終盤に入ってドル円に売り強る 米株式市場が下げ幅拡大=NY為替概況
終盤に入ってドル円に売り強る 米株式市場が下げ幅拡大=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は終盤に売りが強まり、再び145円台に下落た。特段の材料は見当たらなかったが、米株式市場でナスダック、ダウ平均が下げ幅を広げ、リスク回避の雰囲気が出ていた可能性もありそうだ。
前日のFOMC議事録後のドル買いが一服し、ドル円も戻り売りに押されている。東京時間には一時146円台半ばまで上昇していたが、海外市場に入って戻り売りに押され、145.60円付近まで伸び悩む場面も見られた。ただ、直ぐに146円台に戻す展開。米国債利回りの上昇がサポートしていた。
市場では介入への警戒感が根強いものの、現時点で財務省が介入を実施すると見ている向きは少ない。「過度な動きには適切に対応する」との文言が象徴するように、建前上は日本の当局は円相場の方向ではなく、スピードに着目している。その点で言えば、現在の円安のスピードは昨年介入を実施した9月、10月に比べれば、緩やかな動きに留まっており、オプション市場でもボラティリティは昨年の同時期と比較して低水準での推移となっている。また、昨年に比べれば輸入物価もエネルギー中心に落ち着いており、政治的な圧力も小さい。
なお、先日発表の日本の4-6月期GDPは前期比年率換算で6.0%増と予想外の強さを見せていた。純輸出やインバウンドがその主因となっているが、サプライチェーン問題の解消もさることながら、円安も大きなファクターである点は見逃せない。
ユーロドルも下げ渋る動きが見られたものの上値は重い。きょうも7月安値を更新する動きが続いている。本日の200日線は1.0790ドル付近に来ているが、試しそうな気配が続いている。
一部では、年後半にはユーロドルは上昇との見立てもあるようだが、その主な要因はユーロ圏の経済力ではなく、むしろドルの魅力低下だという。ドイツ中心にユーロ圏の景気後退への懸念が強まっており、ECBの利上げキャンペーンも当初に考えられていたよりも、早い段階で終了するとの見方が優勢になる中で、ユーロを積極的に買うモチベーションは低いようだ。
きょうのポンドドルは買い戻されており、一時1.2785ドル付近に上昇する場面が見られた。本日の21日線が1.2775ドル付近に来ているが、その水準を上抜く場面も見られた。
ポンドはユーロとは対照的な動きとなっているが、今週発表の英賃金データと、コアインフレの粘り強さを示唆するインフレ指標から、市場は英中銀があと3回利上げを実施すると予想しており、ポンドの下値をサポートしているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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