ドル円は147円台を回復 明日の米CPIを控える中で押し目買いも活発=NY為替概況
ドル円は147円台を回復 明日の米CPIを控える中で押し目買いも活発=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが優勢となり、147円台を回復した。前日は日銀の植田総裁の新聞でのインタビューで年内の政策変更に含みを持たせる発言を行ったことをきっかけに円買いが強まり、一時145円台まで下落していた。しかし、明日の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える中で、下値では押し目買いも活発に出ていたようだ。
明日の米CPIだが、今回はエネルギー価格上昇がけん引し、総合指数は再び上昇する可能性が高いが、コア指数は落ち着きを示すものと見込まれている。今後の注目点は、エネルギー価格上昇がいつまで続くのか、そして、それがFRBが注視しているコアインフレまで波及するかどうかであろう。
原油相場が再び100ドルに向かって上昇する中で、ガソリン価格もしばらく上昇が続くことが予想され、総合指数は上昇が続きそうな気配も出ている。FRBはコア指数をより重視しているが、総合指数の上昇が米消費者のセンチメントにどれだけ影響を与えるかも意識される。
ただ、一部からは、8月の米CPIが予想通りの高い数字だったとしても、来週のFOMCでの据え置き予想に影響はなく、市場はFRBが11月に利上げをあと1回実施すると予想しているが、8月のCPIに波乱がなければ、その見方も変える必要はないとの指摘も出ている。
いずれにしろ、明日の米CPIを受けての反応を確認したいところではある。
*米消費者物価指数(8月)13日21:30
予想 0.4% 前回 0.2%(前月比)
予想 3.6% 前回 3.2%(前年比)
予想 0.1% 前回 0.2%(コア・前月比)
予想 4.3% 前回 4.7%(コア・前年比)
きょうのユーロドルは1.07ドル台前半での膠着した値動きが続いた。明日の米消費者物価指数(CPI)や木曜日のECB理事会を控えて、ユーロ相場は様子見気分が広がっているようだ。そのECB理事会だが、ここにきて見方が完全に二分している。短期金融市場では0.25%ポイントの利上げの可能性を48%、据え置きの可能性を52%で見ている。前日は利上げの可能性は38%程度だった。
市場の織り込み度合いを考えると、利上げでも据え置きでも、市場にとっては大きなサプライズにはならないとの見方も出ているようだが、今週の決定はユーロにとって明暗を分ける可能性があるとの指摘も出ている。
ただ、据え置きだったとしても、ECBからはインフレが最優先事項であるとの明確なメッセージが出される可能性があり、ECBの追加利上げを妨げるような金融ストレスの兆候もない。今回もしくは来月の理事会でもう一段の追加利上げが実施されると見られており、ユーロを下支えするとの見方も出ているようだ。
ポンドドルはNY時間に入って下げを一服させているものの1.24ドル台での推移となっており、上値は重い。1.2430ドル付近に来ている200日線をうかがう展開は続いている。
ロンドン時間に英雇用統計が発表になっていたが、5-7月のILO失業率の平均値は4.3%と前回よりも悪化した。一方、注目の週平均賃金は、伸びが記録を更新し続け、賞与を含んだ5-7月の平均の伸び率は8.5%と、前回から伸びが拡大し、予想も上回った。ただし、公的部門の一過性の支払いという特殊要因が大きく、賞与を除けば7.8%と前回と変わらず、予想とも一致している。
労働市場は緩みの兆しが示された格好だが、スタグフレーションのリスクを浮き彫りにしたとの見方も出ている。英中銀が安心できる内容ではなく、間違いなくインフレへの影響を懸念するとの指摘も多い。きょうの英雇用統計は、英中銀が9月に利上げに踏み切る可能性を十分に示唆しているという。
*英ILO失業率(5-7月平均)15:00
結果 4.3%
予想 4.5% 前回 4.2%
*英週平均賃金
結果 8.5%
予想 8.2% 前回 8.4%(8.2%から修正)(前年比)
結果 7.8%
予想 7.8% 前回 7.8%(賞与除く・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。