ドル円は円安で132円台後半まで一時上昇 明日の米CPI待ち=NY為替概況
きょうのドル円は買いが優勢となり、132円台後半まで一時上昇した。明日、次期日銀総裁に指名されるものと思われる元日銀審議委員で経済学者の植田氏の起用については、市場で様々な見解はあるものの、概ね中立との評価が優勢のようだ。少なくとも円高シナリオではないという。
全体的には明日の米消費者物価指数(CPI)待ちの中、ドル自体は様子見の雰囲気が出ているものの、円安の動きがドル円を押し上げている。市場からは、明日の米CPIを始め、水曜日の米小売売上高と鉱工業生産を含む1月分の米経済指標は天候の大幅改善もあり、12月に比べて好調な数字が予想されるという。見込み通りであれば、今週のデータは次回3月FOMCに続いて、5月も0.25%ポイントの利上げ予想を十分に正当化するとしている。
ドルは強い米経済指標から恩恵を受ける可能性があるが一方で、米CPIが予想を下回れば、ドルは下落も想定される。ただし、ドル安の反応は短期間で終わるとも指摘。持続的なドル安には、過去の利上げによる顕著な景気減速を示すデータが1セット以上必要で、そうなって初めて、市場の年後半の利下げ期待とFRBの方向性が一致する。そうなればドルへの下押し圧力となるという。
ユーロドルは買い戻しが出ており、1.07ドル台を回復。ドルやユーロ自体に動きはないが、円安が強まっており、ユーロ円の上げがユーロドルをサポートしているとの指摘も出ている。ユーロ円は142円台を回復。
一部からは、今年下半期にユーロ圏のインフレが大幅に鈍化し、同時にインフレ期待も低下することから、来年初めにECBは利下げを開始するとの見方が出ている。今年末までにインフレが2.5%に低下すると見込んでおり、連動してインフレ期待も低下すれば、ECBは利下げに向けて準備するよう市場に促す可能性があるという。
来年前半に0.25%ポイントずづ4回の利下げがあると予想し、このうち最初の2回は来年の第1四半期にあると見ているようだ。短期金融市場では現在、最初のECBの利下げは来年2月で織り込んでいる。
ポンドドルも買い戻され、1.21ドル台を回復。変わらずに21日線の下での値動きが続いているものの、一方で200日線は堅持されている状況。次の展開待ちといった雰囲気も出ているようだ。
今年英経済について、昨年は景気後退(リセッション)を回避したものの、インフレ進行と高水準の金利が重石となり、リセッションに直面する公算が大きいとの指摘が出ている。現在の英経済は、政府支援策に加え、家計や企業が貯蓄を切り崩すことで消費が支えられており、エネルギー価格低下や世界情勢の改善が景気を後押ししている。しかし一方で、今年の英経済はインフレや金利上昇の影響が景気後退をもたらす可能性が高いという。
昨年の英経済は通期で4.0%成長したが、G7の中でGDPがまだパンデミック前の水準を下回っている唯一の国であることに変わりはない。英中銀は今年の英経済が0.5%のマイナス成長に陥ると予想。11月予想のマイナス1.3%からは上方修正されているものの、英中銀は、エネルギー価格高騰と金利上昇が経済を圧迫するため、今年と来年第1四半期を通じて穏やかな景気後退に直面する見込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。