ドル円は一時130.60円近辺まで下落 本日も米指標が弱く、景気への警戒感が強まる=NY為替概況
ドル円は一時130.60円近辺まで下落 本日も米指標が弱く、景気への警戒感が強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は再び戻り売りが強まり、一時130.60円近辺まで下落する場面が見られた。この日発表のADP雇用統計が予想を大きく下回ったほか、ISM非製造業景気指数も予想を下回り、ドル円も売りの反応が強まった。
ドル円は押し目買いも入り131円台に戻したものの、きょうの下げで再び下向きの流れを強めている。今週発表のISM製造業景気指数、前日の米求人件数、そして、この日のADP雇用統計、ISM非製造業景気指数も弱い内容となったことから、市場は米景気の先行き警戒感への意識を強めているようだ。
ドル円はきょうの下げで21日線を下放れする展開が加速している。下向きの流れに戻るか注目の展開となっているが、目先は3月に下値をサポートされた130円を試すか注目される。
FRBは否定しているが、市場は早ければ夏以降に利下げのシナリオを織り込む動きが出ている。週初から発表されている米経済指標はその観測を正当化する内容で、週末の米雇用統計に向けて、米経済指標が更にその観測を補強するか注目しているようだ。
3月調査分のISM非製造業景気指数は51.2と前回から大幅に低下。判断基準の50は上回っているものの、この先の不安感を高める結果となった。力強さを残していたサービス業にも次第に黄色信号が点灯し始めていることが示唆されていた。
ユーロドルは戻り売りに押され、一時1.08ドル台に伸び悩んだ。この日発表の米経済指標が弱い内容ではあったものの、本日はこれまでのようなドル売りの動きは見られていない。景気への警戒感が強まっており、逆にリスク回避のドル買いに変わっている面もありそうだ。
市場からはECBの利上げ継続への期待感が根強い。銀行の混乱にもかかわらず、ECBのガイダンスはほとんど変更はないと考えられるという。最近の混乱はユーロ圏経済、ひいては金融政策に起こりうる結果の幅を広げたものの、ECBはコアインフレの低下を確認するまでは慎重なペースで利上げを続けると想定されるという。
5月に0.25%ポイントの利上げを行い、夏場にかけて慎重なペースでの利上げを継続すると予想されるという。中銀預金金利のターミナルレート(最終到達点)は4.00%が見込まれ、利下げは2024年の実施と予想しているという。
ポンドドルは1.24ドル台半ばに伸び悩んでいる。市場からはポンドについて、英国内の好材料が価格に反映されているとはいえ、ポンドの上昇はまだ続く可能性があるとの指摘が出ている。ポンドドルは年内に1.28ドルまでの上昇を見込み、ポンドロングを推奨している。
今年のポンドは過度に悲観的な雰囲気で始まったが、ネガティブなニュースもなく、データも堅調だったことから、ポンドドルはすでに短期的な目標であった1.25ドル台まで上昇したという。
また、ユーロ圏と米国の成長見通しは引き上げられているものの、英国の見通しはまだ悲観的な水準にある。ポンドは実質金利差に対してなお低過ぎる状況にあり、投資家のポンドの持ち高もまだ軽いことから、ドルの下落局面では勝ち組に入るはずだとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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