米雇用統計を通過でドル円は142円台前半まで下げ足速める=NY為替概況
米雇用統計を通過でドル円は142円台前半まで下げ足速める=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って戻り売りを加速させ、142円台前半まで下げ足を速めた。本日は高値から一気に200ポイント超下落し、本日142.60円付近に来ている21日線も下抜けている。
この日は米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数(NFP)が20.9万人増と予想を下回った。これを受けてFRBのタカ派姿勢が緩むのではとの期待から、為替市場ではドル売りの反応が見られている。短期金融市場でも今月FOMCでの利上げ見通しに変化はないものの、9月以降の利上げについては若干確率を下げているようだ。
ただ、失業率は依然として低い水準で推移しており、平均時給も前年比4.4%と高水準が維持されている。また、NFPについても伸びが鈍化したとはいえ、歴史的な基準である20万人増を上回っている状況。FRBのタカ派スタンスに大きく変化を与える内容ではない。
市場では円ショートがかなり積み上がり、ドル円の過熱感も高まっていた中、145円の上値が次第に重くなっていた。今週は下半期の相場に入って、株式市場も利益確定売りを強めるなど、リスク回避の雰囲気が広まっている。本日はテクニカル勢の売りも活発に出ているようだ。来週の米消費者物価指数(CPI)を受けての反応次第だが、ドル円は調整を警戒する動きが出ている。
*米雇用統計(6月)21:30
非農業部門雇用者数
結果 20.9万人
予想 22.9万人 前回 30.6万人(33.9万人から修正))
失業率
結果 3.6%
予想 3.6% 前回 3.7%
平均時給
結果 0.4%
予想 0.2% 前回 0.4%(0.3%から修正)(前月比)
結果 4.4%
予想 4.1% 前回 4.4%(4.3%から修正)(前年比)
ユーロドルは1.09ドル台後半まで買い戻され、21日線を上放れる動きを見せた。上昇トレンドに再度戻す気配も出ているが、目先は6月に上値を拒まれた1.10ドルを試す動きになるか、来週以降注目される。
前日発表の5月のドイツ製造業受注は前月比6.4%増と予想外の大幅な伸びを示した。それにもかかわらず、本日の鉱工業生産の結果は製造業に希望を与えることはなかった。5月の自動車生産台数は前月比4.9%増と好調だったにもかかわらず、直近のIfo景況感調査では自動車セクターの向こう6カ月の景況感は悪化していた。ドイツの6月のトラック通行料指数は前年比1.4%低下したが、これは第2四半期の最終月の生産がかなり低調であったことを示唆している。
4月と5月の生産高と小売売上高に基づけば、第2四半期のドイツGDPはまだ前期比0.1%のプラス成長の可能性があったが、6月の数字が弱かったことから、マイナス成長の可能性もあるという。
なお、ドイツの5月の鉱工業生産は前月比0.2%低下と、予想外の低下を示し、世界的な需要の減速に伴い、国内の製造業が苦境に立たされていることが示されている。4月は0.3%上昇だった。業種別ではエネルギーが7.0%、医薬品が13.1%、それぞれ低下。一方、自動車は4.9%上昇した。エネルギーは1.4%低下。
ポンドドルも買い戻しが強まり、1.28ドル台を回復。米雇用統計を通過して、為替市場はドル売りが強まっており、ポンドドルは21日線を上放れる展開を見せている。再び上昇トレンドに戻しそうな気配が見られているが、目先は6月高値の1.28ドル台半ばの水準が意識される。
市場では英中銀の利上げ期待が高まっている。ターミナルレート(最終到達点)に対する市場の期待は、主な経済指標の発表や英中銀委員からの新たなコミュニケーションがないにもかかわらず、この1週間で6.50%前後まで急上昇している状況。
一部からはこの動きは明らかに行き過ぎで、テクニカルまたは投機的な要素が入っている可能性があるとの指摘が出ている。金利とインフレに対する不確実性の高まりと関連している可能性もあると見方もあるようだ。
また、英中銀の金利を巡る不確実性が住宅ローン金利に上乗せされているとも指摘。2年および5年物の固定金利にそれぞれ約0.75%ポイントと約0.45%ポイントが上乗せされている可能性もあるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。