リスク回避のドル高が一服し、ドル円は141円台前半に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場は前日のリスク回避のドル高が一服し、ドル円は141円台前半に下落した。感謝祭ウィークで全体的に様子見気分が強い中、先週からのドル買い戻しを推し進めることに懐疑的な見方も出ている模様。ブラード・セントルイス連銀総裁やコリンズ・ボストン連銀総裁はタカ派な発言を行い、市場の利上げペース縮小観測をけん制していた。しかし、前日のデーリー・サンフランシスコ連銀総裁やメスター・クリーブランド連銀総裁の発言は、利上げに対して比較的慎重なアプローチが好ましいとの姿勢を示している。明日は11月1-2日開催分のFOMC議事録が公表されるが、何らかのヒントが出るか待ちたいところではある。
市場からは、FRBは中央銀行の中で依然として利上げの推進役の1つであることから、最近のドル下落は限定的なものに留まるとの見方が出ている。FRBが利上げペースを緩めたとしても、ECBや他の中央銀行も追随する可能性が高く、格差が縮小しないと指摘。ドルに対するセンチメントに持続的な変化が出るのは、米経済の景気後退の兆しがより鮮明になった場合のみで、その時点でFRBの利下げがすぐに市場の議題に上るという。
ユーロドルは一時1.03ドル台に上昇する場面が見られた。きょうは経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを発表しており、その中で、ECBは高止まりするインフレを抑えるには、主要金利をさらに引き上げる必要があると警告した。ウクライナ侵攻でエネルギーと食料価格が急上昇して以来、インフレが急騰している。最近はインフレ率がピークに達するか、それに近い状態にある兆候がいくつか見られるが、多くの中央銀行が目標とする2%のレベルまでインフレが急低下することはないと分析している。
OECDはECBが来年半ばまでに政策金利を現在の1.50%から4.00-4.25%に引き上げるべきであり、これは投資家が広く予想しているよりもはるかに高いピークだと述べた。
2023年のユーロ圏のインフレは平均6.8%と予想しており、9月の予想値6.2%から上方修正している。一方、米国のインフレは2023年に平均3.5%と、前回予想からほとんど変わらないと予想し、FRBは市場の予想通りに政策金利を5.25%に引き上げるべきだと述べた。
ポンドドルは買い戻しが優勢。ポンドドルは先週に節目の1.20ドルを付けて以降、徐々に上値が重くなっているものの、下押す気配まではないようだ。
ストラテジストからは「ポンドは最も愛されていない通貨だ」との声が出ている。同ストラテジストが最近行った世界中の顧客との会合でも同じ結論が出ており、誰もがポンドを避けているという。ただ、このような世界的見解は、ポンドが悪いニュースをすでに織り込んでいることを考えると、逆にポンドを買う機会を提供する可能性があるとも指摘している。今後、ポンドドルはパリティ(1.00ドル)よりも1.30ドルに向かう可能性のほうが遥かに高いとしている。
「ポンドに対しては強気な人よりも弱気な人の方が常に多い。そのことは、ポンドに強気であれば、儲けるチャンスはもっとあるということだ」と述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。