リスク回避の雰囲気もあり、ドル円は109円台前半に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが強まり109.20円付近まで一時下げ幅を拡大した。本日の為替市場はドル売りの雰囲気はないが、原油安に伴う米国債利回りの急低下がドル円を圧迫。次第にリスク回避の雰囲気も出ており、この日発表のISM製造業景気指数が予想を下回ったことをきっかけに売りが強まった格好。本日の100日線は109.60円近辺に来ているが、その水準を再び下回っている。目先は7月19日安値の109.05円付近が下値メドとして意識。
今週は7月の米雇用統計が発表される。先週のFOMCでのパウエルFRB議長の会見は慎重姿勢を滲ませていたが、その中でもやはり雇用がまだまだ回復と言えるには程遠い状況にある点に言及していた。その意味でも今週末の米雇用統計は注目となりそうだが、非農業部門雇用者数(NFP)は90万人増が予想されている。100万人を超えるような強い数字だった場合の反応は未知数のところもあるが、現状の流れからすれば、少なくとも弱い数字には敏感に反応しそうな地合いではある。
ユーロドルは1.18ドル台後半で上下動。先週からのドル売りに伴うリバウンド相場は続いているものの、いまのところ1.19ドル台での上値抵抗は強いようだ。先週はユーロ圏のGDPとインフレの速報値が公表されていたが、双方予想を上回る内容となっていた。市場では今後も力強さを増すとみられており、ユーロをサポートすることも見込まれるが、ECBの緩和的スタンスが上値を制限するとの見方も聞かれる。
ECBは秋に刺激策の段階的縮小を検討する可能性があるが、緩和状態をより長く緩やかに維持することを強く示唆することが見込まれるという。ECBは来年第1四半期にパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)に終止符を打つ可能性がある一方で、今度は資産購入プログラム(APP)を強化することによって、引き続き緩和策は継続されるという。ユーロドルは今後上昇したとしても、1.20ドルを大きく超えて行く可能性は低く、年末のユーロドルは1.20ドル付近で安定すると見込んでいるようだ。
ポンドドルは買戻しを一服させ、1.38ドル台に値を落とした。ただ、下押す気配まではなくリバウンド相場の流れは堅持している。本日の100日線は1.3925ドル付近に来ているが、その水準を下回る動きではある。
ポンドドルは心理的節目である1.40ドルを目指す展開になるか注目だが、今週に関しては可能性は低いとの声も出ている。EU離脱後の北アイルランド議定書に関する協議が進展し、英国での感染拡大がさらに鈍化したとしても、短期的にポンドドルの上昇は抑制されるという。背景には、暫定的なドル買い戻しが優勢となり、1.40ドルを超える大幅な上昇は今週の話ではないとしている。今週発表の米雇用統計などの米経済指標は力強内容が予想される一方で、感染再拡大による世界的な景気回復への懸念も根強く、ドルは逃避買い需要に支援されると見ているようだ。なお、5日木曜日の英中銀金融政策委員会(MPC)は無難な通過が予想されるとも指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。