ドルは下に往って来いの展開 ドル円は前半の下げを取り戻す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、序盤はドル売りが優勢となり、ドル円も130円台前半まで下落していたが、後半になって131円台半ばまで買い戻されている。下に往って来いの展開が見られた。
ここ数日のFOMC委員のタカ派な発言もあり、FRBが予想以上の利上げを実施し、高金利の状態を長期させるのではとの見方も出ている。米国債市場では政策金利に敏感な米2年債利回りが昨年11月以来の4.50%を一時突破した。この日の30年債入札が不調だったこともあり、10年債や30年債といった長期ゾーンの利回りも上昇し、ドルの買い戻しをサポート。また、米株式市場が下げに転じたことも、リスク回避のドル買いを呼び込んだようだ。
ただ、ドル円は日銀総裁人事のニュースで上下に振らされているが、基本的にはFOMC、米雇用統計を通過して、来週の米消費者物価指数(CPI)など次の材料待ちの雰囲気が強く、131円を挟んで方向感のない展開が続いている。
市場ではFRBの年内利下げ予想が根強く温存しており、ドル安の可能性が高いとの声も出ている。「最近のFOMC委委員の発言や金曜日の強い米雇用統計を受け、市場はFRBが従来予想よりも高い水準までターミナルレート(最終到達点)を引き上げる可能性もあるが、その後は相応の急速な利下げが想定される」という。
「恐らく利下げは夏ではなく秋に行われるだろうが、いずれにしろ、年内に行われる可能性は高い」としている。また、「今年のドルへの悲観的見通しの根拠の1つは、ECBの利下げの可能性が引き続き低い点もある」とも付け加えた。
ユーロドルは上に往って来いの展開。一時1.07ドル台後半まで上昇していたが、後半になって1.07ドル台前半に伸び悩んでいる。1.08ドル台には慎重になっているようで上値を抑えられているが、1.08ドル台前半には21日線が来ている。
3月に開始されるECBのQTは、周辺国よりもドイツ国債に大きな影響を与える可能性があるとの見方が出ている。今年はドイツ国債の新規発行が通常よりも多く予定されており、それにQTが加わることによって、さらにドイツ国債利回りに上昇圧力がかかるという。これまでのところ、債券市場の回復力は大きく、今後もスペインとイタリアの国債は現在のレンジを支えるはずだとも述べている。
ポンドドルは一時1.21ドル台後半まで上昇後、1.21ドル台前半に伸び悩んだ。今週は心理的節目の1.20ドルを割り込む場面も見られたが、1.19ドル台半ばに来ている200日線はしっかりと維持され、昨年9月以降のリバウンド相場の流れは堅持されている。
きょうはベイリー英中銀総裁を始め、複数の英中銀委員の議会証言が行われた。市場からは、英財務委員会における英中銀幹部の発言は今回の利上げサイクルがまもなく終了する可能性を示唆しているとの指摘も出ている。
英中銀のメッセージは全般的に以前よりもハト派的で、特にチーフエコノミストのピル委員のメッセージは顕著であったという。英中銀は3月に0.25%ポイント利上げを実施し、それで今回の利上げサイクルを終了。4.25%でターミナルレート(最終到達点)を迎える可能性が高いという。しかし、労働市場のデータがタイトなままであれば、金利の上振れリスクがあるとも指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。