リスク選好の動き一服 ドル円は139円台での上下動=NY為替概況
きょうの市場はリスク選好の雰囲気が一服する中、NY為替市場でもドル売りが一服している。ドル円も下げが一服し、139円台での上下動に終始した。
取引開始前に10月の米小売売上高が発表になっていたが、予想を上回り、前月比1.3%増加していた。FRBのスタンスを複雑にする内容との指摘も出ているが、一部からは、消費者の早めのホリデー・ショッピングが影響している可能性があるとの見方も出ている。消費者は10月に自動車ディーラー、家具店、食料品店、ガソリンスタンドでより多くの支出を行った。恐らく、彼らは前もって買い物を済ませようとしている可能性があるという。それは12月と11月から支出を奪うということでもある。
先週の米消費者物価指数(CPI)や前日の米生産者物価指数(PPI)を受けて市場では、FRBの利上げペース縮小期待が高まり、為替市場もドルロングの巻き戻しは活発化した。しかし、ここに来てその動きにも一服感が出ているのかもしれない。
ユーロドルはロンドン時間に1.04ドル台まで上昇していたものの、NY時間にかけて1.03ドル台に値を落としている。このところ買戻しが強まっているユーロドルだが、一部からは、ペースはともあれ、今後も続くであろうFRBの利上げとドイツの景気後退により、ユーロドルは下落の可能性が高いとの指摘が出ている。2023年の第1四半期までに0.95ドルを再び試す展開に戻る可能性もあるという。
FRBが2023年前半に政策金利を5.00%まで引き上げることが想定される一方、エネルギー価格上昇に伴いドイツは4四半期に渡る景気後退も警戒される。そのほか、中国の比較的弱い成長、依然厳しい株式市場といった見方を考慮すれば、ユーロドルは水準を軟化させざるを得ないという。また、ユーロ圏のエネルギー危機は来年の冬まで続く可能性があり、インフレの急低下は考えにくいとも指摘している。
また、ECB理事は12月の理事会で0.75%ポイントではなく、0.50%ポイントの利上げを支持しているとの報道が流れていた。初期の議論では0.75%ポイントの追加引上げの勢いがないことが示唆され、インフレが再び急上昇しない限り、積極的でない方が良いというのがコンセンサスだという。理由としては、景気後退リスクの高まり、消費者物価上昇圧力が弱まる可能性、中銀預金金利を2%まで引き上げると、いわゆる中立水準に近づくという見通しなどが挙げられているという。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、1.18ドル台に値を落としている。ロンドン時間に10月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、反応は限定的だった。ただ、数字自体は驚きの内容で、総合指数は前年比11.1%と41年ぶりの高さにインフレが加速していた。エネルギー価格の値上がりが主因で、英政府は先月から家計の光熱費負担に上限を設定しているにもかかわらず、大半の家庭で電気やガス代が増加した。電気代は65.7%上昇、ガスも128.9%上昇している。政府の支援が無ければ、インフレはさらに加速していたことになる。
ただ、英中銀の利上げ期待が高まった様子はない。短期金融市場での12月の英中銀金融政策委員会(MPC)での利上げは、0.50%ポイントと0.75%ポイントの間ぐらいで推移している状況。
市場からは、高インフレの半面、弱い経済成長という要素を考慮すると、ポンドは引き続きアンダーパフォームが予想されるとの指摘も出ている。前日は英雇用統計が発表になっていたが、英中銀には引き締めの継続を求める圧力がかかり続けるが、利上げ幅は市場参加者が想定しているほどではないという。なお、明日は英秋季財政報告が公表され、ポンドはネガティブな反応を示すとの見方も出ている。
英消費者物価指数(10月)16:00
結果 2.0%
予想 1.6% 前回 0.5%(前月比)
結果 11.1%
予想 10.6% 前回 10.1%(前年比)
結果 6.5%
予想 6.3% 前回 6.5%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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