米CPI受けドル円は134円台前半に下落 リスク回避の円高も=NY為替概況
米CPI受けドル円は134円台前半に下落 リスク回避の円高も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米消費者物価指数(CPI)を受けてドル売りが強まり、ドル円は134円台前半まで急速に下落した。発表前は135円台だった。本日の下げでドル円は再び21日線割れを試す展開が見られている。ただ、次第に市場はリスク回避の雰囲気も強め、円高の動きもドル円を圧迫したようだ。
米CPIは全体的に前回とほぼ変化はなく、高インフレの状態が続いていることを示したものの、予想範囲内だったこともあり、安心感が広がった模様。一部からは、FRBが特に注目しているとされる住居費を除いたコアサービス価格、いわゆるスーパーコアが計算値で前回の前月比0.4%から0.1%に鈍化したことも安心感に繋がったとの指摘も聞かれる。
市場は先週のFOMCを受けて、利上げ停止と年内の利下げ期待を高めているが、今回の米CPI結果はその期待を正当化する内容との声も出ているようだ。CMEが公表しているフェドウォッチでは、6月の据え置きの確率がほぼ100%になっているほか、7月の利下げ期待が42%程度に上昇。9月までであれば80%近くまで高めている状況。
米消費者物価指数(4月)日21:30
結果 0.4%
予想 0.3% 前回 0.1%(前月比)
結果 4.9%
予想 5.0% 前回 5.0%(前年比)
結果 0.4%
予想 0.3% 前回 0.4%(コア・前月比)
結果 5.5%
予想 5.5% 前回 5.6%(コア・前年比)
結果 0.1%
予想 N/A 前回 0.4%(スーパーコア・前月比)
ユーロドルは一時1.10ドル台を回復する場面も見られた。ただ、1.10ドル台に入るとオプション勢などの戻り売り圧力も強まるようで、1.10ドル台は維持できていない。市場では次第にリスク回避の雰囲気が広がり、ユーロドルの上値を圧迫している。
一部のECB理事がインフレを十分に抑え込むため、9月の利上げが必要な可能性を受け入れ始めつつあると伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。市場は6月、7月に0.25%ポイントずつ2回の利上げを織り込んでいる。ただ、夏休み明けの9月については見解が分かれている状況。ECBはデータ次第のアプローチをとっているが、4カ月後に何が起こるかについての見解はかなり流動的。それまでに4回のインフレ指標、そして、四半期ごとの銀行貸出調査も確認できる。
きょうのポンドドルは米CPIを受けて一旦1.26ドル台後半まで上昇したものの、1.26ドル台前半に伸び悩んだ。米CPI後の上げを帳消し、上に往って来いの展開が見られている。
明日は英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表される。市場では、英中銀は0.25%ポイントの利上げを実施し、政策金利を4.50%に引き上げることを確実視している。市場の注目はむしろ、その後も追加利上げがあるかどうかだが、英中銀は追加利上げにオープンな姿勢を残しておくものと見られている。データ依存を強調し、インフレが粘着性を保った場合は追加利上げが必要になることを示唆する可能性が高そうだ。
今後はデータ次第ということだが、最近の英経済指標の強さを考慮すると、6月以降にあと1回か2回の利上げの可能性も考慮される。その場合、ターミナルレート(最終到達点)は最大5.00%までの上昇することになるが、その意味では現在の市場の期待は妥当な水準とも考えられる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。