可能性が高いと予想しているが、短期金融市場では現在、その確率を50%未満で織り込んでいるとも述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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