ISM受けドル買い強まる ドル円は下げ戻す FRBの長期に渡る高金利維持への警戒強まる=NY為替概況
ISM受けドル買い強まる ドル円は下げ戻す FRBの長期に渡る高金利維持への警戒強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが強まり、ドル円も147.70円付近に戻した。ロンドン時間には前日のドル買いが一服し、ドル円も147円台前半に伸び悩んでいた。しかし、NY時間に入って発表になったISM非製造業景気指数が予想を上回り、6カ月ぶりの高水準に上昇したことで、米国債利回りの上昇と伴に、ドル円もロンドン時間の下げを取り戻している。
この日のISM指数は、世界的に企業景況感は低下傾向にある中で、米サービス業のセンチメントがまだ持ち堪えていることを示した。消費者の需要と米経済全体の持続的な強さを浮き彫りにし、家計支出の持続性は労働市場を支えると伴に、米景気後退を回避できるという期待を高めている。
しかし、それは同時にFRBの追加利上げ期待を温存することでもある。今月のFOMCでの据え置きは依然として有力視されているものの、年内あと1回の追加利上げの可能性を再び高め、11月にあと1回の利上げの確率を50%程度に再び上昇させている。また、FRBの長期に渡る高金利維持への警戒感も強まった。
ドル円は上値追いを続けてはいるものの、緩やかな上昇でもあり、市場は財務省の介入への警戒をそれほど高めていない。そのような中で、150円を目指す動きを続けているようだ。
ユーロドルは再度下値模索の動きが出ており、1.07ドル割れを試す動きも見られた。ただ、1.07ドル台は維持されている。きょうは7月のドイツ製造業受注が公表されていたが、前月比11.7%減と予想以上の減少となった。エコノミストからは、主に大型受注の減少が響いており、その影響を除けば、受注は僅かな増加で過去4カ月ほとんど変化していないとの評価も出ている。
ただ、最新のドイツPMIとIfo景況感指数は今後数カ月の受注がさらに減少することを示唆しており、受注が持続的に安定すると語るのは時期尚早だとも述べている。企業は最近、需要に対してかなり消極的になっているという。
ポンドドルは下値を切り下げ、1.25ドルを割り込む動きも見られた。100日線を下放れる展開を加速させる中で、1.24ドル台前半に来ている200日線が目先の下値メドとして意識される。
ドル買いもさることながら、ポンド自体も軟調に推移しているようだ。本日はベイリー英中銀総裁を始めとした英中銀委員の議会証言が行われている。そこでベイリー総裁が「金利についてはサイクルの頂点に近い」と述べたことで、市場では英中銀の利上げ期待が若干後退しているようだ。
短期金融市場では、以前は6.25%までの利上げを織り込む動きも見られていたが、現在は5.75%まで低下している。0.25%ポイントであと2回。きょうはベイリー総裁の証言でさらに、その可能性を高めているようだ。
本日はカナダ中銀が金融政策の結果を発表。カナダ中銀は声明で「粘り強いインフレを懸念しており、追加利上げの要因はある」と追加利上げの可能性は残していた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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