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とれんど捕物帳 方向感に欠ける中で、次の一手も円安か

為替 

 今週のドル円は109円台での上下動が続いた。景気回復やインフレへの期待は高い一方、FRBをはじめとした各国中銀は慎重姿勢を堅持するとの見方の間で、為替市場はポジションを傾けづらくなっている模様。米株式市場も最高値圏にはあるものの、上値には慎重になっている気配も見受けられる。景気回復は期待ほど強くはないとの見方もない一方で、短期的なインフレ警戒が株式の上値を押さえているようだ。

 ただ、インフレについては各中銀が指摘しているように、一時的上昇に留まるとの見方が有力視される。パンデミックによる異変でサプライチェーン問題が発生し、仕入価格が大きく上昇している。加えて人手不足から賃金も上昇しており、企業も製品価格に転嫁せざるを得ない状況となっている。しかし、これらは段階的な回復の中で、時間と伴に改善されて行く可能性が高い。サプライチェーン問題が永遠に続くことは、過去の経験則からもない。賃金についても、人々が労働市場に戻ってくるにつれて、上昇は落ち着いて行くであろう。先週の米雇用統計の平均時給のデータはその予兆を感じさせる。米企業の決算発表時のコメントからも、人件費の高騰は年後半にかけて解消されるとみているようだ。

 パンデミック前は低失業率もあって、米個人消費は力強さを堅持していたものの、消費者物価はさほど上がらなかった。グローバリゼーションやeコマースの隆盛、そして、高齢化など人口動態の変化などが要因として挙げられていた。これらの要素は1つも変わっていない。むしろ、eコマースの隆盛についてはこの先も続くとみられる。パンデミックをきっかけにテレワークが普及し、状況が改善しても新しい働き方として定着して行くことが予想されている。それと伴にeコマースへの巣ごもり需要も、ある程度定着するであろう。eコマースは消費者から業者へのリーチが広がる分、どうしても価格競争が起きやすくなる。ただ、購入量は増える。

 こんな中で次の一手は円安との見方も少なくない。各国中銀の金融政策格差を指摘している。FRBやECB、英中銀は慎重ながらも出口戦略を模索する状況。一方で日銀は出口戦略の「で」の字も出てこない。消費者物価指数のデータを見れば、それも致し方ない。

 4月分の各国の消費者物価指数(コア指数)を見ると、米国は前年比3.1%(PCEデフレータ)、ユーロ圏は0.7%、英国は1.3%だ。一方、日本の全国消費者物価指数は何と、マイナス0.2%となっており、主要国の中では唯一のデフレとなっている。企業物価はプラス3.8%とサプライチェーン問題や原材料価格の高騰などを反映して、他国同様に高いのだが、消費者物価の段階では格差が明確となっている。これでは日銀は動けないであろう。

 欧米は一足先にワクチン展開を迅速化させ、日本は2カ月遅れといった状況だ。それでも他国と比較すれば日本の感染率は圧倒的に低く、他国からすれば、うらやましい状況かもしれない。ただ、国民が非常に神経質になっており、政府もそれに対応していることから、まだ、明るさが見えない状況にはある。

 日本の消費者物価は、秋以降は昨年のベース効果もあり、前年比ではそこそこのプラス圏に戻す可能性はありそうだ。しかし、そのころにはサプライチェーン問題も一服し、企業が製品価格を引き上げる環境にはないことも考えられる。それこそ、インフレは一時上昇との見方から、日銀は慎重姿勢を解除させる理由を見い出せない可能性もありそうだ。その場合、ますます他国の中銀との格差が広がり、円は売られやすい状況も考えられる。もっとも、対ドルよりは対ユーロやポンドといったクロスでの円安を期待しているようで、クロス円は力強い動きを続けている。

 それにしても、日本の物価については、他国と比較しても格段に水準が違う。日本経済は「そこそこ安定はしているが、成長力は失っている」というのを、今回のパンデミックが、更に浮き彫りにしているのかもしれない。原因が何かは、なんとなく想像できそうだが。

 さて来週だが、FOMCが予定されており最注目となりそうだ。今回は経済見通しや、FOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)も公表される。今回は政策変更はないことが確実視される中、今週発表の米消費者物価指数(CPI)はインフレ警戒を高める内容だったものの、市場の反応からすると、FRBの慎重スタンスに変化はなく、「インフレ上昇は一時的、雇用は依然脆弱で出口戦略の議論は時期尚早」といった認識を強調するものと予想されている。注目はドット・プロットだが、2023年末までの利上げ開始予想の人数が増えることは予想される。ただ、一部からは、資産購入ペース縮小の協議は行われるとの見方も出ている。パウエルFRB議長の会見で、協議したことに触れる可能性はあると見ているようだ。ただし、議長は直ぐに経済は目標からまだ遠い位置あることも強調し、中和する可能性も高いという。中身次第だが、市場へのインパクトは限定的かもしれない。基本的には無難な通過が予想される。

 来週のドル円の想定レンジだが、108.50円~110.50円を想定。スタンスは「中立」で変わらず。

()は前週
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中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 中立継続
短期 ↑(↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑)

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次回の配信は6月26日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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