ドル円は一時135円台に下落 明日の米雇用統計を確認したい雰囲気も=NY為替概況
きょうのドル円は戻り売りが強まり、一時135円台に下落する場面が見られた。この日発表の米新規失業保険申請件数が予想以上に増加したことから、タイトな米労働市場への懸念が一服し、ドル売りが優勢となった。
ただ、全体的には明日の米雇用統計や日銀決定会合への反応を確認したい雰囲気が強い。米雇用統計では前回急増した非農業部門雇用者数(NFP)は22万人増程度が予想されている。前回があまりに強過ぎたことから反動も期待されるものの、それでも予想通りであれば、今週のパウエルFRB議長の議会証言で高まったFRBのタカ派姿勢を正当化する内容ではある。
市場ではドルの先高感が根強いが、一部からは明日の米雇用統計がドル高期待の梯子を外す内容になるリスクを警戒している向きもいる。一方、日銀は明日が黒田総裁の最後の決定会合となる。市場では据え置きが濃厚と見られているが、海外勢中心に何らかのタカ派なサプライズがあるのではとの警戒もあるようだ。
今週のパウエルFRB議長の議会証言を受け、短期金融市場では3月22日のFOMCで0.50%ポイントの大幅利上げの確率を75%以上で織り込む動きが出ている。しかし、一部からは、明日の米雇用統計や来週の米消費者物価指数(CPI)の内容次第では修正される可能性もあるとの指摘が出ている。
米雇用統計(2月)10日22:30
非農業部門雇用者数
予想 22.3万人 前回 51.7万人
失業率
予想 3.4% 前回 3.4%
平均時給
予想 0.3% 前回 0.3%(前月比)
予想 4.8% 前回 4.4%(前年比)
ユーロドルには買い戻しが入り、1.05ドル台後半まで戻した。ただ、ドル高期待も根強い中、1.06ドル台には慎重な雰囲気。市場からは、3月16日のECB理事会では0.50%ポイントの利上げが確実視されるが、ECBは中期インフレ目標達成のための仕事がまだ終わっていないとの指摘が出ている。多数のECB理事のコメントから、今回の利上げでさえも終わりではないことがわかる。2月のコアインフレの5.6%はECB理事を憂慮させているという。コアインフレは今後さらに上昇が予想され、労働市場も堅調で、賃金も上昇し、労働力不足も持続的な賃金上昇につながることが予想されるという。
一方、別のアナリストからは、ユーロドルは1.05ドルの心理的節目をブレイクする可能性が指摘されている。ユーロドルはボラティリティ上昇と市場心理の悪化により、1.05ドルを割り込む可能性があるという。しかし、この下落はユーロのファンダメンタルズに対する信頼の欠如ではなく、主にドル高を反映したものであることに変わりはないとも付け加えている。
ポンドドルは1.19ドル台を回復。200日線が1.19ドルちょうど付近に来ているが、その水準を回復する動きが出ている。来週はハント英財務相が英国の春季予算案を公表するが、英中銀の政策に影響を与えないような保守的な支出計画になると予想されるとの見方が出ている。今回の発表で重要な点は新たな財政政策による純費用であり、これは比較的限定的なものになるという。
また、これとは別に「英中銀が3月23日の金融政策委員会(MPC)で0.25%ポイントの追加利上げを行い、そこで利上げは一時停止されると予想している。英中銀は来年半ばから利下げに転じ、来年下期には3.50%まで政策金利を戻すと引き続き考えている」とも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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