為替相場まとめ10月2日から10月6日の週
2日からの週は、ドル相場主導の展開。週前半には前週から続くドル買い圧力が先行、米債利回りの上昇とともにドル円は150円台に乗せる場面があった。米JOLT求人件数が予想外の大幅増となったことに反応した。しかし、150円を付けた直後に大口の売りが入り147円台前半まで急落。その後は149円台を回復。鈴木財務相など関係者は、為替介入に関する質問にノーコメントを貫いた。週後半は米雇用統計発表を週末に控えて、米債利回りの上昇に調整が入ると、ドル相場も売りに押された。ドル円は148円台を中心に推移した。ユーロドルは1.04台半ばまで直近安値を広げたあとは、1.05台へと買い戻された。ポンドドルも1.20台半ばまで下落したあとは、1.22近くまで反発。米雇用統計は、予想以上に雇用者数が増加した。米債利回りが大幅上昇、ドル買いが強まった。しかし、4.885%まで上昇した米10年債利回りが低下すると一転してドル売りとなり、ユーロドルやポンドドルで米雇用統計前の水準を超えてのドル安となった。ドル円も149円00銭台まで下げる場面が見られたが、米株高を受けた円売りにしっかりとなった。
(2日)
東京市場は、ドル買いが優勢。先週末NY市場でドル円は149円台に乗せて引けた。その流れを受けて週明け東京市場でもドル買いが継続。午後には149.82近辺と年初来高値を更新した。日経平均は午前中に500円超の上昇となったが、午後には調整が入りマイナスで引けた。ただ、ドル円の調整は浅く、149円台後半での推移。ユーロドルは落ち着いた値動きのなかで1.0570台から1.0550台へとややドル買いに押された。豪ドル売りが目立った。世界銀行が中国の経済成長見通しを引き下げたこと、週末報じられた中国のPMIは国家統計局によるPMIが強く出たものの、中小企業が中心の財新PMIが弱く出たことで、警戒感が広がった。また、今月就任したブロック豪中銀新総裁の下での初会合が明日行われることを受けて、少し警戒感が出ていた。 豪ドル/ドルは朝の0.6440台から0.6390台を付けている。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。米債利回り動向に対してドル相場が敏感に反応。ユーロドルはロンドン朝方に米10年債利回りが4.60%付近に低下すると、高値を1.0592近辺に更新。先週末のドル買いの動きにやや調整が入った。しかし、米債利回りが4.63%付近に上昇したことでドル買いが優勢になり、1.0532近辺まで下押しされている。ポンドドルも同様に1.2220近辺まで買われたあとは、1.2148付近へと下落。いずれも本日の安値を広げている。この日は独仏ユーロ圏、英国などの製造業PMI確報値が発表されたが、多少の改善をみせつつも引き続き50割れにとどまっており、目立った市場反応はみられなかった。ユーロ圏失業率は6.4%と過去最低水準にとどまった。ドル円は149円台後半に高止まりしている。東京午後に149.82近辺まで買われ、年初来高値を更新した。その後は売買が交錯して149円台後半での揉み合いが続いている。総じて、ドル高の流れが継続している。このあとのNY市場ではパウエルFRB議長の発言機会が予定されており、事前にドルが買われている面も指摘される。
NY市場では、ドル買いが継続。ドル円は150円台をうかがう展開がみられ、149円台後半に高止まり推移した。介入警戒感もあり上値に慎重にはなっているものの、戻り売りを強める動きも見られていない。懸念されていた米政府機関閉鎖も議会が45日分のつなぎ予算を承認し、土壇場で回避された。つなぎ予算を成立させたことで、米格下げへの懸念からひとまずは安心感につながった。ただ、11月中旬には再び期限が訪れ、予断を許さない状況に変わりはない。市場ではFRBのタカ派的スタンスは長期化するとの警戒感が高まりドルを下支えしているが、今週末の米雇用統計はそれを覆すほどの内容ではないとも見方も広がっていた。ユーロドルは下値模索が続き、きょうも再び節目の1.05を割り込み、なお下値が見えない状況が続いている。アナリストからは、経済見通し悪化でユーロは更に脆弱になるとの見方もあった。ポンドドルも再び下値模索が加速し、3月以来の安値水準での推移となっている。目先は心理的節目の1.20ドルを試しに行くか注目される。市場は英中銀の利上げ期待を後退させているが、それでもあと1回の追加利上げを織り込む動きが出ている。本日はタカ派として知られるマン英中銀委員の発言が伝わっていたが、内需が底堅く、物価上昇圧力がより持続するという自身のメインストーリーは変えていない。
(3日)
東京市場で、ドル円は小幅ながら高値を更新。前日海外市場で米10年債利回りが上昇した流れを受けて、東京時間にも4.7%付近の高値水準で推移。ドル円はじりじりと上値を試す展開となり、149.93近辺に直近高値を更新した。朝からのレンジは14銭にとどまった。ユーロドルは1.0460前後まで下げ、豪ドルは0.6309近辺まで下げるなどドルは全面高となった。米FRBの引き締め姿勢継続がドル高につながっている。日経平均は大幅安。休場明けの香港株式市場も大きく下げており、リスク警戒のドル買い・円買いも出ており、クロス円は軒並みの下げとなっている。
ロンドン市場でも、ドル買い圧力が残っている。序盤は米債利回りが低下したことで調整の動き。ドル円は149.93近辺と年初来高値を更新したあと、149.65近辺まで反落。その後は再び米債利回りが上昇し、149.90付近へと上昇。150円の大台が意識されるなかで、神経質な上下動となっている。ユーロドルは1.0460近辺を安値に、1.0493近辺まで上昇。その後も高止まりしている。ドル売りとともにユーロ自体の買いも。レーンECBチーフエコノミストは、「賃上げによる物価上昇圧力が残っている」「インフレ目標はまだ達成していない、より多くの仕事を成すべき」と発言しており、追加利上げの可能性を示唆したと市場は受け止めたもよう。ユーロ円は156.70台から157円台を回復。対ポンドでもユーロ買いが優勢。ポンドドルは1.20台後半で上に往って来い。1.21手前は重く、足元では1.2050台に安値を広げてきている。ポンド円は180.60付近まで下押しされたあと、一時181円台を回復したが、再び180円台後半に軟化している。ユーロと比較すると上値が重くなっている。米10年債利回りは4.66%台まで低下したあとは、4.72%台へと上昇、根強いドル買い圧力に。
NY市場で、ドル円は波乱の展開となった。米求人件数が予想外に強い内容となったことから、ドル円は心理的節目の150円台に一時上昇した。しかし、そこから短時間に急速に売りが強まり、瞬間的に147円台半ばに急落する場面が見られた。その後は再び149円台まで戻した。ドル円とともにユーロ円などクロス円も乱高下した。日銀のイールドカーブコントロール(YCC)修正以来の大きな値幅となり、市場の中には財務省による介入観測が広がった。しかし、財務省幹部はノーコメントとした。8月の米求人件数は961万件と予想(883.1万件)を大きく上回った。春以降、労働市場の軟化傾向が顕著となっており、今回は前回から反発は予想されていたものの、傾向は継続すると見られていた。その分、大きなサプライズとなった格好。ユーロドルは一時1.04ドル台半ばまで下げ幅を拡大。ポンドドルは1.20台後半での上下動に終始。ドル高基調のなかで、一部にはユーロドルのパリティー(1.00)やポンドドルの1.20割れを見込む声もでていた。
(4日)
東京市場は、方向感に欠ける値動き。ドル円は前日海外市場での乱高下のあと、朝方には149円台割れへと軟化した。その後はドル買いが優勢。米長期債利回りの上昇が依然として目立っており、10年債利回りが4.85%を付ける中で、昼にかけて149.32近辺まで上値を伸ばした。米債利回り上昇が一服したこともあり、その後は少し調整が入り149.10台へと下げた。神田財務官は昨日の動きについて介入についてはコメントしないと発言。ただ、値動きの激しさから介入と見る参加者が多く、介入実施でも下げ幅が3円もなかった状況にドル高・円安警戒が広がっていた。ユーロドルもドル高の流れから昼過ぎに1.0457近辺に下落。その後は米債利回り上昇の一服もあって1.0470台まで上昇。ユーロ円はドル円の上昇もあって朝の155.90台から156.30近辺まで上昇。ポンドドルはドル高基調の中1.2060近辺まで一時下げた。1.20台前半にはポンド買いが入っていると見られ、下げ止まった。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。米債利回りの上昇が一服したことに反応。序盤にかけてはややドル買い。米10年債利回りが4.88%付近へと上昇すると、ユーロドルは1.0450付近、ポンドドルは1.2037近辺に安値を広げた。しかし、米10年債利回りの上昇は一服、4.78%台に下げている。ドル売りに流れが転換して、ユーロドルは1.0510台、ポンドドルは1.2140付近に高値を伸ばした。ドル円は149円付近で売買が交錯。前日の介入と思われる急速な下落とその後の反発を受けて短期的には方向感を失っているようだ。東京昼前につけた149.30付近を高値に、ロンドン朝方には148.74近辺まで下押し。その後は149円を挟んだ水準で揉み合っている。ユーロ圏と英国の非製造業PMI確報値では英国の上方改定が大きかったことでポンド買い・ユーロ売りの動きもみられた。また、ラガルドECB総裁は「ECBの十分に景気抑制的な金利スタンスを繰り返し強調」、センテノ・ポルトガル中銀総裁は「インフレ率は上昇時よりも急速に低下している」、ベイリー英中銀総裁は「インフレとの闘いの仕事は終わっていない」「英インフレ率、年内に5%以下に低下の可能性」などと発言した。
NY市場では、ドル買いが一服。9月のADP雇用統計が8.9万人増と予想を大きく下回り、米国債利回りが低下したことが背景。市場では10月相場に入ってFRBのタカ派姿勢が長期化するとの観測から、米国債利回りの上昇、ドル高、株安の動きが強まっている。もうしばらくドル買いが続き、ドル円も150円を再び突破してくるとの観測が根強い一方で、米国債利回りの上昇がかなり過熱しており、それに伴うドル高もそろそろ限界が見えてきているのではとの指摘も出ている。いずれにしろ、金曜日の米雇用統計の反応を待ちたい雰囲気のようだ。ドル円は149円付近で底堅く推移。ユーロドルは買い戻しが優勢。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.04台半ばまで下落していたものの、本日は1.05台を回復する動き。ポンドドルも買い戻しが優勢。一時1.20台前半まで下落し、節目の1.20ドルをうかがう動きが見られていたものの、本日は1.21台半ばまで回復している。昨日のドル円急落について、日銀当座預金残高の予想と民間短資会社の推計に基づく試算から、前日のNY為替市場での日本当局の介入の可能性は低いと伝わり、話題になっていた。
(5日)
東京市場では、ドル売りの動き。米債利回り動向をにらんだ展開となり、午前には米10年債利回り低下とともに、ドル円は149円ちょうど付近から148.26近辺まで急落。その後は利回り低下一服を受けて148円台前半で揉み合った。政府・日銀による為替介入への警戒感や、明日の米雇用統計の発表を前に様子見ムードが広がっており、戻りは限定的だった。ユーロドルは午前のドル安の流れを受けて1.0529近辺まで買われたあと、午後にかけて1.0520台に高止まりしている。ユーロ円は午前のドル円の下落を受けて一時156円ちょうど付近まで軟化した。その後は下げ一服となったが、戻りは鈍く、午後は156円台前半での推移が続いた。豪ドル/ドルは午前のドル売り局面で堅調に推移したあと、午後に入って一段高となり、一時0.6378付近まで上昇。
ロンドン市場は、ドルが反発。米債利回り動向に敏感な反応をみせた。米10年債利回りは4.71%割れ水準に低下したあと、ロンドン序盤には4.75%付近まで上昇。その後は4.71%台に低下と神経質に上下動。ドル円相場は、一昨日の150円台から147円台にわたる大幅変動後は、その他主要通貨以上に変動幅が大きくなる傾向にある。きょうも東京朝方に149.12近辺の高値をつけたあと、148.26近辺まで急落。ロンドン時間にかけては再び149円台乗せまで買い戻しが入った。足元では148円台後半で推移。ユーロドルは1.0502から1.0529までの狭いレンジで上に往って来い。ポンドドルは1.2163近辺まで買われたあとは、1.2116近辺に安値を更新とやや弱めの値動き。対ユーロでポンド売りが入っていた。クロス円はドル円相場に沿った値動き。ユーロ円は東京市場で156.09近辺まで下落した後、ロンドン序盤には156.79近辺に高値を伸ばした。ポンド円は180.30近辺を安値に181円手前まで買い戻された。
NY市場は、再びドル売りが優勢。あすの米雇用統計を控えて全体的には方向感なく推移している。ドル円は149円付近まで買い戻されたあと、一時148円台前半へと再び軟化。21日線148.25レベルに接近した。大きな流れに変化はなく、ドル高期待から下値は固いものの、上値にも慎重になっている様子もかがえる。日本の財務省が150円台で介入を実施したのかどうかは未知数だが、上値への心理的な圧迫感は醸成されているようだ。 ユーロドルは下げ渋る動きを見せ、1.05台に戻している。ただ、積極的に買い戻す動きも見られず、依然として上値は重い。ポンドドルの買い戻しも続いており、1.21台後半まで買われた。基本的に上値の重い展開に変化はないものの、明日の米雇用統計を前にポジション調整が続いているようだ。
(6日)
東京市場は、ドル買いが優勢。ドル円は材料難のなか148円台半ばでを挟んで揉み合いとなったが、後尾に入ると買われ、148.91近辺に高値を伸ばしている。米10年債利回りが上昇に転じて、4.73%台を一時回復したことがドル買いを誘った。ユーロドルはドル高を背景に一時1.0534近辺に安値を広げた。ユーロ円はドル円とともに買われ、高値を156.93近辺に伸ばしている。日本時間今夜9時30分には9月の米雇用統計の発表が予定されており、その結果に注目が集まっている。また、日本時間の明日午前1時30分にはバイデン米大統領が雇用統計について発言する予定となっている。
ロンドン市場は、円安とドル安が併存しており、リスク選好的な値動きとなっている。ドル円は東京市場から引き続き堅調に推移しており、高値を149.07近辺まで伸ばしてきている。ユーロ円は157円台乗せから157.39近辺に高値を更新。ポンド円は181円台前半から182.05近辺まで上昇している。米10年債利回りが4.71%付近から4.75%付近まで上昇するなかで、ユーロドルやポンドドルが買われている。ユーロドルは1.0530付近から1.0562近辺へ、ポンドドルは1.2165近辺から1.2217近辺へと上昇している。米雇用統計発表を控えて積極的な取引は手控えられているが、欧州株・米株先物がともに堅調に推移していることがリスク選好的な値動きにつながっているもよう。
NY市場は、米雇用統計、非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る伸びとなり、前回値も大きく上方修正されたことでドル高となった。米追加利上げ期待が上昇し、年内の見通しが利上げと据え置きでほぼ拮抗する状況にまでなったことで、米債利回りが一時上昇。4.885%を付ける中でドル高となった。ドル円は149円00銭台で発表を迎え149.53銭、ユーロドルは1.0560前後で発表を迎え1.0483まで、ポンドドルは1.2210前後で発表を迎え1.2100台までのドル高。米債利回りが低下すると流れが一変し、ドル円は149円00銭台、ユーロドルやポンドドルは雇用統計前の水準を超えてのドル安となった。株高を受けたクロス円の上昇も目立ち、ユーロ円が156円台後半から158円20銭台を付けるなどの動きが見られた。

執筆者 : MINKABU PRESS
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