ドル円は一時135円台を回復 米雇用統計は米労働市場の力強さ維持を示す=NY為替概況
ドル円は一時135円台を回復 米雇用統計は米労働市場の力強さ維持を示す=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って急速に買い戻しが膨らみ、一時135円台を回復する場面も見られた。朝方発表の4月の米雇用統計がマクロ環境の逆風にもかかわらず、米労働市場が力強さを維持していることが示されたことから、ドルの買い戻しが強まっている。ただ、いまのところは135円の水準は強い上値抵抗となった模様。
強い米雇用統計を受けても、7月の米利下げ期待は若干後退しているものの、6月の利上げ期待は高まっていない。CMEのフェドウォッチでは6月が据え置きの確率がほぼ100%となっている一方、7月の利下げ期待は前日の60%から40%程度に低下している。
市場は今週のFOMCを経て、利上げ停止期待を高めており、関心が利下げに移っている。パウエルFRB議長は会見で早期の利下げには否定的な見解を繰り返していたが、きょうの米雇用統計は議長の見解を正当化しているようだ。
本日の米雇用統計を受けて市場では、FRBが長期間高金利を維持するとの期待も高まっているようだが、ドル円の下値期待は依然として根強く、一部からは、年末までに120円との声も上がり始めている。
ユーロドルは1.10ドル台での推移が続いている。米雇用統計が強い内容となったことでドルの買い戻しが強まり、1.09ドル台に下落する場面も見られたものの、直ぐに戻している。1.10ドルを下回るとファンド勢の買いも観測されるようだ。市場では、ユーロドルはしばらく1.09-1.11ドルの間でのレンジ取引に終始するとの見方もあり、1.09ドル台に入ると買い下がることを推奨している向きもいるようだ。
ECBは前日の理事会で、0.25%ポイントの通常幅に落として利上げを実施した。ただ、タカ派な雰囲気に変化はなく、ラガルド総裁は会見で追加利上げにコミットしていた。これを受け市場からは、ECBの利上げ継続への期待が高まっており、利上げサイクルの終了が接近している中でも、あと2回との声や、3回との声も出ている。さらにFRBとの金融政策の格差縮小が見込まれ、ユーロドルの下値をサポートしている模様。
ポンドドルは買いを加速させており、1.26ドル台半ばまで上げ幅を拡大。昨年5月以来、約1年ぶりの高値水準に上昇している。米雇用統計を受けて一旦売りが強まる場面も見られたものの、直ぐに買い戻しを強めている。強い米雇用統計を受けても下値が固かったことから、ショートカバーが活発に出ているようだ。
来週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、前日発表の英経済指標が、英経済の予想外の回復力を示したことから、0.25%ポイントの追加利上げが確実視されている。 ただ、2名のハト派な委員からは反対票が投じられる可能性もあり、採決は7対2での決定になるのではとの見方も出ているようだ。
特に英住宅市場の強さが指摘されている。前日発表の住宅ローン承認件数は5カ月ぶりの高水準を回復し、消費者の借入れも増加していた。住宅ローン金利が上昇しているにもかかわらず、住宅ローンの申し込みが増えており、住宅価格の下げも底打ちの気配が出ている。これらの結果に市場からは、来週の利上げは確実なほか、今後数カ月の間にさらに追加利上げが行われるのではとの期待も出ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。