植田日銀総裁の会見を受けて円売り強まる=ロンドン為替概況
植田日銀総裁の会見を受けて円売り強まる=ロンドン為替概況
本日の日銀金融政策決定会合は市場予想通り政策金利・YCCの現状維持を決定した。海外勢を中心に早期のマイナス金利解除に向けて地ならしが見られるのではとの期待があったが、声明はこれまでの緩和姿勢を踏襲。ポイントと見られた「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」の文言も残った。この結果を受けてドル円は142円60銭前後から143円70銭台まで上昇。その後143円台での推移となり、143円60銭台で午後3時半からの植田日銀総裁の会見を迎えた。
総裁会見の最中、いったんドル売り円買いが強まり、142円55銭前後を付ける動きが見られた。会見はまだ始まったばかりで声明の内容を総裁が伝えていた段階。消費者物価指数は、2025年度にかけて2%を上回る水準で推移するとのヘッドラインニュースが英語で流れたところで、アルゴリズムがらみのドル売りが入り、会見が始まったタイミングで取引量がかなり少ない中で大きな動きになった可能性が指摘された。ただ、このニュースの内容自体は声明と同一。その為、下げ止まるとすぐに143円台を回復した。
質疑応答で植田総裁は緩和姿勢の維持を示した。さらに7日の国会答弁での発言で、一時的な円買いを誘った「年末から来年にかけて一段とチャレンジング」との表現について、仕事に対する姿勢についての質問を受けての回答であると示し、マイナス金利解除を念頭に置いたものではないことを示した。
会合声明、会見でともに見られた緩和姿勢の維持と、チャレンジング関連での発言を受けてその後円売りが一気に強まり、ドル円は会合直後の高値を超えて144円台に乗せると、そのままドル高円安が止まらず、144円90銭台までと、145円に迫る動きを見せた。
今回の会合を受けて日銀による早期のマイナス金利解除期待が後退。これまでの円買いに対する調整が強まる展開となった。
クロス円も同様の動き。ユーロ円は会合を受けて155円70銭前後から157円01銭まで上昇。その後157円ちょうど前後の高値圏で会見を迎えると、いったんの円高に155円80銭前後まで下落。その後の円売りに158円50銭越えまで上昇。ポンド円や豪ドル円などその他クロス円でも同じような動きを見せている。
ユーロドルはほぼ蚊帳の外、対円でのユーロ買いにややしっかりも1.0950を付けていない。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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