ドル円に買戻し 金融不安が一服=NY為替概況
ドル円に買戻し 金融不安が一服=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが優勢となり131円台後半まで一時上昇した。先週は節目の130円を一時割り込むなど円高の動きが強まった。ドイツ銀がTier2劣後債を早期償還すると発表したものの、株式市場がなぜか売りを強めたことで不安が再び広がった格好。金融不安への根強さが感じられる動きではあったが、きょうのドイツ銀株は買い戻されており、不安は一服している模様。米銀株も買い戻された。
しかし、ドル円を積極的に買い戻そうという雰囲気まではない。FRBの利上げサイクルの停止および、場合によっては年内の利下げ観測も浮上する中、ドルを積極的に買う動きはない。そのほか、景気のハードランディングへの不安がリスク回避の円高を呼び込んでおり、ドル円は下値を意識した展開を依然として続けているものと見られる。
銀行の動向がしばらく注目されそうだが、今週は複数のFRB高官の講演も予定され、米インフレ指標も発表が予定されている。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は週末に銀行の混乱が米景気後退のリスクを高めたと述べていたが、今回の金融不安の台頭が実体経済に与える影響も気掛かりな点ではある。また、ロシアがベラルーシに戦術核兵器を設置するという地政学的緊張も再燃しており、市場にとっては依然としてすっきりしない状況が続きそうだ。
ユーロドルも買い戻しが優勢となり、1.08ドル付近まで上昇。一部調査によると、ユーロドルは過去数カ月間、ユーロ圏と米国の間の長期債利回りの格差に敏感であることが判明したとの指摘が出ている。10年債よりも2年債の方が政策調整をより直接的に反映する傾向があるが、ドイツ債と米国債の2年物の利回り格差とユーロドルの相関関係は3月にさらに強まったという。
また、株式市場が再び乱高下する中でも、FRBとECBが利上げを断行し、世界的に金融政策の方向性が大きく見直されたことを反映しているとしている。
きょうの市場は金融不安が後退する中でポンドドルは買いが優勢となり、1.22ドル台後半まで戻した。ポンドドルは堅調な動きを続けており、再び先週の高値1.2345ドル付近をうかがう展開となっている。
先週の英中銀金融政策委員会(MPC)は予想以上にタカ派色が強かった印象で、利上げ停止を期待していた市場も見直しを迫られ、短期金融市場では年内にあと1回か2回の利上げを織り込む動きが見られている。英中銀は夏以降にインフレが急低下すると見込んでいるが、それまで利上げを続けると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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