ドル円は後半に伸び悩むも一時130円台回復 下値では実需買いも観測=NY為替概況
きょうのドル円は買い戻しが強まり、一時130円台半ばまで回復する場面も見られた。アジア株や欧州株が堅調で、前日までの米株式市場の下落に伴うリスク回避が一服する中、円安がドル円を押し上げていた模様。下値では実需の買いも観測され、日銀の早期緩和解除への期待が大きく後退する中、ドル円は買い戻しが膨らんだようだ。一方、きょうは米株の下げも一服し、リスク回避のドル買いが後退。後半のドル円は伸び悩む動きが見られた。
きょうは日銀の黒田総裁がダボス会議に出席。本日の全国消費者物価指数(CPI)で日本のインフレは1981年以来の高水準となっていたが、CPIが金融緩和を続ける自身の決意を揺るがしてはいないことを示唆していた。総裁は「賃金が上昇し始め、それによって2%のインフレ目標が持続的な形で達成できるようになることを望んでいる。しかし、それはもうしばらく待たなければならない」と語っていた。
市場からは、日銀は近いうちに金融緩和維持とイールドカーブコントロール(YCC)の持続可能性との間でバランスを取ることを迫られるとの声が出ている。その場合、YCCの操作対象タームを10年物から5年物にシフトすると見込んでおり、タイミングとしては新総裁が就任する4月以降を想定しているという。
ユーロドルは1.08ドル台で上下動したものの、底堅い値動きを続けている。FRBに利上げペース縮小観測が出ている一方、ECBはタカ派姿勢を堅持しており、2月、3月と0.50%ポイントの利上げ観測は維持されている。ユーロドルは1.08ドル台で上値が重くなっている雰囲気もあるが、下押す気配もなく、高値圏での揉み合いを経て、もう一段上値を試しそうな気配は温存している。
市場からは、FRBが利下げに踏み切るため、ユーロドルは上昇の可能性が指摘されている。FRBが年内に利下げに踏み切る一方、ECBは金利を据え置く可能性が高いことから、今年のユーロドルは上昇を見込んでいるようだ。
ごく近い将来は追加利上げが予想されるものの、双方利上げサイクルに終わりが見えている。ただ、利上げ停止後は、FRBは年後半に利下げを行い、2024年にはさらに追加利下げを行う可能性が高い一方、ECBは金利を据え置くことになると予想。これはドルの重石となり、ユーロドルを押し上げるという。年末のユーロドルの水準は1.10ドルを予想している。
ポンドドルはNY時間にかけて緩やかな戻り売りに押されていたものの、NY時間に入って買い戻される展開。1.24ドル台に入ると上値抵抗も強まるようだが、下押しする動きもなく、堅調な推移を続けている。目先は1.25ドルを試しに行くか注目される状況。
今週の英消費者物価指数(CPI)と英雇用統計のデータがインフレ鈍化の兆候を示さなかったことから、英中銀は次回2月の政策委員会(MPC)で0.50%ポイントの利上げを行う可能性が高いとの見方が広がっている。2つの指標はいずれも、MPCが引き締めペースを緩めるに足るものはほとんどないという。
2月に0.50%ポイント、3月に0.25%ポイントの利上げを予想し、5月にさらに0.25%ポイント利上げを追加して、ターミナルレート(最終到達点)を4.50%まで上昇させると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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