FX/為替「ドル/円、ウクライナ懸念でも下値は堅い」 外為トゥデイ 2022年2月14日号
目次
▼11日(金)の為替相場
(1):RBA総裁は利上げに慎重姿勢
(2):ECB総裁は早期利上げをけん制
(3):英GDPは予想を下回る伸び
(4):米ミシガンは約10年ぶり水準に低下
(5):リスク回避の動きが強まる
11日(金)の為替相場
期間:11日(金)午前7時10分~12日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBA総裁は利上げに慎重姿勢
豪中銀(RBA)のロウ総裁は議会で証言を行い「(利上げを)待つことにリスクがあるのは承知しているが、過度に早く動くことにもリスクが存在する。今後、少し前まで想定していたよりも低い失業率を実現するチャンスがあるが、早すぎる行動はこれを脅かしかねない」と発言。年内の利上げ開始に含みを残しつつも、インフレ動向を慎重に見極める姿勢を改めて示した。
(2):ECB総裁は早期利上げをけん制
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は、ドイツメディアとのインタビューで、「緩和縮小は段階的にしか進められない」とした上で「我々が慌てて(引き締めに)動けば、景気回復はかなり弱まってしまう」と語り、早期の利上げ開始を織り込む市場の動きをけん制した。
(3):英GDPは予想を下回る伸び
英10-12月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+1.0%となり、市場予想(+1.1%)を下回った。伸び率は7-9月期GDPから横ばいだった。英12月鉱工業生産は前月比+0.3%と予想(+0.1%)を上回ったが、前月(+0.7%)から減速した。また、英12月貿易収支は123.54億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(125.00億ポンド)をわずかに下回った。
(4):米ミシガンは約10年ぶり水準に低下
米2月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は61.7と、市場予想(67.0)を下回り2011年10月以来の水準に低下した。1年先のインフレ期待が5.0%に上昇しており、インフレ懸念が米消費者マインドを悪化させた模様。
(5):リスク回避の動きが強まる
米ホワイトハウスの大統領補佐官は、ロシアによるウクライナ侵攻について「いつ起きてもおかしくない」「(北京冬季)五輪の期間中にも始まる可能性がある」と述べ、ウクライナ在住米国人に48時間以内に退避するよう呼び掛けた。週末にもウクライナで軍事衝突が起きるリスクを避けようと米国株売りが活発化。為替市場ではリスク回避の円買いが強まり、ドル/円やクロス円が急落した。ドル/円は、対ユーロなどでリスク回避のドル買いが入った事から115.02円前後で下げ渋ったが、ユーロ/円は130.39円まで大幅に下落。豪ドル/円も81.99円まで下値を拡大するなど、クロス円の下げはきつかった。ただ、その後はバイデン米大統領とプーチン・ロシア大統領が12日に電話会談を行うと発表された事から円買いはひとまず収束した。
11日(金)の株・債券・商品市場
外為注文情報
【情報提供:外為どっとコム】
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本日の見通し
ドル/円の見通し:115円台での神経質な展開
11日のドル/円は終値ベースで約0.5%下落。NY市場終盤には、米ホワイトハウスが「ロシアによるウクライナ侵攻がいつ始まってもおかしくない」との見解を示した事で米国株が急落する中、115.02円前後まで下落する場面もあった。ただ、安全通貨のドルはユーロなど多くの通貨に対して上昇。対円でも売り一巡後は買い戻しが入り、115.40円台にやや値を戻して取引を終えた。
ドル/円は本日もウクライナ情勢を巡る懸念から上値の重い展開が見込まれる一方、日銀が10年債を無制限に買い入れる指値オペを実施する事もあって下値(円の上値)も限られそうだ。不安定な株価動向を睨みつつ、115円台で神経質に動く時間帯が増えるだろう。
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