ドル円は上下動 景気への不透明感もある中、米株にらみの展開=NY為替概況
きょうのNY為替市場、序盤はドル買いが強まり、ドル円も一時131円台に上昇する場面が見られた。しかし、買いが一巡すると今度は戻り売りが強まり、一時129円台まで急速に戻す展開が見られた。
景気への不透明感もある中、米株にらみの展開も見られている。序盤に米株が売り先行で始まったことから、リスク回避のドル買いが強まったものの、米株が買い戻されたことで、ドルは戻り売りに押された格好。米国債利回りも同様の展開が見られた。序盤の米株の下げについては、NY証券取引所(NYSE)のシステムトラブルが大きく関係した面もあったようだ。
市場では世界経済のハードランディングに対する懸念が和らいでおり、市場はマイルドな景気後退もしくは、景気後退を回避するとの楽観的な見方が広がっている。投資家が安全資産から離れるにつれてドルも下落している格好。欧州経済は懸念されていたよりも持ち堪えており、中国経済は今年中にさらに回復すると楽観視され、インフレ圧力は非常に高い水準ではあるが、緩和されつつあるという証拠も出てきている。
インフレの鈍化は中銀が今年の利上げサイクルを停止し、軌道を修正し始める可能性があるという確信を市場に与えており、ハードランディングへの懸念が弱まる一助となっている。
ユーロドルは一旦売りが強まったものの、徐々に買い戻しが強まった。一時1.0835ドル付近まで下落していたが、1.08ドル台後半に戻す展開となり、リバウンド相場の流れをしっかりと堅持している。
ECBは2月の理事会で0.50%ポイントの利上げを行い、中銀預金金利を2.50%に引き上げることが確実視されているが、声明やラガルド総裁の会見を通して、利上げペースの減速を示唆する可能性はまだないとの指摘が出ている。
先週、ECBが3月の利上げペース減速を議論しているとの観測報道が流れていたが、基調インフレの強さと弾力的な成長から、まだ減速を示唆する局面ではないという。2月の理事会で市場の焦点となるのは、金利のガイダンスになると思われるが、利上げペース縮小の必要性を示唆する可能性は低いと指摘している。
ポンドドルは一時1.22ドル台に値を落としたものの、1.23ドル台に戻す展開。1.25ドルを前に若干上値が重くなってきた雰囲気もあるが、リバウンド相場は継続している。
エネルギー価格の下落で英中銀が成長見通しを上方修正する可能性があることから、英金利は予想以上に高止まりする可能性があるとの見方が出ている。エネルギー価格下落はインフレ期待を低下させるだろうが、経済見通しの改善と労働市場のひっ迫は英中銀が政策金利を高水準に維持することを正当化するという。
英中銀は年内に利下げに舵を切ると予想しているが、賃金上昇が高めで推移していることから、以前に考られていたよりも緩やかなペースでの利下げになる可能性が高いという。政策金利は3月に4.00%でピークを迎え、年内に3.50%で終えると予想しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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