FX/為替「ドル/円、149円目前へ上昇 円買い介入の可能性も上昇」 外為どっとコム トゥデイ 2023年9月26日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年9月26日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼25日(月)の為替相場
(1):中国不動産セクターを巡る不安が再び拡大
(2):植田日銀総裁 大規模緩和の必要性を改めて強調
(3):独IFO企業景況感指数 5カ月連続で前月より低下
(4):ECB総裁 欧州議会気発言
(5):米10年債利回り 16年振りの高水準
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:続伸のカギは引き続き米長期金利/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
25日(月)の為替相場
期間:25日(月)午前7時00分~26日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国不動産セクターを巡る不安が再び拡大
香港株や上海株が安く始まると豪ドルも軟化。中国人民元の下落も豪ドルの重しとなった。中国では不動産セクターを巡る不安が再び拡大。前日には、恒大集団傘下の企業が新規債券の発行資格を満たせないと発表した。この日は恒大集団の本土部門が40億元のオンショア債の支払いが履行できなかったと発表した。
(2):植田日銀総裁 大規模緩和の必要性を改めて強調
植田日銀総裁は講演で、物価2%目標について「持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない」と述べ、その上で「賃金と物価の好循環が実現するかの正念場。変化の『芽』を大事に育てていく」と大規模緩和を継続する必要性を改めて強調した。その後の会見でも、2%物価目標の持続的・安定的な実現には「距離がある」とし、次の政策修正の時期を「前もって特定することはできない」と繰り返した。なお、その後岸田首相は、円安が進む為替市場について「引き続き高い緊張感を持って注視していきたい」「為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」と述べた。
(3):独IFO企業景況感指数 5カ月連続で前月より低下
独9月IFO企業景況感指数は85.7と市場予想(85.2)を僅かに上回った。ただ、5カ月連続で前の月より低下しており、水準としては昨年10月以来の低さとなった。
(4):ECB総裁 欧州議会で発言
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は欧州議会で、「ECBの将来の決定では、必要な限り主要政策金利を十分に景気抑制的な水準に設定するようにする」と表明。「インフレ率を2%の中期目標へと確実に戻すと、われわれは引き続き決意している」とも語った。
(5):米10年債利回り 16年振りの高水準
米10年債利回りが前週22日に付けた4.506%前後を超えて2007年10月以来、16年ぶりの水準に上昇。日米金利差の拡大が意識されてドル/円は148.96円前後まで上伸。149円台には届かなかったが、昨年10月25日以来の高値を付けた。
25日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:続伸のカギは引き続き米長期金利
昨日のドル/円は149円目前まで続伸。米長期金利の上昇を受けて日米金利差の拡大が意識される中、昨年10月25日以来の高値となる148.96円前後まで上値を伸ばした。
金融緩和を当面続ける姿勢の日銀と、年内あと一回の利上げを模索する米連邦準備制度理事会(FRB)との金融政策の方向性の違いがあらためて鮮明化しており、本日も円安・ドル高の流れが続きやすい地合いとなりそうだ。
ドル/円は11カ月ぶりの149円台回復をはっきりと視界に捉えている。続伸のカギは引き続き米長期金利だろう。昨日のNY市場で一時16年ぶりの4.54%台に乗せた米10年債利回りの動きが注目される。他方、本邦政府・日銀による円買い介入への警戒感も高まっている。岸田首相は昨日、先週21日に続き、為替市場を「高い緊張感を持って注視していきたい」と述べて円安の動きをけん制した。一国の首相が為替の動きに連日で言及するのは異例であり、相応に介入実施の可能性も高まっていると見るべきだろう。
注目の経済指標:米消費者信頼感指数
注目のイベント:米2年債入札
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
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経済指標・イベントの結果について
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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