ドル円は143円台に戻す ADP雇用統計が強い内容 米格下げの影響は一時的との声も=NY為替概況
ドル円は143円台に戻す ADP雇用統計が強い内容 米格下げの影響は一時的との声も=NY為替概況
きょうのドル円は一旦142円台前半まで下落していたものの、NY時間に入って143円台に戻す展開。東京からロンドン時間にかけては円高がドル円を押し下げていたが、株式市場が売りに押され、リスク回避の円高が広がっていた。ただ、NY時間に入ると、ADP雇用統計が強い内容となったことでドル高がドル円を押し戻している。金曜日の米雇用統計が強い内容になるのではとの見方も出ているようだが、両指標は必ずしも方向が一致するわけではない。
フィッチ・レーティングスが米国の格付けを「AAA」から「AA+」に格下げしたことで、市場には警戒感が広がり、特に株式市場が敏感に反応している。ただ、今回の米国の格下げは長期的に米国の一流の地位を損なうものではなく、影響は一時的との声も多い。
株式市場については、ソフトランディングへの期待で楽観的になっていた半面、急ピッチな上昇で高値警戒感も出ていた。「今回の米国の格付下げは、ちょうど良い利益確定売りの口実を与えた」との指摘も出ている。
ユーロドルは下値模索が続いている。一時1.0920ドル付近まで下げ幅を拡大し、100日線に接近した。先週のECB理事会を経て市場は9月の追加利上げ期待を後退させており、短期金融市場では30%程度の織り込みに低下している。ただ、9月の追加利上げの可能性を否定するのは時期尚早だとの見方も出ている。
前日発表の7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値ではコアインフレは前年比5.5%に留まったが、これは前年のベース効果の影響で前年比の数字が歪んでいるため、むしろ、重要なのは前月比の変化だと述べている。総合指数はかなり急速に低下したものの、依然としてECBの目標である2%を上回っており、コアインフレはサービスインフレによって高水準が維持されそうだとしている。もし、ECBが前月比の数字の推移を重視するのであれば、利上げサイクルの延長を選択する可能性も有り得るという。
ポンドドルは一時1.26ドル台まで下落。3月から7月までの上昇波のフィボナッチ38.2%戻しの水準が1.2630ドル付近に来ているが、目先の下値メドとして意識される。
明日は英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表され、ポンドにとっては最注目となる。市場は一時期高まっていた0.50%ポイントの大幅利上げの可能性を後退させており、0.25%ポイントの通常利上げを有力視している。大幅利上げの可能性は25%程度の織り込みに留まっている状況。
ただ、一部のストラテジストからは、大幅利上げの可能性は捨て切れず、ポンドを売るのはまだ早いとの指摘も出ている。また、英中銀の利上げはまだしばらく続くことから、他の主要中銀、特にFRBとの政策金利の格差拡大も予想され、ポンドは下支えされるという。さらに、直近のポジショニングのデータからも、資産運用会社がポンドに対してこれほど強気になったことはほとんどないとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。