パウエル会見でドル売り強まる 緩和姿勢へのコミットを強調=NY為替概況
きょうのNY為替市場は終盤になってドル売りが再び強まっている。午後にFOMCの結果が発表され、一部で期待されていた資産購入の構成やペースに変更はなく、FOMCメンバーの金利見通しも2023年まで利上げなしを再確認したものの、投票のばらつきはややタカ派に寄っていた。
米国債利回りが上昇の反応を示し、為替市場はドル買いの反応を見せたが、その後のパウエルFRB議長の会見が緩和姿勢へのコミットを強調したことから、再びドル売りが強まった格好。
そのような中でドル円は103円台で上下動した。朝方はドル安が優勢となり、ドル円は103円台前半まで値を落としていた。先月にサポートされた水準でもあり動向が注目されたが、下値抵抗も観測されサポートされている。この日のFOMCを控え米国債利回りが上昇したことがサポートしたようだ。
FOMCの結果発表直後には103.90円近辺まで上昇する動きもみられたが、パウエルFRB議長の会見を受けてドル売りが強まったことから、103円台半ばに伸び悩んでいる。
市場は米経済対策の行方に関心を集めており、早期合意に期待感を高めている。前日にペロシ米下院議長(民主党)や共和党のマコネル上院院内総務など議会指導部と、ムニューシン米財務長官を含めて協議が行われていたが、前進が見られているようだ。マコネル氏から「米経済対策を巡り大きな前進が見られ、上下両院で通過可能な案をまとめている」との発言も出ていた。法案には特別給付や、特別失業手当延長のほか、対立していた州および地方政府への支援は含まれるものの、企業の免責条項は含まれないとの一部報道が伝わっていた。個人への特別給付は600ドル~700ドルになるのではとの観測も出ている。
ドル円の下値サポートは103円台前半、上値は21日線が来ている104円台前半が意識される。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りに押され、FOMC結果発表直後には1.21ドル台前半まで値を落としていた。しかし、パウエルFRB議長の会見を受けてドルが再び売られており、ユーロドルは1.22ドルをうかがう動きを見せた。ロンドン時間にはこの日発表のユーロ圏PMIが予想を上回ったことで買いが強まり、2018年4月以来の1.22ドル台に上昇していた。
ユーロ圏PMIは予想を上回ったものの、短期的なユーロ圏経済の見通しは暗い。ドイツのIfo経済研究所はきょう、2021年の同国の成長見通しを4.2%と、従来の5.1%から下方修正した。ドイツや他国における封鎖措置が景気回復を遅らせており、製造業やサービス業は21年末までパンデミック前の水準に戻らないだろうと指摘。今年のドイツ経済については、封鎖措置によってGDPは大幅に落ち込む公算が大きく、5.1%のマイナス成長になると予測している。
ポンドドルはNY時間に入って伸び悩んだものの、一時1.35ドル台に上昇。ストラットン英首相報道官が「合意なき離脱が依然として最も可能性が高い結果」と述べ、きのうのジョンソン英首相の発言を踏襲していたが、市場は合意への期待を高めている。ただ、週内に合意しても、年末の離脱期限までに英議会が承認できるか不安も出ていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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