ドル売りが優勢となり、ドル円も133円台まで伸び悩む=NY為替概況
ドル売りが優勢となり、ドル円も133円台まで伸び悩む=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は伸び悩む動きが見られた。東京時間に一旦134.70円付近まで上昇したものの、135円を試すことなく一時133円台まで伸び悩んでいる。
今月の米雇用統計から米CPI、米PPIなど一連の指標を通過して、市場は5月FOMCでの0.25%ポイントの利上げ予想を固めたほか、もう一段の利上げの可能性も若干だが織り込んでいる。一方、年内利下げ期待は後退させており、先日までは早ければ夏以降にもと見ていた利下げ期待を秋以降に後退させているようだ。そのような中で前日までのドルは買い戻しが強まっていたが、そのポジション調整も一段落している可能性もありそうだ。
きょうはブラード・セントルイス連銀総裁とボスティック・アトランタ連銀総裁の発言が伝わっていたが、利上げの必要性に言及したほか、ボスティック総裁はあと1回の利上げの後は据え置きを支持すると述べた。また、タカ派のブラード総裁は、ウォール街では今後6カ月程度で経済がリセッション(景気後退)に陥るとの見方が非常に強いが、そうした見方はこのような景気拡大を読む上であまり適切ではないとの認識を示していた。労働市場が支援するという。
なお、FOMCメンバーの発言が今週一杯で、FOMC通過まで発言を控えるブラックアウト期間に入る。
ユーロドルは買い戻しが出て、1.09ドル台後半まで買い戻された。この日発表のドイツのZEW景況感指数は予想外に弱い内容となったものの、ユーロ相場は無難に通過した。銀行セクターに対する懸念がセンチメントを押し下げていたようだが、一時的と見たのかもしれない。
インフレも企業の景況感を圧迫していたようだが、市場からは、ユーロ圏のコアインフレは秋まで5%以上を維持する可能性があるとの見方が出ている。工業製品や食料品のインフレに低下の兆しが強まっているものの、サービス部門では大幅な賃上げにより、物価上昇圧力は依然強いままだという。
ECBは基本的に緩やかな金融政策を支持しており、インフレ圧力が弱まるシグナルが出れば、すぐにでも利上げサイクルを終了させるだろう。しかし、秋まではその可能性は小さく、5月と6月はそれぞれ0.25%ポイントずつ2回の追加利上げを行い、中銀預金金利を3.50%まで到達させると予想しているようだ。米大手銀からは3.75%までECBは引き上げるとの見方も出ており、当面、利上げ期待は根強く残るものと見られている。
ポンドドルは買い戻しが出ており、1.24ドル台に戻している。前日は1.23ドル台半ばまで下落し、21日線を割り込む動きも出ていたが、きょうの上げでその水準はひとまずサポートされている。
きょうは英雇用統計が発表になっていたが、平均賃金が予想を上回る伸びを示し、英中銀が懸念するインフレ圧力に拍車をかける格好となった。12-2月の3カ月間の賞与を除く週平均賃金は前年比6.6%増加し、予想を上回った。1月までの3カ月も6.6%増に上方修正された。
市場は次回の英中銀金融政策委員会(MPC)での利上げをほぼ確実視している状況だが、その見方を正当化する内容ではある。短期金融市場では0.25%ポイントの利上げを90%の確率で織り込んでいる。
明日は英消費者物価指数(CPI)が発表される。市場からは「サービス価格の上昇が明らかになれば、次回5月の0.25%ポイント利上げは恐らく確実になるだろう」との指摘も出ている。
英ILO失業率(12-2月)15:00
結果 3.8%
予想 3.8% 前回 3.7%
週平均賃金(賞与除く)(12-2月)
結果 6.6%
予想 6.2% 前回 6.6%(6.5%から修正)
英消費者物価指数(3月)19日15:00
予想 0.4% 前回 1.1%(前月比)
予想 9.8% 前回 10.4%(前年比)
予想 5.9% 前回 6.2%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。