ドル円は143円台半ばまで上昇 中国への強硬姿勢の緩和観測とベッセント財務長官の発言=NY為替概況
ドル円は143円台半ばまで上昇 中国への強硬姿勢の緩和観測とベッセント財務長官の発言=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は143円台半ばまで上昇した。東京時間に一旦143円台を付けた後に、141円台まで下落していたものの、NY時間に入ってドル高が強まり、ドル円を押し上げている。
トランプ政権が中国に対する強硬姿勢を緩和するとの観測が流れた。対中関税について、国家安全保障上の脅威とみなされない品目には35%の関税を課す一方、脅威とみなされる品目には100%以上の関税を課す段階的なアプローチを検討していると報じられている。当局者によると、結果として中国の関税率は全体で50-65%程度になるという。
ただ、トランプ大統領が一方的に関税を引き下げることは検討しておらず、中国との協議と連動して行う可能性があるとも伝えた。
ベッセント財務長官の発言もドル円をサポート。日本との通商交渉で具体的な通貨目標を追求するつもりはないと述べた。日本に対してはG7の長年の合意を順守するよう改めて求めている。トランプ政権は円高を求めるのではとの観測も出ていただけに、長官の発言は円安を誘発したようだ。ユーロ円やポンド円も上昇。
ユーロドルは一旦1.14ドル台まで戻していたが、1.13ドル台に値を落とした。ただ、上値追いの流れは継続しており、再度1.15ドルを試す態勢にはあるようだ。
本日はラガルドECB総裁の発言が伝わり、「関税は恐らくインフレ的というよりもディスインフレ的」との認識を示していた。貿易転換を意識した発言との指摘も聞かれた。
ポンドドルは売りが優勢となっており、1.32ドル台に下落。東京時間に一時1.3235ドル付近まで下落していたが、ロンドン時間には1.33ドル台まで一旦戻していた。
トランプ関税の影響を市場は警戒しているが、英インフレリスクは米関税の影響で抑制されるとの見方がアナリストから出ている。米関税により米国からの貿易転換が発生し、安価な輸入品が増加する可能性がある。そのため、インフレを抑制する要因になると説明している。貿易転換は効率的な貿易相手から、非効率な貿易相手に輸入先が変わってしまうこと。一方、関税は成長鈍化を招くとも指摘している。
英インフレは、国民保険拠出金の増加により第2四半期に上昇が見込まれるが、上昇幅は限定的になるとも指摘している。インフレのピークは3.5%から3.2%に下方修正し、ピークの時期も9月から6月に前倒ししたとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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