米経済指標にドル売りの反応も、ドル円は134円台を維持=NY為替概況
米経済指標にドル売りの反応も、ドル円は134円台を維持=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って売りが優勢となり、一時134円ちょうど付近まで下落。この日発表されたフィラデルフィア連銀景気指数や米中古住宅販売件数が予想を下回ったことで、ドル売りの反応が見られた。米株式市場も軟調に推移していたことから、ドル円は売りの反応を見せている模様。ただ、いまのところは下押す動きまでは見られず、134円台は維持している状況。
FRBの5月利上げはほぼ固まったようだが、その先が不透明で、市場もポジションを傾け難い状況にあるようだ。直近の米経済指標やFOMC委員の発言を受けて、5月のみならず、6月の利上げへの期待も一部では高まっている。ただ、短期金融市場ではまだその確率を25%程度でしか織り込んでいない状況。
全体的に方向感に欠ける展開が続く中で、ドル円は134円台での推移を続けているようだ。
ユーロドルは一時1.09ドル台後半に再浮上。市場がFRBの年内利下げ期待を後退させる中、ユーロドルは1.10ドルには慎重になっているようだが、21日線の上をしっかりと堅持しており、上向きの流れを堅持している。
きょうは3月のECB理事会の議事要旨が公表されていたが、理事の大多数が、0.50%ポイントの大幅利上げの決定を支持していたことが明らかとなった。同理事会の時期はクレディスイス問題が浮上している最中だったが、市場に不透明感が生じるさせるのを避けるために、計画通りに大幅利上げを行うことが重要だと考えたようだ。また、一部の理事は、インフレ見通しへの上振れリスクを認め、現在のインフレ予想に疑義を呈していることも明らかとなっている。
市場は5月の理事会での利上げ幅についてのヒントを得たがっている。0.25%ポイントの利上げは確実視しているものの、0.50%ポイントの利上げがあるかどうかを探っている状況。最近の銀行セクターの波乱が与信の伸びに与える影響がまだ明らかではなく、それが判断を左右する可能性がある。ただ、与信についてのデータと4月のインフレ指標は5月理事会の数日前でなければ発表されない。
ポンドドルは買い戻しが出ており、1.24ドル台半ばに戻していた。1.24ドルちょうど付近まで下落する場面が見られたものの、1.24ドル台はサポートされた格好。本日の21日線が1.2395ドル付近に来ているが、その水準の上はしっかりと維持されており、上向きの流れは続いている。
今週の英雇用統計や消費者物価指数(CPI)を受けて、市場では英中銀の利上げ期待が高まっている。5月の金融政策委員会(MPC)では0.25%ポイントの利上げを確実視しているほか、6月も利上げがあるのではとの観測も出ている状況。
一方、利上げ観測の高まりにより、数百万人の英住宅ローン保有者が、より懲罰的な金利上昇に直面する可能性があるとの指摘が出ている。住宅ローン金利の場合、必ずしも市場の金利が上昇する必要はなく、単に上昇への期待感が固定金利を押し上げる。そのような中で前日発表の最新のインフレデータを受けて、住宅ローン市場に少し上昇圧力がかかり始める可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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