ドル円は150円台に上昇も売買交錯 米国債利回りが上昇=NY為替概況
ドル円は150円台に上昇も売買交錯 米国債利回りが上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は再び150円台に上昇した。ただ、駆け上がることもなく、150円台前半で売買が交錯した。本日は強い米住宅指標の発表や、5年債入札が不調だったこともあり、米国債利回りが上昇。ドル円も150円台を再びトライした。先日のような急速な戻り売りも出ずに、水準を維持している。ただ、慎重な雰囲気に変化はなく、日銀が来週の決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)を再修正してくるのではとの観測と、底堅い米経済との綱引きが続いている。
市場では日銀のイベントリスクを意識した円高ヘッジのポジションが積み上がっているとの指摘も聞かれる。一方、もし、日銀が動かなければ、これらのポジション解消が加速し、円安を誘発するとの声もあるようだ。ボラティリティが高まっていないことから、財務省の介入は正当化されず、市場もそれへの警戒は薄れている模様。
また、明日のECB理事会や米GDPの発表がドル高を誘発するとの見方も出ている。特に米GDPについては強い数字が予想されており、エコノミストの上方修正も相次いでいる。前期比年率換算で4.3-4.5%程度が見込まれているようだが、予想以上に強い数字であれば、米国債利回りの上昇と伴に敏感に反応する可能性も留意される。
*米実質GDP(速報値)(第3四半期)26日21:30
予想 4.3% 前回 2.1%
個人消費
予想 4.0% 前回 0.8%
GDPデフレータ
予想 2.6% 前回 1.7%
PCEコアデフレータ
予想 2.6% 前回 3.7%
ユーロドルは1.05ドル台で上下動。このところのドル買いに一服感が出ていることから、ユーロドルもリバウンドの兆候を見せているが、依然として上値は重く、1.06ドル台に入ると戻り売りに押されている。本日の21日線が1.0560ドル付近に来ており、目先はその水準がポイントとして意識される。
明日はECB理事会が開催される。今回は据え置きが確実視され、声明やラガルド総裁の会見も、特に金利についての言及は限定的になるとの見方が優勢となっている。ただ、総裁が景気後退のリスクが高まっているとの見方を強調した場合、ユーロは下落の可能性があるとの見方も出ているようだ。景気後退への懸念の高まりを表明し、地政学的緊張と国債利回りの急上昇を経済へのリスクとして指摘すれば、ユーロは売られる可能性が高いという。
いまのところ短期金融市場では、ECBは利上げサイクルをすでに終了し、次の行動は利下げと見ている。2024年第2四半期に最初の利下げを実施と見ているようだ。
ポンドドルは1.21ドル台前半に下落。本日の21日線が1.21ドル台後半に来ているが、その水準の下での推移が続いている。一部からは、今後、英経済が予想される景気後退から回復し、投資家が英国に楽観的になるにつれて、ポンドドルは2024年末までに1.24ドルまで上昇する可能性があるとの指摘が出ている。ただし、当面は米国債利回りの急上昇と米景気の底堅さがドルの支えとなり、年末のポンドドルは1.20ドルまで下落すると予想しているという。FRBと英中銀は2024年第2四半期に利下げを開始し、同ペースで利下げを進めるとも予測している。
なお、本日はカナダ中銀が金融政策委員会の結果を発表し、金利は予想通りに据え置きとなった。カナダ中銀は利上げサイクルを既に終えており、長期の高金利維持の姿勢に切り替わっている。ただ、カナダドルは売りの反応を見せた。カナダ中銀は、2%目標の達成時期を従来の25年半ばから25年後半に後ろ倒したことが嫌気された模様。しかし、その後のマクレム・カナダ中銀総裁の会見では追加利上げの可能性は残していた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。