ドル円は131円台に急落 2月の米求人件数が予想以上に減少=NY為替概況
ドル円は131円台に急落 2月の米求人件数が予想以上に減少=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りを強め、131円台に急落した。この日発表の2月の米求人件数が予想以上に減少したことで、米国債利回りが急低下し、ドル円も戻り売りを強めた格好。
2月の米求人件数は993万件と前回の修正値から大幅に減少した。1000万割れは2021年5月以来で、一部の産業における労働需要の冷え込みを示唆している。ただ、FRBにとっては依然タイトな状況を示す内容ではある。
きょうは堅調な推移が続いていた米株式市場も戻り売りが優勢となっており、円の買い戻しがドル円を圧迫。前日はISM製造業景気指数が予想以上に弱い内容だったが、本日の米求人件数と伴に、米経済の軟化を示す指標が相次いでおり、米経済の先行きに対する不安感に市場の意識が傾いているのかもしれない。
あす以降も、金曜日の米雇用統計に向けて重要指標が幾つか発表される。市場はFRBがあと1回利上げを実施して、今回の利上げサイクルを一旦停止すると見ている。一方、FRBは否定しているが、市場では年内利下げ期待が根強くある状況。FRBと市場の見方に相違が見られる中、今週の指標がどちらの見方を裏付けるか注目される。それに伴ってドル円も売買が錯そうしそうだ。
ユーロドルは上値追いが続き1.09ドル台を回復。一時1.0975ドル付近まで上昇し、1.10ドルの節目と2月に付けた年初来高値1.1035ドル付近を視野に入れている。
一部のストラテジストは、ユーロ圏のコアインフレの上昇でECBの利上げは継続され、ユーロは上昇の可能性が高いとの指摘が出ている。ユーロ圏の金融システムへの不安は解消されており、ECBには今後数カ月でFRBに追いつく余地が十分にあるという。金利上昇と中国の景気回復が相まって、ユーロは強含みで推移するはずだと指摘している。
ポンドドルは上値追いが続き、一時1.25ドル台を回復。12月と1月に上値を拒んでいた1.24ドル台前半から半ばの水準を突破してきたことで、一気に1.25ドル台まで到達し年初来高値を更新。
きょうは英中銀チーフエコノミストのピル委員の発言が伝わっていたが、「英国のインフレは受け入れがたいほど高く、持続的なインフレは金利上昇を正当化する」と、追加利上げの可能性を示唆していた。市場は5月の0.25%の利上げの可能性を高めている。
このところの英経済指標の堅調さや、外的ショックに対する英銀行セクターの堅剛さ、そして、英中銀のタカ派スタンスにより、ポンドは年初来で主要通貨の中で最も良好なパフォーマンスを示している。英景気後退の可能性も週ごとに低くなっており、ポンドはその恩恵を享受しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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