ドル円が150円を割り込む 米小売売上高が予想以上の減少=NY為替概況
ドル円が150円を割り込む 米小売売上高が予想以上の減少=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は150円を割り込んだ。この日発表の1月の米小売売上高が予想以上の減少となったことでドル売りが強まり、ドル円も瞬間的に149.55円付近まで下落する場面が見られた。今週の米消費者物価指数(CPI)の強さもあり、短期的にはドル高を見込む声が多いものの、ドル円は150円台に入ると戻り売りも観測されている。実需やクロス円の下落がドル円の上値を抑えるようだ。
FRBは利下げ開始のタイミングや程度には慎重になっているものの、少なくとも次の行動は利上げではない。日銀もマイナス金利解除の出口戦略を探る状況。とはいえ、日米の金利差が急速に縮小する環境にはなく、ドル円の上値期待は温存されるものの、FRBが積極的に利上げをした22年や23年前半とは状況が違う。積極的に上値を試す状況でもなく、150円を超えてくれば、ロングの解消や売りヘッジのニーズがあるのかもしれない。
10-12月期(第3四半期)の日本のGDP速報値が前期比年率換算でマイナス0.4%減となった。予想は1.1%プラス成長を見込んでいただけに驚きとなったが、これで2四半期連続のマイナス成長で定義上は、テクニカル的なリセッション(景気後退)入りとなる。ただ市場では、日銀のマイナス金利解除がこれで遅れることはないと見られているようだ。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり、1.07ドル台後半まで上昇。しかし、上値に軽さはなく、本日1.0795ドル付近に来ている100日線には到達せずに、1.07ドル台半ばに伸び悩んでいる。
本日はラガルドECB総裁が欧州議会に出席し、ECBは新たな枠組みの下で保有債券を維持することになるだろうと語った。新たな枠組みは今後数カ月で決定される見通し。「時間とともに流動性が低下すれば、どれだけの流動性が必要で、どの金利を基準に用い、どのような仕組みで金利を管理するのか決定しなければならない段階がやって来る」と述べた。この政策枠組みの下で管理されるのは、各種の債券ポートフォリオに加え、様々な返済期限の資金供給オペになる可能性が最も高いという。
ポンドドルは買い戻しが優勢となり、1.25ドル台後半に上昇。本日の200日線が1.2565ドル付近に来ているが、その水準はかろうじて維持されている状況。ただ、ポンドドルは次第に上値が重くなっている印象は否めない。
本日は第4四半期の英GDP速報値が発表になっていたが、予想に反して前期比0.3%のマイナス成長となった。2四半期連続のマイナス成長で、テクニカル的にはリセッション(景気後退)入りとなる。一部からは、景気の下押し圧力の多くは一時的なもので、年後半には回復に向かうとの指摘も出ているが、今回の景気後退入りはスナク首相にとって打撃であり、政治的は意義は大きい。
年内に総選挙が控えている中で、3月6日にハント英財務相が春季予算案で大幅減税を表明する可能性を高めている。その場合、減税が英中銀の利下げ開始を遅らせる可能性があるとの指摘も出ている。減税はインフレの上昇方向に作用することから、英中銀のインフレ抑制策をさらに複雑にするという。利下げサイクル開始を遅らせるか、あるいは会合ごとの利下げではなく、四半期ごとの利下げにペースを落とす可能性があるという。いずれにしろ、現時点での景気後退は、政治も金融政策も複雑にし、頭痛の種になると見られているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。