ドル円は141円台前半まで下げ加速 21日線を下放れる動き=NY為替概況
ドル円は141円台前半まで下げ加速 21日線を下放れる動き=NY為替概況
きょうもドル円は戻り売りが加速し、141円台前半まで下げ幅を拡大した。先週末の米雇用統計後の下げを受けて、ドル円は上値へのモメンタムを一旦失ったようだ。きょうの下げで21日線を下放れる動きが見られており、テクニカル勢の売りも出ている模様。
ただ、先週の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回る内容となったものの、平均時給もなお高水準で推移しており、失業率も低水準で推移している。FRBの追加利上げ観測を正当化する内容。この日は複数のFOMC委員からの発言が伝わっていたが、追加利上げの必要性を強調していた。しかし、景気の先行き不安も台頭しつつある中、ドルのフォローとはなっておらず、円安の動きも見られていない。
今週は12日水曜日に米消費者物価指数(CPI)が発表になり、それを受けてもドル円に反転が見られなければ、さらに下押すリスクも警戒される。目先は140円ちょうどの水準が意識される。
ユーロドルは1.10ドルまで上昇。6月にも1.10ドル台を一時回復したものの滞在時間は短く、その後は1.08ドル台半ばまで下落していた。1.10ドル台には戻り売り圧力も観測されているようだが、上抜いて行くか注目される。
市場はECBの追加利上げ期待を高めており、今月の理事会での0.25%ポイントの利上げを確実視しているほか、もう0.25%ポイントの追加利上げも織り込む動きを見せている。
ただ、ドイツ経済を始め、景気の先行きに対する不安感も台頭し始めている。ドイツでは主要貿易相手国である中国経済に不安が高まっており、ドイツ製造業の先行き不安も台頭している。明日は7月調査分のドイツZEW景況感指数が公表されるが、3カ月連続でのマイナスが予想されている。
ポンドドルは一時1.2750ドル付近まで下落していたものの、NY時間に入って1.2865ドル付近まで買い戻された。ポンドドルは21日線の上での推移を続けており、年初来高値の水準で推移している。
英インフレは非常に高く、金利がさらに上昇する可能性が高い状況の中で、ポンドが持続的な下落トレンドにあるとは考えにくいとの見方が出ている。市場では次回も0.50%ポイントの大幅利上げを織り込む動きが出ている。
市場では、FRBやECB以上に英中銀の利上げ期待が高まっており、場合によっては、あと計1.50%ポイントの利上げを実施し、政策金利を現行の5.00%から6.50%まで引き上げる可能性まで織り込む動きが出ている。金利面だけから見れば、いまのところポンドが持続的な下落トレンドにあるとは考えづらい。ただ、市場からは利上げによる景気への影響に着目する動きも出ている。また、年後半にインフレが改善に向かい、市場は利上げ観測が後退するにつれてポンドは下落する可能性もある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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