ドル円は145円台に伸び悩む 米経済指標が予想下回り、米国債利回り急低下=NY為替概況
ドル円は145円台に伸び悩む 米経済指標が予想下回り、米国債利回り急低下=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って戻り売りが強まり、145円台に伸び悩んだ。朝方はドル買いが加速し、ドル円も147円台を回復する場面が見られた。月末絡みのフローも出ていたようだ。しかし、この日発表の米経済指標が予想を大きく下回ったことで、米国債利回りの急低下と伴にドル円も売りを強めた。
7月の米求人件数と8月調査の米消費者信頼感指数が発表され、特に米求人件数は882.7万人と予想(950万人)を大きく下回り、約2年ぶりの低水準となった。労働需要の冷え込みを示す新たな証拠となっている。一方、離職率は2.3%と2021年以降で最低水準となり、これは米労働者が再就職できる自信がなくなっていることを意味する。
先週のジャクソンホールでパウエルFRB議長は、利上げの可能性を残しながらも慎重なアプローチを取る姿勢を滲ませていたが、きょうの指標はFRBの利上げキャンペーン停止が近いとの市場の見方を裏付ける内容となった。
ユーロドルは序盤に1.07ドル台に下落したものの、予想を大きく下回る米経済指標を受けて、1.08ドル台後半まで買い戻された。この日発表のドイツの消費者信頼感指数が弱い内容となり、序盤は売りが先行していた。
ドイツはユーロ圏最大の経済大国だが、いまや機関車というよりも、重石となりつつある。この日発表のドイツのGfK消費者信頼感指数が5月以来の低水準となった。高インフレと潜在的な失業率上昇への懸念を主な理由に挙げている。
明日は8月のドイツ消費者物価指数(HICP)速報値が発表され、EU基準で前年比6.3%への伸び鈍化が見込まれている。ただ、ユーロ圏全体のインフレよりは高い。ECBはインフレを目標の2%に戻すことを確約しているが、来月の理事会で追加利上げを行うのか、それとも一旦停止して様子を見るのかは依然不透明。ドイツ経済はベストな状態ではなく、金利が上昇すれば景気後退の可能性は高まる。
ポンドドルはNY時間に入って上昇し、1.26ドル台半ばを回復。英国が休場だった前日からの上昇幅を拡大した。今週は英経済指標の発表が比較的静かな週で、きょうは英小売協会(BRC)の店頭価格指数が発表となり、食料品価格が11.5%上昇と、昨年以来の低水準となった。
今週は住宅ローン承認や住宅価格指標など住宅指標が発表になるが、ここ数カ月の弱含み傾向を継続する可能性が高く、先行指標は年後半に住宅価格がさらに下落することを示唆している。しかし、英中銀の行動に影響を与えるには、個人消費、ひいては総需要とインフレにより明確なシグナルが出る必要がある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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