ドル買い優勢となる中でドル円は上値追い 昨年11月以来の高値更新=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となる中で、ドル円は上値追いの動きとなった。147円台後半まで上昇し、昨年11月以来の高値を更新。米国債利回りが上昇しており、ドル円をサポートしている。
中国とユーロ圏の景気減速の新たな兆候を受け、きょうの市場はややリスク回避の雰囲気も出ていた点もドルをサポートしている。アジア時間に発表の中国のサービス業PMIの成長鈍化を示し、中国経済の脆弱な回復への懸念が高まった。また、ユーロ圏でもPMIが速報値から下方修正され、3カ月連続で低下していた。
きょうはウォラーFRB理事のインタビューが伝わり、「差し迫って何かをする必要があると示すものは一切ない」と述べていた。市場では9月FOMCでの据え置きの確率を95%とほぼ確実と見ており、同理事の発言はその見方を正当化する内容ではある。
市場ではFRBが今月中に引き締めサイクルを停止しても、金利は高止まりするとの見方から、米国債利回りが上昇し、ドルをサポートし続けている。ユーロ圏や英国、中国と違い、米経済はソフトランディングへの期待が高まっている。そのような雰囲気の中で、ドルは上値追いが続いているようだ。
オプション市場でもさらなるドル高が見込まれており、4月以来の強気水準に接近している。
ユーロドルは下値模索が続き、1.07ドル台前半まで下げ幅を拡大。きょうの下げで200日線を下放れる展開が見られており、下値警戒感が強まっている。目先は5月安値の1.0635ドルを試しに行くか注目される。
今後数日間で、市場の関心は来週9月14日のECB理事会に向かう可能性が高い。短期金融市場では75%近い確率で金利が据え置かれ、25%の確率で0.25%ポイントの利上げが見込まれている。ECBは今回は利上げをスキップするかもしれないとの見方が増えているようだ。
ただ、6月にFRBが行ったように、スキップはするものの、追加利上げの選択肢は温存する可能性もある。市場は、年内に利上げが実施される可能性を50%と見ている状況。
ポンドドルも上値の重い展開が続いた。一時1.25ドル台前半まで下落する場面も見られ、100日線の下での推移が続いている。英中銀の追加利上げ期待はFRBやECBよりも強くなっているが、弱い経済指標が示現しており、英経済も景気後退への懸念が台頭している。しかし、一部からは、英経済は比較的弱いシグナルにもかかわらず、第3四半期はプラス成長の可能性が高いとの指摘も聞かれる。
本日発表の8月のサービス業PMI確報値は49.5と判断基準の50を下回り縮小圏に入ったが、予想と速報値よりはいずれも上回った。英消費者信頼感が弱くなっている中で、企業景況感もマイナス成長を示唆しているのかもしれないが、実際には需要は堅調に見え、7-9月期のGDPは前期比0.2%増になるはずだという。恐らくPMIが景気の勢いを誤解させるような数値を示している可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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