ドル買い強まる ドル円は133円台後半に一時上昇 米雇用統計で米利上げ期待が高まる=NY為替概況
ドル買い強まる ドル円は133円台後半に一時上昇 米雇用統計で米利上げ期待が高まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は一時133円台後半に上昇した。本日の100日線は133.40円付近に来ているが、その水準を回復する動き。日銀の植田新総裁がイールドカーブコントロール(YCC)とマイナス金利の維持を表明していたことも、ドル円の買いに繋がったようだ。
先週金曜日はグッドフライデーで休みを取っていた海外勢も多く、市場参加者も少なかったが、その中で注目の米雇用統計が発表になっていた。非農業部門雇用者数(NFP)は23.6万人増と、前回の伸びからは鈍化したものの、伝統的な基準である20万人増は上回っており、失業率は3.5%に低下した。
一方、平均時給は2021年6月以来の低い伸びとなり、軟化の兆しは見られたものの、他の経済指標と比較すれば、雇用は底堅さを維持している印象。雇用指標は他の指標に比べて遅効性が強い面もあるのかもしれない。
市場は米雇用統計を受けて5月FOMCでの利上げ期待を高めている。短期金融市場では70%程度の確率で0.25%の利上げを見込んでいる。先週までは、利上げはすでに打ち止めとの観測も出ていたが、米地区連銀総裁などFOMC委員からは、もう少し利上げが必要との認識が繰り返し示されていた。今回の米雇用統計は、FOMC委員の主張通りに、あと1回の利上げが正当化される内容ではある。
なお、今週は12日に3月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。この内容を確認して、5月FOMCを最終判断することになりそうだ。もっとも、予想よりも弱い数字であれば、見方に変化が出る可能性もありそうだ。しかし、利上げ停止というよりも、6月に先送りされる可能性のほうを見たほうが良いのかもしれない。
ユーロドルは戻り売りが優勢。欧州時間には1.09ドル台で推移していたものの、NY時間に入って1.08ドル台前半まで一時下落。21日線が1.08ドルちょうど付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
きょうも複数のECB理事のコメントが伝わっていたが、追加利上げの可能性を示唆していた。ガス価格の低下もあって、ユーロ圏の総合インフレは鈍化傾向も見られているものの、食品とエネルギーを除いたコアインフレがまだ全体的に安定化の兆しが見られておらず、追加利上げの必要性を示唆しているようだ。
ECBは昨年7月から計3.50%ポイントの利上げを行っているが、コアインフレが記録を更新し続ける中で、あとどれだけの利上げが必要か、どの程度のペースで行うかを検討しているという。ECB関係者の間では、利上げはまもなく終了との声も出ているようだが、コンセンサスはまだ、追加利上げの継続のようだ。
ポンドドルも戻り売りが優勢となり、一時1.23ドル台半ばまで値を落とす展開。21日線が1.23ドルちょうど付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
ポンドは力強い値動きを続けており、今年のG10通貨の中で最高のパフォーマンスとなっている。警戒されていたほどの景気後退はないとの楽観的な見方が浮上しているほか、ここに来て英中銀が若干タカ派に傾斜していることがポンドを支えている。
きょうのポンドドルはドル買いで下落しているが、英中銀とFRBの差からは、ポンドドルの下値は支えられるとの指摘も出ている。両中銀とも利上げサイクルの終了が見えて来ているものの、英中銀はFRBと違い、いまのところは、少なくとも利下げのシナリオまでは意識されていないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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